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少女騎士団は今日から僕のハーレムになりました  作者: 真木あーと
第三章 騎士団の結束は魔の眼でも覗けない
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第48話 マエラースンの憂鬱

 ある日、エメフィーは赤の魔女(ルージュウィッチ)の娘という少女を連れて来た。


 当時、魔法協会からエメフィー女騎士団への協力を拒否されており、マエラは彼女の母が魔法協会に力を持っていることから、そちら方面から圧力をかけてもらうつもりでいた。


 だが、エメフィーはあっさりそれ以上の者を連れてきて、更に魔法協会の協力まで得てしまったのだ。

 これは結果的に彼女の想定以上の事であり、問題はないのだが、エメフィーが勝手に動くようでは将来が思いやられる、と叱った。


 だが、エメフィーはそれでもマエラの目を盗んで行動をする。

 あの、エルフ族から人質として預かっている娘を、勝手に団に引き入れたのだ。

 これには反対したが、エメフィーの方も断固として譲らず、強引に団に引き入れてしまった。


 更に目覚ましい成長を遂げ、弓隊長にまでなってしまった。


 マエラはこの一連の事態を恐れた。

 まず何より、エメフィーがマエラに従わなかったこと。


 自分の将来の夫であり将来の王であるエメフィーは、常に彼女の言う事を聞かせなければ彼女の野心は達成しない。

 もう一つ、エルフの実力の底知れなさだ。

 エルフは身長や腕力などを除き、大抵の事では人間を遥かに上回る。


 団全体の見解では、団の最強の騎士は、エメフィーを除くとシェラーマナということになっている。

 だが、マエラだけは真の最強があのエルフの娘であることを理解している。


 そしてエルフの能力は武力だけではない、と聞く。

 人よりも賢い、それがエルフなのだ。

 だから、あんなに従順に見えているのもただの見せかけで、何かを企んでいるのかも知れない。


 騎士団に入団したのもその一環で、エメフィーが気づかないうちに、そうさせるよう裏から手配したのかも知れない。

 だから、何としても追い出さなければならない。


 とはいえ、エメフィーはエルフの娘に関しては一切言う事を聞かない。

 マエラは立場上、戦術の技術的な部分は教えることは出来ないが、集団でどう動くかを指導して、全体として強くする仕組みを各隊に与えている。


 それにより槍剣隊は一般騎士団にも全く後れを取らないほどに強くなった。

 サボりがちな魔法隊は、それでも直感的なアメランの閃きで強力な存在になった。


 ただ、弓隊だけは何も教えられてはいない。

 個人技もまちまちで、一瞬で強くなったエルフには、人間の素人に技術を教えることが出来ず、成長も他の隊に比べ遅かった。


 役立たずと思わせて、追い出すことは無理にしても、少なくともエメフィーの信頼を得られないようにしようと考えている。

 だが、それでもうまくいってはいない。


 誤算は、彼女自身だ。


 この数年、その気になれば、いくらでもエルフを追い出すことは出来たはずだ。

 指導出来ない無能という事実を盾に、エメフィーの懇願を無視して従わせることも出来た。

 彼女には既にその力がある。


 だが、しなかった。

 彼女自身、自分の意を離れ、自分で考え行動するエメフィーを見守りたいと思うようになっていたのだ。

 マエラにも感情があり、好き嫌いもある。

 子供の頃からそばにいて頑張っているエメフィー、そして、駒であるはずのシェラを、心から愛しく思ってしまっていた。


 意のままに操れる配下と、意のままに操るよう育てた王子の、させたいようにさせたい、と思ってしまっている。

 それが合理的ではなく、彼女らしくないことは知っていた。


 特に最近は逞しくなっていくエメフィーに、全てを委ねてついて行き、全力でサポートをしよう、とすら思えていた。

 この王子の、甘く世間知らずの考えは一笑に付してもいいのだが、それを徐々に実現しつつある。

 その実行力、実現力は、自分にはないものだ。


 「この人について行けば自分の理想を外れた世界にはしないだろう」という、信頼と期待。

 本来、マエラがエメフィーに与えるはずのものを、エメフィーから与えられてしまっていたのだ。


 これは彼女の大いなる誤算だった。



 そして──そして、何よりの誤算は、王国の、騎士団の足を最も引っ張っていたのは、自分だったという事実だ。


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