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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
ファイアロッドの大迷宮編

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ワームちゃんって二層のボスらしいよ

 


 その後も魔物は出ても火属性魔法で一発……観光地になる訳だ。

 森の中を雑談しながら真っ直ぐ進んでいく。特に何もお宝とかは見つけていない。取り尽くされているようだ。


『あっ、一応この階層にもボスはいるのよ』

「自然型の迷宮だから徘徊型です?」


『そうねー、ボスと言ってもルクたんのファイアランスで一発だよ?』

「じゃあサクッと二層に行きますか」


『見て見てー、あれが次の階層に続く魔法陣』


 森の中を進んで行くと、あちこちにテントが設置してある広場に出た。

 テントは……探索者かな。きっとここを拠点にして素材やら鉱石を集めているのだろうね。

 あまり注目はされたくないので、呪いの眼鏡を着用しアースは変な首飾りを発動した。


「……ん? なんだルーキーか」「ここは子供でも来れるしな」「変な感じだから関わらん方が良いな」


 テントから覗いてきた探索者達に見送られながら、広場の中央にある魔法陣に乗り魔力を通した。

 ……

 ……へぇ、砂漠と聞いていたからわかっていたけれど、これは凄い。

 視界一面に広がる砂漠地帯。太陽に見える天井の風景と、砂の山や岩場やサボテンもある。少しだけ地震のように響くのは魔物かな。感じる魔力の桁が違う……いきなり上位の魔物が出るというのは本当なのだろうなぁ……難易度超位と言っても魔物は中位から上位だからまだ余裕だね。


『二層と三層は砂漠地帯で、私の庭みたいな所ねー。少しだけ探索する?』

「はい。あっ土属性の魔物が多いとなれば、アースさんは王様みたいな感じですよね」


『そうそう、私を恐れて襲って来ないのよ』

「じゃあひたすら砂漠を歩くという事ですか……」


『普通はねー。でも私にかかれば……出てこい砂上船、とワームちゃん』


 ポンっと砂の上に二人乗りの船が現れた。

 帆があるタイプだけれど、船の下に動力であろうサンドワームがいるから意味あるのかな? というかうねうねしていて怖い。


「……乗っても食べられません?」

『うん、私のペットだから大丈夫。さっ、乗って乗って』


 砂上船に乗って、アースと隣り合って設置してある椅子に座ると……サンドワームがキシャキシャ言って進み始めた。速い……けれど変な感じ。サンドワームの乗り心地が意外に良いし。


「……お宝ってあるんですか?」

『二層からは取り尽くされてはいないと思うけど……調べてみるねー。サーチ』


 アースが身を乗り出して砂に手を付けて探査魔法を発動しながらサンドワームに指示を出している。

 アースが私に向かってウインク……どうやらお宝はあるらしい。なんか楽しみ。


「あっ、オアシスですね」

『休憩所かな。探索者のテントがあるし……あそこには寄らない方がいいね。お宝はあの砂丘を吹っ飛ばしたらあるよー』


 この広大な砂漠で砂の中に埋まっているのなら、まだまだお宝はありそう。

 オアシスで水浴びとかしたら楽しそうなのになぁ……

 オアシスから少し離れた場所の、高さ百メートルはある砂の山の前に来た。

 確かにこれを情報無しに掘る事はしないな。


「どの辺りにあります?」

『砂丘を平地にして十メートル掘った場所かな。早速やるねー。ばいーん』


 精霊の魔法は特殊というか、現象にお願いするような感じというか……原理はよくわからないけれど魔力の使い方とか概念が違うんだろうね。精霊装具になれるくらいだから。もちろん普通の魔法も使えるからちょっと羨ましい。

