パパ友会での陽太と悠斗
狂乱の種付けバトルを終え、学園は今、世界で最も平和で、かつ最もパパたちが右往左往する巨大な保育園へと姿を変えていた。
学園の中庭、ポカポカ陽気の中で『パパ友会』が開かれている。
中心にいるのは、もちろん俺と悠斗。
かつて神業の指先で学園を魅了した王子様とショタと呼ばれた俺たち。
だが今の俺たちは髪を振り乱し、肩にミルクを吐きかけられた新米パパそのものだった。
「「ふぎゃあああーーん!!」」
俺と悠斗の腕の中で、元気いっぱいの長男が顔を真っ赤にして泣き叫ぶ。
「あわわ、どうしたの!?お腹空いた?おっぱい飲む?それともオムツか!?あっ、さっき替えたばっかりだよね!?」
「ちょっと陽太、こういう時はどうすりゃいいの?三ヶ月も先輩のパパでしょ!」
俺は必死にあやしのテクニックを駆使する。
かつて女子たちを蕩けさせた、この優しい声で、全力の子守唄を披露する。
「よ〜し、よ〜し、いい子だね〜。ねんねんねんころ〜り〜……って、全然寝ないし!むしろボリューム上がってる!どうすりゃいいんだよ、もう!!」
そんなパニック状態の俺と悠斗を横目に、ママになった元クラスメイトたちは、優雅にハーブティーを飲んでいる。
「陽太くん、ふふっ、そんなに焦らなくても大丈夫よ。男の子なんだから、元気な証拠じゃない」
「でも、こんなに泣いてるんだよ!?どこか痛いんじゃ…」
「まったくパパは…貸してごらんなさい。ほらっ、おいで〜、ママですよ〜」
ママが立ち上がり、ひょいっと抱き上げ、背中をポンポンとリズムよく叩いた瞬間。
「「……んぐっ、……スピー……」」
あんなに激しかった泣き声が止まり、天使のような寝息に変わる。
「な、泣き止んだだと…!?俺の三ヶ月の修行は何だったんだ…」
その様子を影からクスクス笑いながら見ていたのは、アラン君をはじめとする後輩男子たちと女子生徒。
女子生徒は「ふふ、あの伝説の陽太先輩が、赤ちゃんの泣き声の前じゃ何もできないなんて、意外ですね。なんだか親近感湧いちゃう」
アラン君は「(ゴクリ)あの陽太先輩でも勝てない相手がいるのか…。育児、恐るべし…」
俺は、自分を哀れみの目で見るアランに気づき、指を差して叫んだ!
「おい!アラン!笑うなよ!お前だって来年にはこうなるんだからな!予習しておけよ、オムツ替えの最中に顔に直撃を食らう覚悟をな!!」
「ぷっ…陽太先輩…おしっこ…」
「お、お前、笑ったな?本当に覚悟しとけよ」
「「「あははは」」」
◇◇◇◇
陽太と悠斗に育てられた二世たちは、これまでの世界の男児とは全く違う育ち方をしていきます。
英才教育。
ハイハイを始めた頃から、陽太の『優しさマナー』を叩き込まれます。
おもちゃを女の子に譲るのは当たり前。
転んだ女の子がいれば、ヨロヨロの足取りで駆け寄り「大丈夫?」と頭を撫でる始末。
将来の不安。
「パパ、女の子を泣かせちゃダメなんだよね?」と純粋な瞳で聞く息子に、陽太は「そうだよ…でも、パパみたいに『嬉し泣き』させすぎるのも、後が大変だから気をつけなさい…」と、遠い目でアドバイスするのでした。
学園には、今日も平和な赤ちゃんの泣き声と、それに翻弄される最強のパパたちの悲鳴が響き渡っています。
革命は成し遂げられましたが、陽太の本当の戦い(育児)は、まだ始まったばかりのようです。




