子供が産まれました
病院のVIPフロア。
朱雀財閥、奏さんのお母様が用意してくれた豪華な病室。
普段ならSPに守られた国会議員や大企業の女性CEOたちが居るはずの場所に、今は同じクラスの女子たちが、膨らんだお腹を抱え、あるいは生まれたばかりの我が子を抱いて集結している。
廊下の突き当たり、分娩室のランプが赤から黒へと消灯するたびに、待合室にいるクラスメイトから歓声があがる。
すでに『第一陣』として出産を終えたクラスメイトの半分が、その腕に男児を抱いているという異常事態。
「…また男の子よ。信じられないわ…」
「院長先生が言ったように、本当に奇跡が安売りされているみたい…」
看護師たちは震える手で記録をつけている。
そんな騒ぎを余所に、俺は五人の少女の手を握りしめていた。
次に分娩室へ入る予定の、不安に震える五人の妻たち。
第一夫人の真理。
委員長の栞、目隠れ女子の千春、うなじの怜奈、太ももの亜実の。
「大丈夫だよ。皆なら元気な子が産める。もし怖くなったら、俺の名前を呼んで。ずっとここで待ってるから…」
「「「「「陽太…」」」」」
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やがて、分娩室から五つの元気な産声が響き渡る。
「「「「「ホギャア~ ホンギャア!」」」」」
うん、元気いっぱいだ!
「女の子です! 元気な女の子です!!」
看護師が、産まれたばかりの赤ん坊を布に包んで連れてきてくれた。
俺がその小さな身体を受け取る。
「ああ、よかった。本当に、産まれてきてくれてありがとう。可愛いな、女の子か。これから大変な世界になるかもしれないけど、パパが絶対に守ってあげるからね」
愛おしくて堪らない。
指先で頬を撫でると笑っているようにも見える。
ママに似て美人さんだ。
親バカと言われたって構わない。
男の子も女の子も皆、可愛い。
俺の指をぎゅっと握り返してきた、小さな、けれど確かな生命の温もり。
「俺の子だ…」
何度経験しても感激で涙が止まらなかった。
◇◇◇◇
窓の外では、ヘリコプターが旋回し、ネット上では『特定の男性による男児生産率五十パーセント超え!』というニュースが、衝撃と共に拡散されていた。
一週間後。
千人の報道陣、そして各国の政府関係者が集まる巨大なホール。
そこで俺は会見を開いた。




