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02 並ぶ

通路は白かった。


壁にも床にも継ぎ目が少なく、どこまでが設備で、どこまでが舞台用の構造物なのか分かりにくい。

等間隔に埋め込まれたモニターに、文字が流れている。


>今日の新人って白?

>赤と並ぶのか

>大丈夫?

>どうせすぐ慣れる

>誰でも一緒だろ


ミナは顔を向けないまま、流れる文字を追っている。


赤が前を歩く。距離は半歩。一定。

乱れない。


「見てる?」


不意に言われる。

ミナは少しだけ視線を上げ、すぐ逸らした。


「……見てないです」


赤が少しだけ笑う。


「見てるじゃん」


否定しない。

ミナは何も言わない。


「最初は気になるよね。でも、すぐ気にならなくなる」


「……見なくてもいいんですか」


「いいよ。見てもいいけど」


どっちでもいい、という言い方だった。


控室は、普通の楽屋とは違っていた。

椅子はある。鏡もある。けれど、どれも人間の身体より、

機体の待機を前提にしている高さと距離だった。


青が壁にもたれている。

黄は椅子に座り、足を揺らしている。

紫は鏡の前で、自分の顔――機体の顔を見ていた。


「おはよ」


青が言う。

ミナは少し遅れて「おはようございます」と返す。

黄がちらりと見る。


「白?」


「はい」


「ふーん」


それだけだった。興味は長く続かない。

控室のモニターにも文字が流れている。


>紫やっぱいいな

>白は普通

>赤が一番安定

>青は地味

>黄かわいい


ミナは視線を逸らす。

だが、頭に残る。


赤がいつの間にか隣に立っている。


「気にしなくていいよ。どうせ変わるから」


何が、とは聞かなかった。

聞く前に、準備の合図が鳴ったからだ。


全員が自分の位置につく。

右に赤。左に青。後ろに紫。少しずれた位置に黄。


モニターが流す。


>配置これでいいの?

>赤センターでしょ

>誰でもいいじゃん

>変わっても気づかない


ミナは前を見る。

何も考えない。


ただ、そこに立つ。


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