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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ファイアロッドの大迷宮編

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食べるものは、謎肉しか無かったのよ

 

「ルクナー、この毛布使える?」

「んー……くちゃそう」


「じゃあこの食器は?」

「食器はちょっとあれだね……」


「この置物可愛くない?」

「それ呪われているよ」


「……大事に育てられたんだなってわかるよ」

「えっ、なんでさ」


 まぁちょっとわがままという自覚はあるけれど、素直な感想って大事よ。

 手分けして周辺の探索をしてみたけれど、大したものは無かった。探索者の物と思われる迷宮産の武器とかは回収したけれど……後は宝箱が三つあったので、開けてみよう。

 ランクの低い木の宝箱と、鉄製っぽい小さな宝箱、後は黄色い銀製っぽい宝箱。


「宝箱には食べ物無さそうだよね」

「まぁ、それは仕方がないでしょ。先ずは木の箱から」


 オープンっ!

 くせぇっ!


「ごほっ! ごほっ! くさっ!」

「何これ最悪っ!」


 開けた瞬間腐った卵みたいな臭いが充満……これ罠か。

 はぁ、気が抜けていたよ。爆発の罠とかなら痛いじゃ済まないし……


「はぁ、はぁ、気を取り直して中身をみよう……」

「なんか怖いんだけど」


 中身は臭くないと信じて……

 うん、百ゴルドがポツンと入っていた。

 くそっ、ハズレか。


「……イシュラ、燃やして良いよ」

「……うん、ファイア」


 パチパチと燃えている宝箱を尻目に次の鉄製宝箱へ。

 小さい宝箱なので、今度は落ちていた杖で開け口を引っ掻けて、後ろから開けてみた。

 ──シューーーー!


「ぅおっ! 危なかったね」

「毒かなんかかな?」


「いや、臭いのが身体に付いて数日臭いってやつだね」

「嫌らしい罠だね」


 シューが終わって、中身を確認。

 干した草……干し薬草の束とお金が十万ゴルドくらい。

 まぁ、鉄製ってこんなもんだよね。


「干し薬草だから、一食分にはなるねっ」

「干し薬草って苦いじゃん。まぁ近付いて来たというか」


 最後は銀製宝箱。

 前回は割りとお金になったから期待は出来る。

 上手く杖で引っ掻けて、後ろからオープン!

 ──ビチャ。


「今度は臭い液体が掛かる罠だね」

「臭いのばっかり……」


 宝箱の前が汚いので、二人でずらして中身を確認。

 本が多いな。


 一番上にはエッチな本と書かれた禁書……中身は禁断の書だった。


「イシュラ、要る?」

「えっ、ばっ、いらないよっ! お宝はルクナのものだしっ!」


 気になるくせに。

 お次は禁術・痛いの痛いの飛んで行け……回復じゃなくて、痛いのが無くなるのか。


「私は違うのあるからイシュラにあげるよ」

「う、うん……」


 魔法書は魔力を通して素質があれば覚えられる。人によって何冊とか制限はあるけれど、イシュラは魔力が高いから結構覚えられそう。でもなぜに禁術?


 次の本は、水の魔法書・名水百選……美味しい水が飲めるとか素直に嬉しい。普通の水魔法だと周りの環境で風味が変わるから、因みに砂漠だと土臭い。

 早速覚えよう。


「名水百選っ。おっ出た出た、飲んでみてー」

「ありがと……うまっ。もう一杯」


 後は下位の魔法書や料理本、知らない言葉のファッション雑誌、猫の図鑑、食べられる野草の本、宝の地図、再びエッチな本と普段だったら喜ぶ内容。

 お金は三百万ゴルドくらいで、少し宝石もあった。


「……生きて帰れたらゆっくり読もう」

「うん……でも宝箱って凄いんだね。こんなに稼げるんだ……」


「その分命の危険が付きまとうけれどね。イシュラもこの際だから探索者で稼ぐ? 上手く行けばお金持ちだよ」

「うーん……お金はあるに越した事はないけど、夢……出来たし」


「えっ、なになに? 教えて?」

「本で見たんだけど、国際真偽官って職業があるらしいんだ。関連魔眼持ちは優遇されるって書いてあって……」


「国をまたいで真偽を暴く国際真偽官……イシュラなら絶対なれるよっ。応援するっ!」

「ありがと。でも、頭良くないとなれないんだよね。その前にこの顔治さないとだし、ははは……」


 国際真偽官は普通の真偽官と違って帝国で行われる国際連合主催の試験を受けて合格しないといけない。普通の真偽官はこの国主催の試験で、それでも難関と言われる。

 一般の学校じゃなく、学院に通う必要があるか……丁度私が休学したから代わりに……いや学年が違うな。

 入学出来るか幼女に聞いてみるか。


「イシュラの眼は私が絶対治すんだからっ。よしっ、早速行こうっ!」


 先ずはこの迷宮から脱出しないと。

 そういえば名前ってあるのかね? 解析の魔眼発動っ!


