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気楽なお茶会⁉

第6話楽しんで

お茶会での劇的な出会いから数日。

なんと、クロエが我が家――エルバート公爵邸に遊びに来てくれることになった。


「わあ……! ラナ様のお家、すっごく大きくて綺麗です!」


公爵邸の広大な庭園に足を踏み入れたクロエは、大きな瞳をさらに輝かせて歓声を上げた。お姉ちゃんにいじめられて泣きそうだった面影なんて微塵もなく、本来の元気いっぱいで天真爛漫な笑顔を見せてくれている。その姿に、私の心は朝から癒やされっぱなしだった。


「ふふ、歓迎するわ、クロエ。今日は誰にも邪魔されない特等席を用意させたの。さあ、行きましょう」


私はクロエの手を引き、庭園の奥にある、美しい薔薇に囲まれたガゼボ(東屋)へと案内した。

テーブルの上には、特製の『苺のタルト』が並んでいる。サクサクのパイ生地にとろけるようなカスタード、安定の美味しさを誇る大粒の苺。


「いただきます! ……んんん~っ! おいしいです! ほっぺたが落ちちゃいそうです!」


タルトを一口食べたクロエは、両手を頬に当てて幸せそうに身をよじらせた。

本当に美味しそうに食べる。前世の記憶のせいで、常に周囲の「破滅フラグ」を警戒し、心が張り詰めていた私にとって、クロエとこうして気兼ねなく美味しいお菓子を食べる時間は、まさに至福のオアシスだった。


(ああ、幸せ……。ずっとこの平和な日常が続けばいいのに――)


私がそう願った、まさにその瞬間だった。


「おや。ずいぶんと賑やかで、楽しそうな声が聞こえると思ったら……ここにいたんだね、ラナ」


――心臓が、ドサリと嫌な音を立てて跳ね上がった。

薔薇のアーチをくぐって現れたのは、まばゆい金髪を陽光に輝かせた第一王子、レオンハルト殿下だった。


(な、何でここにいるのよーーー!?!?)


私の脳内で最大級の警戒警報が鳴り響く。

私が慌てて完璧な淑女のカーテシーを決めようとした、その時だった。


「ラナ様ッ! この男の人、誰ですか!? 私たちの邪魔をさせません!」


バッと私の前に立ちはだかったのは、なんとクロエだった。彼女は小さな体をいっぱいに使って私を背中に隠し、野生の小動物さながらにレオンハルト王子をキッと睨みつけたのだ。


「……おや。ラナの可愛いお客様は、ずいぶんと威勢がいいね」


レオンハルト王子の美しい眉がピクリと跳ね上がる。その目は全く笑っていない。


「私はラナ様の大親友のクロエです! 王子様か何だか知りませんが、今私たちはラナ様と二人っきりで楽しくタルトを食べる約束なんです! お邪魔虫は帰ってください!」

「ふん……。僕がラナの婚約者候補、レオンハルトだ。不法侵入したわけでもあるまいし、僕がこの邸のどこにいようと自由だろう。それに、ラナの隣は僕の特等席だ。君こそ、僕のラナにベタベタと気安く触らないでもらえるかな?」


「なっ……! ラナ様は私のものですー!」

「僕のものだ」


バチバチバチッ!!!


二人の視線が交差した瞬間、ガゼボの中に目に見えるほどの激しい火花が散った。

レオンハルト王子は普段の冷徹な仮面をどこかに放り投げ、一令嬢であるクロエ相手に大人気なく本気で張り合っている。対するクロエも、私の隣を死守すべく一歩も引かない。


……そんな二人を、私はガゼボの真ん中で、ぽかんと口を開けて見つめていた。


(ちょっと待って……。なんでこの二人、こんなに怒ってるの? ……あ、そうか!)


私はポン、と手を叩いた。


(お腹が空いてるんだわ! 子供って美味しいものが目の前にあると、すぐ意地汚く張り合っちゃうものね。レオンハルト王子も、普段はすましているけれど、やっぱり公爵家特製の苺タルトの魅力には勝てなかったのね。独り占めしようとしたクロエに怒っちゃうなんて、王子様も意外と子供っぽいところがあるじゃない)


すべてを「お菓子の取り合い」という独自の解釈で納得した私は、おっとりと微笑んで二人の間に割って入った。


「お二人とも、お茶会の席で喧嘩はいけませんわ。タルトなら厨房にまだたくさんお代わりがありますから、そんなにギスギスしなくても大丈夫です。さあ、レオンハルト殿下もどうぞお座りになって、一緒に召し上がれ?」


「「……え?」」


私のズレすぎた仲裁に、レオンハルト王子もクロエも、一瞬だけバチバチを忘れて呆然と私を見つめた。


「ラナ様、そういう意味じゃなくて……」

「ラナ、君は本当に……いや、何でもない。そのタルトをいただこうか」


「ええ、仲良く食べましょうね!」


ラナが「ただのお菓子の譲り合い」だと思ってニコニコしているせいで、王子もクロエもそれ以上何も言えなくなってしまい、結局そのまま微妙な空気でタルトを突き合うことになるのだった。


もちろん、ラナは最後まで、二人が「自分という存在」を巡って大真面目に独占欲を爆発させていたことには、これっぽっちも気づいていなかった――。

聞いてください!!!  最近好きな作家がいるんですけどその作家から作品のアドバイスなどがもらえちゃいました!!  うれしすぎるーーー  (≧▽≦)

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