上
「これからもよろしくね」
彼氏が弟になった、これからどういった関係になるかはわからないが私は今まで通りの関係でいたいでも今の彼がどんな状態かわからない、何を話しかけても唸り声を出すだけだった。
なぜこんな状態になったのかは知っているし、彼を理解していると思いたい、両親が目の前で亡くなったかただろう、それっきり彼女である私にすらも会話出来ない程に精神を病んでいた。
そんな彼を我が家が引き取った、そして彼は今我が家の一室の隅で丸まっている。
あの日から三日程度たったが彼になんと声をかければ良いのか考えたが分からなかった、でも確かに彼の事を支えたいと思っている、それでも彼を支える言葉あるいは彼を立ち直せる言葉が見つからない、頑張れと言ってしまうのは簡単だ、でもそれは無責任な言葉だし彼にとってどう聞こえるかが分からない、今の彼の状態はどんな言葉が彼を追い詰める言葉になるのか分からない、でも確かにあるこの気持ちを言語化できれば彼の支えになれると思うでもそれを言語化を出来ない。
どうすれば良いのか、多分きっと医者に見せるのが一番いいのだろう、でも彼は今不特定多数の他人に対し極度の恐怖を抱いている、お見舞いに来たクラスメイトにすら恐怖心を抱いていた、その様を見るのは私にはとても辛く見てられない。
考え事をしていると過ぎる時間も速くなるな、もう晩御飯の時間か。
「ご飯の時間だけど食べに行ける?」
動く様子が見えない以上、食べに行ける状態ではないのだろう、なら私がここで食べるか、本当に心配だ、少し目を離しただけでどこかに行ってしまいそうで。
とりあえず二人分の晩御飯をリビングから持ってくることにした。
「はい、ご飯持ってきたよ」
どれだけ話しかけたしても返事は無かった。
辛い、その言葉が口から溢れそうになる、私も十分辛い、彼氏の親とは言え随分長くお世話になった人だ、それなりに精神的に来るものがある、でも十分に辛いこの私以上に十二分に辛い思いをしている人が目の前にいる、そのことを考えれば弱音なんて言ってられない、目の前の彼を励ます強い言葉を言わねばならないのだろう、だがそれでも、そう分かっていてもその言葉が出ない、どうすれば良いのかわからないなあ。
「自分で食べれる?」
やはり返事は無い、今彼と一番親しいのはこの私だろう、その私ですらこの対応だ、はあ、どうすれば良いのか、私はもうそろそろ夏の長期休みが終わり学校に通わなくてはならなくなる、それまでに私と話せるくらいまでは回復させたいができるのかな。
何か言ってあげれることは、やってあげれる事は無いのかと考えても無かった、どんな言葉も原動も無責任に感じてしまう、無責任に「生きて」なんて言えない、そんな強い人じゃないしそんなに無責任な人じゃない、本当にどうすれば良いのかなあ。
もうだめだ、涙が溢れそうになる、とても辛いこの現状から逃げ出したくなる、でもここで泣くのも、逃げるのも駄目だ、そう自分に言い聞かせても涙は溢れそうになってしまう、もはや我慢の限界が来たのだろう、完全に涙が零れる前に部屋を出て壁を背もたれにし地べたに座り込んで我慢していた涙を零した。
どうにか完結はさせます。ただ続きが思いつかないので数カ月に一話とかのペースになるかも、別シリーズも投稿するのですがそっちが本命でこっちは展開が思いつき次第書いていく感じで行きます。