青の龍とゲーム・ナイト⑪
「そういうわけでなっ! 人間どもが卑劣にも攻撃を仕掛けてきたから、この僕様が冷静沈着に、ものの見事にやっつけてやったんだ! 消えろ、怪我するぜ……なんつってな! いやー、お前らにも見せてやりたかったなー!」
そうして、どうにかこうにか戻った瑠璃宮。
そこにある青くんの部屋で、床に座った彼はシツジたちに取り囲まれながら、得意げに武勇伝を語っていたのであった。
「うおおおっ! さすが若君ですなっ!」
「ニンゲンなぞ、若君に敵うわけなし! 胸がスッとする話ですなあ!」
「いよっ、若君、サイッキョー! カッコいいですなっ、素敵ですなっ!」
「おいおい、やめろよお前たち。僕が強いのなんて……あったりまえだろー!」
と、盛大におだてるシツジたちと、はしゃぎまくる青くん。
恐怖の対象であった人間に勝ったのが、よほど嬉しいらしい。
ちなみに私はというと、それを部屋の端っこで聞きながら、ずいぶん話が違うなあなんて思っているのであった。
本当はギリギリまでビビり散らかしていて、最終的にはブチギレて雷を落としまくったのだけれど……まあ、助けてくれたのは事実だし、そこはご愛嬌というものか。
ちなみにあの騒動の後。落ち着きを取り戻した青くんは周囲を見回すと、「やべっ、直さないと」とか言って、指を鳴らしてみせた。
すると、なんと壊れていた物たちが、壊れた時の逆みたいに動き出し、やがて何事もなかったかのように戻ってしまったのである。
雷を落としたり、物を直したり。本当に龍はなんでもありだ。
そしてその後、私たちは人が集まってくる前に玩具たちを拾い上げ、空間移動で瑠璃宮に帰ってきたわけである。
(まあとにかく、いろいろとヤバい状況だったけど。帰ってこれて良かったわ)
今回は、私もとっても反省した。
龍の強さに頼りすぎて、愚かにも万能感すら感じてしまっていたのだ、私は。
自分が強くなったわけでもないのに。
瑠璃宮の外は、危険なのだ。今後は、散歩に行くときはもっと用心深くしないと。
……まあ、さすがにあの街にはもういけないけどね。
「はー、喋ってたらお腹すいちゃったよ。ウルリカ、お菓子!」
「あっ、はい。ただいま!」
と、そこで青くんがこちらを向き、そう催促してきたので、私は大量のお菓子が載った皿を手に進み出る。
帰ってきたら出そうと、作り置きしておいたものだ。
いやしかし、少し前までニンゲンの作った物なんて、と嫌がっていたくせに、あっという間に私がお菓子を用意するのが当たり前のような態度である。
まあ、役割をくれるのはありがたいんだけどね。
なんて心の中でつぶやきつつお菓子を差し出すと、青くんが一つそれをつまみ上げ、不思議そうな顔で言った。
「わっ、また何か変な食べ物だ。白くて、ふにゃふにゃしてる。これ、なんて言うの?」
「これはね、イチゴ大福って言うのよ」
イチゴ大福。
それは白くて柔らかい求肥で、甘~いイチゴとあんこを包んだ特別なお菓子だ。
青くんの言うとおり、まったくもって奇妙な見た目をしているが、味は折り紙付きである。
「へー。変な名前。まあ、ウルリカの出すものならきっと美味しいよな。あーん」
そう言って、妙な信頼感とともに手のひらサイズのイチゴ大福を口に放り込み、あむあむと噛み締める青くん。
するとすぐに、その表情がとろけていき。
輝くような笑みとともに、彼はこう叫んだのだった。
「……あん、まあああああい! なんだこれ、すっっっごく甘くてすっっっごく美味しい!!」




