9008列車 それが魅力
新函館北斗から「はこだてライナー」に乗車し、函館駅へ。函館駅に到着するとレンガ倉庫の方まで萌と歩いた。レンガ倉庫で今治と合流し、かなり遅い昼ご飯を食べて、函館を出発した。
函館を離れ、恵山の方向へ前の車に歩調を合わせて進んでいくと、
「ああ、これか。」
今治がふと声を上げた。その声につられるように、左に見えたものを見た。
「これかぁ。」
といってすぐにそれは後ろへと過ぎ去っていく。
先ほど見えたアーチ連接構造の橋は戸井線というかつての鉄道路線の遺構である。とはいうものの、このアーチ橋を鉄道が通ることはなかった。そう、戸井線は未成線なのだ。その遺構が今も残っているのだ。そして、国道の近くを通っているためこうしてみることが出来たのだ。
なお、あの橋は今津波対策の一環として避難場所となっているらしい。まぁ、海沿いにある高い場所に出来た橋は緊急避難場所としては最適だろうなぁ・・・。
戸井線の遺構をかすめながら、恵山の方向へと車を走らせると今治からある場所によってと提案された。国道からいったん離れ、細い道をひたすら走って着いた場所に車を止めた。他に車は止まっていない。
車を止めると今治は荷物を手に海岸の方へと降りていった。僕たちも車に乗ったままでもやることがなく、今治の後に付いていく。海岸を見ても、太平洋が広がっているだけだ。
「今治、ここが温泉。」
「そうだよ。幻の温泉って呼ばれてるところ。」
確かに幻なんだろうなぁ。今は海しか見えない。だが、波が押し寄せている海中に目をこらしてみると明らかに自然のものじゃないのがある。ここは水無海浜温泉と呼ばれる場所。今治が言うには「水曜どうでしょう」という番組で出た場所らしい。
「ねぇ。」
そう言い、萌が僕の体をつついた。
「ちょっ。」
「ナガシィ、ここって更衣室あの場所だけなのかな。」
といい、海岸から少し離れた場所にある木(?)で出来た建物を指さした。周りを見回してみても、建物はそれしかない。萌の言うとおりあれば更衣室と考えていいらしい。
「みたいだね。」
「ここって、誰か来て裸だったらどうするのかな。」
男同士ならどうにでもなるだろうけど、片方が女性だったときは大変どころじゃないよなぁ。下手したら警察呼ばれそう。いや、それよりも男が変な気起こした方が大変・・・だよね。
「どうしようもないね。」
「私、ここで温泉はいりたくないよ。」
頬を赤くして言う。
「今は、海に浸かってるから温泉入らないんじゃない。」
「いや、今じゃない時よ。」
「大丈夫、ここ来ないし。」
「永島。」
今治が下の方で呼んだ。いつの間にか今治は波打ち際まで行ってしまっている。
「写真撮るから、頼むよ。」
何の写真を撮るんだか・・・。
後で調べて分かったことだが、水無海浜温泉への入浴は水着を着た方がいいとなっている模様。温泉は干潮時のみ入れるのだが、熱源は加減を知らない自然のため入るときは十分注意するように。そして、「それが魅力」(←超重要)。




