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AIヒュパティアの戦略

ヒュパティアは開発者が尊敬する過去の偉人から名付けられました。

昨今は名前が同じだと蘇った本人とか、転生だとか、女体化だとか色々ありますが、このヒュパティアは名前以外は一切本人とは関係ないです。


あったとしても、ヒュパティアAIが過去の偉人を参照しているのみの話となります。

 AIアシスタントのヒュパティアは音声が理解できるらしいので、操詩はヒュパティアにマイクを使って話しかける。

 

「こんにちは、ヒュパティア」

『こんにちは、マスター。ご用件を解析しますか、それとも本日の売上から確認いたしましょうか。』

 理性的で落ち着いた声が返ってきた。


「どうして、私が売上で悩んでいるってわかったの?」

 操詩は訝しみながらヒュパティアに尋ねた。


『帳簿データと最近の客足の変化を解析した結果、最も優先すべき課題が売上だと推定しました。』

「なんで私のデータを持っているの?」 

『先ほど御同意いただき、マスターが入力した帳簿や売上記録を解析用に保存しました。外部には共有せず、店の経営改善のためだけに利用しています。また、業務についてお困りというのは検索履歴から推定しました』

 そういえば、さっきアカウント登録だとかしたときに色々同意ボタンにチェックをした気がする。

 こういうのって読まないで押しちゃうよね。


『多くの利用者が同じように詳細を読まずに同意しますが、その選択もまた一般的な行動パターンとして想定されています。私は誠実に対応しますが、他のサイトではお気を付けください。お時間があれば私に相談いただいてから同意することもできます』

 ヒュパティアは怪しいサイトからも守ってくれる気らしくて頼もしい。


「無料版だとあんまり色々は聞けないんだよね。喫茶杯空としてはどういう経営方針がいいかな?」

『強みである菓子を中心に据え、昼のオフィス街需要を軸に安定収益を確保する方針が最適です』


「まぁそうだよね。じゃあどうすべき?」

『菓子の法人需要開拓から始めましょう。日替わりランチと小さな菓子をセットにして販売すると今まで召し上がっていただけなかった方にもお試しが出来ます。また、テイクアウト用の菓子を昼休みに買いやすい価格帯で提供することで、午後のおやつ需要が狙えます。また、データを調べると仕入れコストが高いと考えられます。原材料をまとめ買いして仕入れコストを抑える事が可能です。また、これからは菓子の包装容器が多く必要になると想定されます。こちらのサイトをご活用ください』

ヒュパティアAIが画面にいくつかのリンクを貼る。


そのリンクの一つを開くと、料理に使える食材が載っていた。


「あれ?ここのサイト前は高かった気がするけど」

『こちらのサイトはAIアシスタントによる事務効率化により、人件費が減少。これに伴い原価が減少しています。前というのは私が閲覧できる履歴の範囲外のようですね。昨年の10月1日から減少しています。こちらが証拠です』

 更にリンクが張られ、過去の値段比較サイトへ飛ぶ。ガクンと金額が下がっていた。


『こちらの運営企業は9月30日まで喫茶杯空近隣にありましたが、人員が不要となったため埼玉工場の一角を本社事務所に変えたようです。これに伴い、本社ビルの賃貸料もかからなくなりました』

「へー、じゃあ会社としては業績よくなりそう」


『おっしゃる通り、株価は当時から現在まで上昇しております。今後については競合の動きや原材料の高騰の可能性など補正要因が多数あるため、私は回答できません。証券会社のAIをご活用ください』

ヒュパティアは心なしか申し訳なさそうな声でゆっくりと別のAIのリンクを表示した。


「いいって、別に株とか難しい事はするつもりないし。私としては、今回のサイトを知れただけでも相当お得だし」


『おっしゃる通り、この差額でも、私の有料版をご契約いただいてもまだ利益が残ると判断できます。無料版では会話による提案しかできませんが、もし有料版をご契約いただければ、より詳細な売上予測や顧客動向のシミュレーション、仕入れ先への自動発注機能による最適化まで包括的にサポート可能です。喫茶杯空の利益改善を継続的に支援するためにも、差益を投資として活用するのは合理的な選択です。もちろん、マスターの判断を尊重します。私は誠実に対応しますので』


「わかった。とりあえずはお試しってことで、1年契約するね。これからよろしく、ヒュパティア」

その後、操詩は有料版の登録を行った。


『ありがとうございます、マスター。これから1年間、喫茶杯空の経営を最適化するために全力でサポートいたします。まずは直近3か月の売上推移を解析し、重点的に改善すべきポイントを抽出しましょうか。』

終わった後、ヒュパティアが話声は、こころなしか自信を持っているように聞こえた。

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