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12 なかった
控室に戻る。
ミナは「さっきの」と言う。
青が「何が?」と返し、
黄は「当たってないよ」と笑う。
赤は「問題なかった」と短く言う。
紫は少し遅れて、ぎこちなく動き出す。
けれど、誰も見ない。
モニター。
>最高だった
>過去一更新
>臨場感やばい
>ミスとか分からん
そこに映っているものは、
さっき見たものと違っていた。
衝突も、停止も、存在していない。
最初から、なかったみたいに。
見たものと、残るものが、違う。
そのズレは、思っていたよりも静かで、
誰にも引っかからない。
ミナは初めて思う。
ここでは、現実が否定される。