 砂丘が割れるように左右に分かれ、底に穴が空いて……金属の黄色い宝箱が現れた。

 宝箱にもランクがある。

 宝箱の素材や色によって中身の良さが変わり、木製、鉄製、銀製、金製、魔法金属と続いて最高位の宝箱は見た目が豪華らしい。

 今回の黄色い宝箱は銀製の黄色だから、土属性の武器や防具が入っている可能性がある。


「開けて……いや、探索者が様子を見に来ようとしていますね」

『じゃあ船に運んで確認しようねっ』


 よいしょ……っと。うん、持ち上がらねえ。

 アースにお願いキラキラ視線を向けると、任せなさいという得意げな顔でひょいっと宝箱を持ち上げて砂上船に乗せた。

 乗せたところで、探索者が遠くから話し掛けて来たけれど出発出発。


「……ーい、何やってんだー?」「船? 砂上船なんて代物持ってくるなんて……何者だ……」「おいあれ……お宝じゃねえか?」


 探索者達が走りながら大声で呼び始めた。

 きゃーきょわい。


「アースさん、逃げましょ」

『愛の逃避行ねっ! ワームちゃんっ、ごー!』

『キシャキシャ!』


 ワームちゃんもきょわい。

 よく見るとぶよぶよした皮膚から毛が……み、見ないようにしよう。


「これは銀の宝箱ですね、黄色なのでわかりにくいです」

『良い方よー。じゃあルクたん開けてみてっ』


 はーい。

 ぱかっとな。

 ……乱雑に色々入ってんな。迷宮のランクが上がるほどごっちゃごちゃに入っているのは何故だろう。

 よし、時間あるし一つ一つ見ていくか。

 解析の魔眼は軽い鑑定も出来るからこういう時に便利だね。


 土まみれのマント……土属性の魔法攻撃力微増、かな。

「羽織ると土まるけですね」

『ダサいわ』


 土人形作成キット……粘土と串だな。

「ただの粘土と串ですね。これはお宝なのですか?」

『一応人形にしたら動くよ』


 土の魔法書……ストーンブロックの魔法、石を四角く形成する魔法だ。

「家作るのに良いですね」

『でもルクたんの家は私が作るからいらないよ』


 黄色い仮面……土属性魔法防御上昇。

「ニッコリした仮面ですね」

『顔隠すのに持っておいたら?』


 バトルスコップ……武器寄りのスコップ、硬い土を掘れる。

「土木作業の方に売れそうですね」

『そうねー、私達には不要ね』


 土の杖……土属性魔法強化、少し重い。

「氷の魔法杖とかありませんかね?」

『あったら良いねー』


 パイルバンカー設計図……ロマン武器三号と書いてある、他にもあるのだろうか。

「杭を撃ち込む装置っぽい設計図ですね」

『あっ、これ頂戴っ』


 銀の食器セット……高級品だね。

 謎の石板……何か書いてある。

 最後は宝石とお金の入った袋……おぉっ! 五百万ゴルドくらいある!

「また貯金が増えますねっ」

『あー、そうだ……言いにくいんだけどさぁ……』


「なんです?」

『ルクたんの貯金って今までの迷宮攻略で一億くらいあったでしょ? それ……多分ほとんど無いわ』


「えっ……お金の管理はお父さんが……まさか……」

『うん、まぁ、討伐者ギルドの飲み会って、一回に百万くらい飛ぶらしいよ……』


 ……仕方がない、殺すか。

 いや殺すのはまだ後だ……いや後というか殺しはしないけれど、えっ、まじ? 私のお金使ったの? 自分のお金あるでしょ? というか私の為に貯金してくれているよね? あれ? 殺意しかねぇぞ?


「……お母さんは、知っています?」

『知らないと思う。アズたんはアズたんでルクたんの為に貯金しているから……その貯金は大丈夫だけど……』


「はぁ……父に良い所が無さ過ぎて泣けてきますね」

『ほんとにねー……あの事知ってるんでしょ? お泊まりのあれ』


「えぇまぁ……目撃しましたからねぇ……あれはチムニーちゃんの仕業ですか?」

『いや、元々あのクベリアって女がリードを誑し込もうとしていてね……チムニーは性欲を少し上げただけ。これは己の欲に負けたリードのせいよ』


「……そうですか」

『チムニーは悪くないから怒らないであげてね……エルフィがチムニーに見てこいって言うから……』


 まぁそれはなんとなく解る。

 エルフィさんが父を邪魔に思っていたから、母が父を嫌うように仕向けているのだろう……私が父を誘った時にチャンスだと思ったのか……機会を伺っていたのか……はぁーぁ、女って怖い。私も女か。

 エルフィさんが敵になったら勝ち目は無いから静観しておかないと……母に嫌われる行動は取らないと思うから私に危害は無さそうだけれど、警戒はしておくか。

 相談出来る人は……居ない。

 セリアが居たらなぁ……いや、甘えちゃ駄目だ。

 負担は掛けられない。

 エルフィさんに母を取られた場合……エルリンちゃんも信用出来るかわからなくなる。

 最悪独りで生きる事も視野に入れないと。


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