「……そのポーズ何?」

「物とかは名前とかパッて解るけれど、魔物とか迷宮とかより深く知りたい時はこのポーズなの」


 指で窓を作ってキメ顔で格好良いポーズ。

 まじダサいよね。あんまり見ないで。

 おっ、出た出た。

 砂龍の迷宮。さっきのは砂龍だったのかね?

 因みにファイアロッドの大迷宮は本当の名前じゃない。常夏の迷宮という陽気な名前だ。

 名前が解ったところで探索開始。

 この迷宮は魔物のお腹の中って感じの肉感満載ぐにぐにした壁……

 あっ、この壁食べられるんじゃね?


「ルクナ、それは流石に……」

「死ななければ大丈夫だよ」


 ナイフでゴリゴリ。

 よいしょ。

 よいしょ。

 よし、削げた。

 見た目は生の干し肉。生ハムってやつだね。

 一応火で炙って……匂いはクセのある野生の肉。

 舌先で舐めた感じは、まだ大丈夫。

 かじってみる……泥水に浸けた新鮮な謎肉って感じで、うん、素直な感想は不味い。


「……美味しいの?」

「不味いけれど、食べられない事はない。イシュラも食べてみて」


「……うん、不味いね。まぁでも、親に捨てられた時に食べた草よりは美味しいね」

「そ、そう……餓死は、しないね」


「まぁ、ね。餓死は、しないけど……不味いね」

「うん……不味いね」


 くっちゃくっちゃと謎肉を噛んで、噛んで、噛んで……飲み込めんな。飲み込もうとすると喉が拒否する。

 頑張ってくっちゃくっちゃして、なんとか飲み込んだ。


「なんか、お腹一杯になった」

「うん……お腹一杯だね。飴ちゃん食べる?」


「ありがと……うまっ」

「うわぁ、飴ちゃんめっちゃ美味しい。この謎肉は飴ちゃんを美味しくする為の謎肉なんだね」


「食べちゃったけど、死なないよね?」

「あぁ大丈夫。即効性じゃなきゃ助かるから」


 不安な顔しないでよ。

 絶対大丈夫があれば死なないから。

 念のため、もう一切れ取っておこう。一切れで二人がお腹一杯になるとか益々謎肉だな。

 あっ、謎肉を解析したら解るか……っ!

 ……やべっ。


「どうしたの? 虫でも付いてた?」

「あぁいや大丈夫っ。なんでもないよっ。あっちに進む道があるから行こうかっ!」


「もぅ、気になるしょ」


 イシュラに服を引っ張られながら、奥へと進む。床も少しぐにぐにしているから体内っぽいよね……砂龍の。

 奥には扉……ではなく皮膚のような膜があり、ナイフでスパっと斬ると膜が開いて通路が現れた。


「うーん、砂龍が迷宮核を取り込んで体内が迷宮化した感じかなぁ」

「へぇー、そんな事もあるの?」


「あるらしいよ。じいちゃんが言っていたから本当だと思う」

「ルクナのお爺ちゃんって凄い人なんでしょ? どんな人だったの?」


「じいちゃん? 強かったよ、凄く。エリスタ一族最強って自分で言っていたけれど、本当だったと思うよ」

「強さなんてわからないけど、ルクナがそう言うなら凄く強いんだね。優しかった?」


「うん、私にだけね。お父さんには厳しかったし……暖かかったなぁ」


 私の頭を撫でる大きな手は、今でも忘れられない。

 じいちゃんが死んだあの時も、頭を撫でてくれた。

 会いたいなぁ。


「私も、お爺ちゃんは優しかったよ」

「イシュラの話も聞かせて? あっ、嫌な事は言わなくて良いよ?」


「あぁ良いよ気にしなくて。もう割り切ってるし」


 魔物はまだ居なさそうだから、お互いの事を話しながら奥へと進んでいった。


 ……イシュラにいつ言おう。

 さっき食べた謎肉……龍の肉は、割りと人生変わるレベルで身体能力が上がる。

 じいちゃんも食べたのかな?

 だとしたら、沢山食べた方が……いやいや、食べ過ぎると身体が変質する言われているし……むしろ資格の無い人間が食べたら魔物化する。

 イシュラは私が居るから大丈夫だけれど、強くなり過ぎたら彼氏が出来ない可能性が高いのよね。


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