23 条件
控室。
ミナは、少しだけ間を置いてから赤に聞く。
「……いつから、知ってたんですか」
自分でも、何を指しているのかははっきりしない。
あの線なのか、
さっきの接続なのか、
それとも、もっと前から続いている何かなのか。
それでも、聞いてしまう。
赤は、すぐには答えない。
少しだけ視線を外し、
何をどこまで言うべきかを測るみたいに、
ほんの短い時間だけ考えてから、口を開く。
「最初からじゃない」
そこで一度区切る。
「……途中から」
ミナは、その言葉をそのまま受け取る。
最初からではない。
途中から。
つまり、
知らないまま続けていた時間があって、
どこかで、それに気づいたということになる。
「……なんで、そのまま続けてるんですか」
言いながら、少しだけ違和感が残る。
気づいたなら、止まるのではないか。
あるいは、離れるのではないか。
そういう選択が、あっていいはずだと思う。
赤はミナを見る。
その視線は、強くはない。
ただ、何かをすでに決めている人間のそれだった。
「続けないと、届かない」
短い。
けれど、その言葉は、
説明よりも先に結論だけを置いたみたいに響く。
ミナは、その意味を考える。
何に、届くのか。
どこに、届くのか。
答えは出ない。
それでも、ひとつだけ分かる。
赤は、ただ従っているわけではない。
自分の意思で、ここに残っている。
続けている。
何かに向かって。
あるいは、何かを待ちながら。
届く条件を揃えながら、待っている。




