非リアの八つ当たりの成功例はない
狩生真央。
それが彼女の名前らしい。
2年になってこの高校に転校してきたという超絶美人で、一日で男子の視線と女子の嫉妬を同時に独占したとかいう伝説的人物だ。
まぁもちろん、僕の愛しのきよりは全く気にしていなかったのは言うまでもないが。
そして、その学校一の美人さんが、僕の友達の腕の中を独占していた。
一言言わせてもらおう。
ぶっ殺してやりたいぜ。
「ゆうしゃぁぁぁ、ゆうしゃぁぁぁ!!!」
「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!?ちょ、ちょちょ、ちょっと!?まお、待て待つんだ!」
「何を待つっていうの?私とゆうしゃの仲じゃん大丈夫だよぉ、私たちに立ちふさがる壁は、全部私が潰してあ・げ・る♡」
「いやぁぁぁぁぁぁ!痛い!周りの視線が超絶痛いぃぃぃぃぃぃぃ」
勇士はあまりの出来事にオネェ化してしまっているようだ。
だがその程度で許してもらえると思うなよ?
「野郎ども、行くぞぉぉぉ!!!」
僕の叫び声とともに6組は暴徒の集団と化した。
女の子もかわいすぎる彼女に嫉妬しているらしく数名の有志の方々に参加していただけた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!」
「てんめぇ、明伸ぅぅぅぅぅ!!!!!裏切りやがったなぁぁぁぁぁ!!!
許さねぇぞ、ぜってぇゆるさねぇぇぇぇ!!!」
負け犬の遠吠えだな。いや、勝ち犬か?
いや、しかし!それでもだ!
多勢に無勢という言葉の意味を俺たちが教えてやるんだぜ!!!
と、意気込んだはいいものの。
僕たちに、勝ち目なんか初めからなかった。
あぁ、わかってたさ。
相手は腐ってもエリート。
そして、それと互角に渡り合う怪物。
「「ハウリング」」
まるで、相手のことをわかりきっているようだった。
同時に発せられたその開始符に僕は、命の危機よりも先に、感動で背中が総毛立つ気がした。
そして、勇士の首元に掛かった十字架と、真央ちゃんの鈴付きの鍵が淡く光を発した。
その直後、僕たちは竜の咆哮を聞いた。
大音響だ。スピーカーにマイクを近づけたものを何重にも合成したようなそんなおぞましい音の暴力が僕たちの意識を容赦なく刈り取った。




