青の龍とゲーム・ナイト⑫
「ああっ、美味しい美味しい! 止まらないぞ、これ! 美味しすぎる!!」
私の出したイチゴ大福を、大絶賛してくれる青くん。
そしておもむろに両手でそれをつかむと、豪快に食べ始めたのだった。
「はああっ、もにゅっとした白いのと、中のすっごく甘くて黒いやつ、それにイチゴが混ざり合って、全部甘くて、全部美味しい! 凄い、凄い!」
と、食べながらも感想を言うのも忘れない。
ああっ、気持ち良い……!
せっせと作ったお菓子を、褒めたたえながら豪快に平らげてもらうのって、すっごく気持ちが良い!
まさに、料理人冥利に尽きるというやつだ。
するとそこで、それをうらやましそうに見ていたシツジたちが、じゅるりとよだれをたらし、子供のようにおねだりを始めたのだった。
「わっ、若君! ワガハイたちにも、お慈悲をー!」
「お願いしますですな、一生のお願いですなっ!」
「なにぃ? しょうがないなあ……。じゃあ一人一個だぞ!」
と、口元をアンコで汚しながらも優しい青くん。
それにシツジたちは、わーい! と歓声を上げる。
そして山盛りのイチゴ大福を、言われた通り一つずつ取り、あむっ、とかじりつく。
「あっ……うっ、美味い……! 初めての味だけど、うーまーいーぞー! ですなっ!」
「ああっ、このもちもちした白いの、大好きですなっ! 食感も味もサイコーですなっ!」
「なっ、中の黒いの、ウマーですなあっ! 独特の味でクセがあるけど、ワガハイ、大好き! ニンゲン、これ何と言うでありますな!?」
「アンコよ。アズキっていう豆を煮込んで、砂糖と合わせたものなの」
「アンコ……! ワガハイ、アンコ大好きですなぁ!」
「へー、アンコかあ。ウルリカはほんと、なんでも知ってるなあ! あー、美味い美味い!」
なんて、イチゴ大福で大盛り上がりの青くんとシツジたち。
本当に、青くんとシツジたちの関わり方は、上のお二人とはまるで違う。
かなり距離が近くて、ガキ大将とその子分といった感じだ。
なんてことを考えているうちに皿は空になり、彼らは私がかなり時間をかけて作った大福を、瞬く間に平らげてしまったのだった。
作るのは大変で、消費するのは一瞬だ。
だけどまあ、見てて気持ちよかったし、喜んでくれたから良かった。
これが作り手の喜びってやつよね、なんて私が充実感を感じていると、そこで青くんがにっこりと笑って、こう言ったのだった。
「はー、お腹膨れたぁ。じゃあ、そろそろ人間から手に入れてきたものをお披露目するぞっ! 見とけよ、お前ら!」
そして取り出したのは、もちろん人間の街で買ってきた玩具の山だ。
いくつかは雷で焼けてしまったけど、ほとんどは無事で、一息入れてから遊ぼうと決めていたのである。
「イエー! 若君、早く早くっ! 早く見せて欲しいですなっ!」
「そう焦るなって……じゃーん! どううだ! 自動で動く木の人形だぞ!」
「おおー! なんと、こんな凄いものを人間が!?」
なんて、ゼンマイ仕掛けの人形を大喜びで動かして見せる青くんと、いちいちリアクションが良いシツジたち。
私もその横について、青くんが使い方をわからなかった物には解説を入れていく。
「はー、人間の道具って本当に面白いな! これで当分は遊べるぞっ!」
そうしてひとしきり玩具を広げ終わり、ご満悦の青くん。
確かに、これだけあれば遊びには事欠かない。
特に、サイコロひとつを握りしめ、使い方をずっと考えていたという青くんならなおさらだろう。
遊び相手としても、私やシツジたちがいることだし。
そうしてすっかり幸せそうな青くんだったけど、そこでふと、その表情が曇った。
「……? どうしたの、青くん」
「あ、いや……」
不思議に思った私がそう聞くと、彼は一瞬そう言ってためらったが、やがて私のほうを見ると、こんなことを言い出したのだった。
「ウルリカ。いろいろしてもらったのに、悪いんだけどさ。もう一つだけ……お願い、していい?」
「……うん、私にできることだったら」
と、少しだけ警戒しつつもそう応える私。
自分の保身を考えてではない。
青くんと過ごした時間はまだわずかだけど、私はすっかり彼のことを好ましく思うようになってしまったのだ。
彼が何かして欲しいのなら、可能な限り叶えてあげたいのである。私は。
すると彼は、「ありがとう!」と明るい表情で言った後、わずかにうつむいて、こう言ったのだった。
「実は、僕……兄様たちと、この人間の道具で一緒に遊びたいんだ」




