9002列車 レヴォ快走
新千歳空港から少し離れた位置にレンタカー屋は位置している。空港から直行で運転されるシャトルバスで離れたレンタカー屋に着いたのは出発予定時刻よりも5分ほど後だった。
借りる車は去年と同じSUBARU・レヴォーグだ。北海道では運転し慣れた車で勝手も分かる。
スタッフからいろいろ説明を聞いていたら、出発時間から15分過ぎた。
「さて。じゃあ最初の行き先入れようか。」
今治はボードを取り出した。それにはどこを回るのかが書いてある。
「最初に行く場所は時間がかかるんだよねぇ。」
「うん。160キロぐらい離れてるからね。」
160キロかぁ・・・。在来特急だった「はくたか」で1時間しかからない距離だが、車じゃあもっとかかるかぁ・・・。途中道央道に乗るからと言って100キロ。出せても110キロがいいところだなぁ・・・。いや、たぶん125キロ出すかもだけど・・・。
「えっと・・・。」
今治が最初に目的地「くろまつない」の場所を入力する。距離は新千歳空港から158キロ。
〈うーん、数字を見るとあんまり離れてないような気がするんだけどなぁ・・・。〉
ちょっと前に守山から札幌までの弾丸旅行を敢行した人からしてみれば移動距離が火災過ぎる・・・。あのときは片道で1700キロぐらいだったなぁ・・・。
「よしっ。入力完了。」
「ポン、今日も安全運転で参りましょう。およそ100メートル先、左方向です。」
「よしっ。じゃあ無理しない程度に遅れを取り戻そうか・・・。」
そう言うと、車のサイドブレーキを解除し車を進め始めた。
空港からでるとゴールデンウィークに電車で通り過ぎた千歳線が見えてくる。前に来たときは「北斗」に乗ってきたんだよなぁ・・・。あれは我ながらよくやったと思う。それは萌とよく話すことだ。
駅に止まっているのは721系の快速「エアポート」だろう。
さて、カーナビに従い、車を道央道の千歳インターの方へと走らせていく。去年も見た光景が後ろに流れ、道央道を札幌方面ではなく、室蘭方面へと乗った。
「ブゥゥゥゥゥン。」
車のアクセルを踏み込んだ。スピードは40キロから見る見ると80キロまで上がっていき、そのスピードで本線へと入った。本線に入っても加速を続け、あっという間に100キロまで持って行った。
「よしっ、新快速で飛ばしてくよ。」
ここで言う新快速は時速130キロだ。
「いいよ。新快速でも青函トンネルでもいいから飛ばしてって。」
萌がそう続ける。青函トンネルの最高速度は現状140キロ・・・。うーん、さすがにそこまで出す気はないかな。
「まぁ、できるだけ「くろまつない」まで時短お願いだよ。」
アナログメーターとタコメーターの間に表示されるデジタルメーターのスピードはすでに115キロを記録している。
流れていくほかの車は115キロで走るレヴォーグでさえ抜いていく。その車に合わせるかのようにレヴォーグはスピードを上げていった。