第22話 アルレシア強襲 その4
青い髪の男。右腕に戦士のジョブバングル、左腕には魔導士のジョブバングル。
槍と魔術の両刀使い、暗黒騎士か……。
「は、ハモンさん!?」
「お前……」
僕は笑顔で2人の方を振り向く。
「父上、母上。少々お待ちください。賊は僕が片付けます」
「そうですか。あなたがハモン=ファルシオン。取るに足らない存在だと聞いていたのですがね……」
「あなたはザイールですよね? 今回の襲撃の首謀者、でしょう」
「ええ、そうですよ。此度の戦い、こっち側の玉は私です。私を討てば、あなた方の勝ちです」
「話が早くて助かります」
同時に飛び出し、武器を重ねる。
「……この一太刀でわかる……! 相当やりますねぇ、あなた!」
「今の一撃を受け止めるとは、あなたはそこそこやるようですね」
二度、三度と刃を交えると、ザイールから距離を取った。
「くっ! これだけ身体能力に差があるというのに、私が押されるなんて!」
シノヴァンの体なら最初の一撃は片はついていた。
この程度の手合いにここまで時間がかかるなんて……。
「せっかくです。もっと広い場所で戦いましょう」
ザイールは床に手を当てる。
「“紅蓮の業火よ、愚か者の逃げ足を奪え”」
ザイールの立ち位置から僕の立ち位置までの床が熱くなる。
「――【炎熱葬穴】」
僕は地面の熱から逃げるため、飛び上がる。
同時に、地面が溶けた。僕とザイールは下の階――食堂へ落下する。
テーブルに着地する僕、床に着地するザイール。
ザイールはテーブルを掴み上げ、足場を崩してきた。僕は態勢を崩しながらもテーブルを斬り裂き、両断されたテーブルの間から飛び出す。
「攻勢の一」
僕は剣を振り上げ、振り下ろす。ザイールは槍の柄で受ける。
続けて高速で剣を振り上げ、振り下ろす。二撃目はヒットポイントをずらし、相手の槍の持ち手を狙う。
「うっ!」
ザイールは僕の狙いを感じ取り、左手を槍から離した。二撃目が槍の矛先側の柄に当たる。槍が傾いた。その隙を狙い、三撃目。振り下ろしの斬撃で防御のない左肩を狙う。
「“陽光剣”」
「“水面よ、隔絶せよ”!」
しかし三撃目は水の壁に阻まれた。
「【激水障壁】!!」
「くっ!」
水の壁にはじき返され、吹っ飛ばされる。
床に靴底を擦りながら着地する。
「……屈辱ですが、あなたに接近戦で勝つのは難しそうだ」
きた。
やはり魔術に切り替えてきた。狙い通りだ。
勝ち筋を絞り込めれば、守勢で狩れる。
「ふーっ……」
あの技を使うため、僕は剣に魔力を込める。
斬魔刃の効果で、剣の魔力耐性が上がっていく。
「無駄です。次に使う魔術は、あなた如きの魔力じゃ防ぎきれない!
――“集え風魔。螺旋の槍を象り、仇名すモノを打ち払え”!!」
烈風が渦を巻き、矛先を向けてくる。
この屋敷の一階を全て吹き飛ばせるほどの豪風だ。
「天覇双刃流」
「消え失せなさい! 【風尽螺旋槍】!!」
迫りくる螺旋の槍。
僕は螺旋に合わせて剣を横に薙ぐ。
「守勢の二」
剣で魔力の流れを汲み、自身のコントロール下に落とす。
豪風は僕の剣に受け止められ、留まった。
「ば、馬鹿な……私の魔術を、纏っただと!」
風を剣に纏ったまま、僕は走り出す。
「最初から、あなたの魔術を防ぐ気はない」
――跳ね返すつもりだ!
「す、“水面よ”――!!」
「“逆月”!!」
豪風の一撃をザイールに叩きこむ。
「ぐ、ぱ! がああああああああああああっっ!!!」
ザイールは壁を突き破り、屋敷の外まで飛んで行った。
「天覇双刃流に隙はない」
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