第1話 プロローグは三羽烏でござんす!(1)
夕暮れの空が茜色に燃え上がり、まるで絵巻物の一幕のように中華瓦の屋根が連なる呉の建業の街……
夜の帳がゆっくりと降りて、静寂が街を包み込む。冷たい風が頬を撫で、遠くからは雑踏の中に混じる呼び声が夕暮れの空気に溶け込んでいた。
「おい、トラ、山ちゃん、今日もやるぞ!」俺は呉の建業の街角で、ちょっと強引な押し売りまがいの商売に勤しむ三人の一人だ。
「お兄さん、ちょっと買ってってくれよ! ええじゃろ? お願いだってば!」
「マジで聴いてくれよ、うちの嫁の歌声は最高なんだぜ!」
「頼むよお兄さん、今回だけは許してくれ。うちの奥さんたちの雑技や歌劇、本当に見てってくれよ! もし建業での初舞台が失敗したら、家に帰っても奥さんたちに文句言われっぱなしで、肩身が狭くなるんだ。頼むって!」
俺たちは呉の司徒さま──司祭たちの許可を得て、厳つい《《呉の三鬼士》》の兵たちを釈放した。
だが、その代わりに少々強引な押し売りをしているのだ。
家のカミさんたちが売る髪飾りや服、下着をぜひ買ってほしい。雑技団の舞台や大道芸、吟遊人の美しい歌声も聴いてほしい。
見た目はまだ少年の俺たち三人だが、転生前の日本、中国地方での試食販売や店頭販売、実演販売の経験が自然と商売の言葉を紡がせる。
食品卸の営業、印鑑・表札の販売、瓦工事、システム販売、建設業、造船業の電気溶接、畑仕事など、多岐にわたる仕事をこなしてきた。
釈迦如来さまの力により、俺たちは後付けのチート能力者ではなく、本物の無敵な仙人、亜神となった。
そして《《三羽烏》》として、異世界スローライフのヒロインたちの願いに応え、今も奮闘している。
俺たちが魔法スキル《仙術》を授かったのは、昭和世代であり、大亜戦争の敗戦をくぐり抜け、原爆で焼け野原となった《《仁義なき戦いの街広島》》や、敵空母からの銃撃と空爆を逃れた《《広島県呉市の団塊世代》》だからだ。
釈迦如来さまは俺の仙術スキルを絶賛し、生前の俺は家族を守り育てるために必死に身につけたリアルスキルと、御先祖から受け継いだ遺伝子……。
そして原爆投下後の焼け野原を兄貴と歩き、亡き兄貴の遺体を《《黒い雨》》の中で探し続けた経験があるため、タフな遺伝子を持っている。
だから異世界に放り出されても、勇者や魔王など恐れはしない。
しかし、家のカミさんたちには頭が上がらない。
俺たちは日本男児だから女性には優しいから、母ちゃんたちの尻に敷かれた《《三羽烏》》なのだ。
今日もカミさんたちのご機嫌取りのため、兵士たちには悪いが上司権限を発動し、彼らに桜役を頼み、買い物や舞台を楽しんでもらっている。
なぜ俺たち三人が他界した時期も違うのに同じ異世界に転生できたのか、その理由をこれから話そう。
平成、令和の若い衆よ、よく見て、よく聞け。
この物語の主人公、俺ミチの過去と異世界冒険譚を語ろう。
俺──ミチの過去と異世界冒険譚の話を説明していこう。
◇◇◇
(お願い)
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