第21話 巨大虎からの逃走劇と、運命の出会い
巨大虎の咆哮が森を震わせる。
「ガァアアアアアアアアッ!!」
「ぎゃああああああああああっ!!」
「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ〜〜〜!!」
「ミチノリさん〜〜〜どうすれば〜〜〜!!」
俺たち三人は、少女と一緒に全力で逃げていた。
仙人の力を持っているはずなのに、完全に忘れている。
(やばい……本気で死ぬ……!)
少女は涙目で叫びながら俺の袖を掴んだ。
「お兄さん達〜〜〜! お願いですから助けてください〜〜〜!!」
「いや、助けたいけど助けられん状況なんじゃ〜〜〜!!」
トラが泣き叫ぶ。
「ミチのあんゃん! 儂ら仙人じゃろ!? なんかできんのんか!?」
「できるけど! できるけど!! 今はパニックで何も思い出せん!!」
「ミチノリさん〜〜〜落ち着いて〜〜〜!!」
山ちゃんまで叫ぶ。
◇◇◇
■少女ラン、正体を隠したまま《《演技》》を続ける
もちろん、この少女はただの村娘ではない。
観世音菩薩が変化した姿──少女ランである。
(ふふ……釈迦如来さまの言う通り、最初のイベントは大成功ですね)
内心では余裕綽々……。
だが表情は必死そのもの。
「きゃああああああっ! 虎が来る〜〜〜!!」
わざと転びそうになり、ミチノリの腕にしがみつく。
「お兄さんっ! お願いです! 見捨てないでくださいっ!」
「見捨てんけど! 見捨てんけど!! 俺も死ぬんじゃ〜〜〜!!」
俺は顔を真っ赤にしながら少女を支えた。
トラはその様子を見て叫ぶ。
「ミチのあんゃん! 儂も抱きつかれたいんじゃけど!? なんでミチのあんゃんばっかり〜〜〜!!」
「知らんわ!! 俺に聞くな!!」
山ちゃんは冷静に叫ぶ。
「ミチノリさん! そろそろ仙人の力を思い出して!!」
「無理だって言ってるだろ!!」
◇◇◇
■巨大虎、ついに距離ゼロへ!
《ドォンッ!!》
巨大虎が地面を踏みしめ、俺たちの背後に迫る。
「ガァアアアアアアアアッ!!」
熱い息が背中にかかるほど近い。
少女ランは、わざとミチノリの背中に隠れながら叫ぶ。
「お兄さん〜〜〜!! 助けてぇえええええ!!」
「無理無理無理無理!! 俺も助けてぇえええええ!!」
トラは泣き叫ぶ。
「ミチのあんゃん! 儂ら仙人じゃろ!? なんか技とかあるじゃろ!? 棒とか剣とか!!」
「あっ……!」
ミチノリの脳裏に、仏さまの言葉がよみがえる。
──如意棒は万能武器である。
「そうじゃ! 俺、如意棒持っとるんじゃ!!」
「早く出せぇえええええ!!」
「どうやって出すんじゃったっけ!? 仏さま〜〜〜!!」
「仏さまはおらん!!」
俺はトラにツッコミを入れられた。
◇◇◇
■少女ラン、ついに《《ヒロインムーブ》》を発動
少女ランは、涙目でミチノリの胸に顔を埋めた。
「お兄さん……わたし……死にたくない……」
「うわあああああああああああああああああ!!」
俺の脳が中華美少女のためにショートした。
トラが叫ぶ。
「ミチのあんゃん! 落ち着けぇえええええ!! 今はラブコメしてる場合じゃない!!」
山ちゃんも叫ぶ。
「ミチノリさん! 如意棒を思い出して!!」
「思い出せん!! 少女が可愛すぎて思い出せん!!」
少女ランは内心で笑う。
(ふふ……可愛いと言われるのは悪くありませんね)
◆◆◆
■観世音菩薩の《《天界ボイス》》がミチノリに届く
その瞬間──
俺の頭の中に、仏さまの声が響いた。
──ミチノリ、落ち着きなさい。
──如意棒は、あなたの意志で呼び出せます。
「仏さま!? 今だけはありがとう!!」
俺は叫んだ。
「如意棒!! 来い!!」
《ゴォオオオオオオッ!!》
空間が揺れ、黄金の光がミチノリの手に集まる。
「出たぁああああああああ!!」
トラが叫ぶ。
「ミチのあんゃん! やっと仙人らしくなったのぅ!!」
山ちゃんも叫ぶ。
「ミチノリさん! そのまま虎を──!」
少女ランは胸の前で手を合わせる。
(ふふ……ここからが本番ですね)
◆◆◆
■ミチノリ、初めての如意棒で巨大虎に挑む!
俺は如意棒を構えた。
「よし……やるぞ!!」
巨大虎が咆哮する。
「ガァアアアアアアアアッ!!」
俺は叫んだ。
「如意棒──伸びろ!!」
《バシュウウウン!!》
如意棒が一気に巨大化し、虎の顔面を直撃した。
「ガッ!!?」
巨大な虎が吹き飛ぶ。
トラが叫ぶ。
「ミチのあんゃん!! やるじゃないか!!」
山ちゃんも叫ぶ。
「すごいよミチノリさん!!」
少女ランは胸に手を当て、わざと震えた声で言った。
「お兄さん……助けてくれて……ありがとう……」
俺は顔を真っ赤にした。
「い、いや……その……仙人だから……」
トラが叫ぶ。
「ミチのあんゃん! 照れとる場合じゃない!! 虎はまだ生きとる!!」
巨大虎が再び立ち上がる。
「ガァアアアアアアアアッ!!」
少女ランは俺の背中に隠れながら、内心でニヤリと笑った。
(ふふ……このイベント、まだ続きますよ)
こんな恐ろしいことを考えているとは思わなかった。
◇◇◇




