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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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挿話・アルセイア・ヴァン・シンドラ2

すみません挿れ忘れていました(゜ω゜)

 

「リリ、大変な事に気が付いたわ」

「どうしましたか?」


 ルナードに会ってから一年……ある日、ふと思ってしまった事がある。


「ルナードが良い男過ぎるのよ」

「今更、ですか?」


「だから、他の男子が年下の子供にしか見えないのよ」

「……確かに、そうですね。アルセイア様、話していてもつまらなさそうですから」


「えっ、わかりやすい?」

「いえ、きっとそうだろうなぁって思っていましたから」


「そうなの。ルナードってディクシムと同い年なのよ? 違い過ぎない?」

「ディクシム様は割と大人びている方ですよ。ルナードはなんというか……大人の余裕を感じます」


 大人の余裕、ね。私と同じ前世の記憶があったりしてなんて思ったけれど、ルナードと話す感じだとその線は薄い……むしろ同じ組の男子がそれっぽいかな。

 かと言って前世の記憶があるとか言ったら変に思われるから言わないけれど。


「そうなのよねぇ……私達、いつまでこうしていられるかな……」

「恐らく、周囲にはこっそり抜け出している事はバレていますから……初等部卒業までは、自由にさせて貰えると思います」


「……やっぱり? じゃあ……セリアは後二年くらい……?」

「そうですね。後二年を切りました」


 私とリリだけで無断で王都の外に行くなんて、許されるものじゃない。

 もちろん監視があるんだと思っていたけれど……ルナードは気が付いているのかな……

 リリは、良いのかな? セリアになって出かける時、顔には出ないけれど……とても楽しそうだから。

 私も、楽しいけれど……リリを見ていると、遠慮してしまう。

 ルナードから貰った人形を肌身離さず持って大事にしている。教えてくれないけれど、凄く好きなんだろうな。

 心の何処かでリリとルナードが一緒になってくれたらって……でも、それを想像したら……胸が痛い。ルナードとリリが何処かへ行ってしまったら…両方を失ったら……私は生きていけない。

 なんか、自分が嫌になるな……心の支えが無いと、毎日が不安で不安で……重圧に押し潰されそうで……私は、弱い。


「リリ、初等部を卒業する頃には……ルナードは、平民になる。その時は……」

「アルセイア様、彼は強い。だから私達がしてあげられる事はありません」


「……本当に、そう思う?」

「はい、彼の背中は……遠くにありますから」


 少し微笑んで、私を見る瞳は……少し揺れていた。

 リリには、幸せになってもらいたいのに、私を優先させるから……リリの本当の気持ちを知りたいのに。

 いや、本当は……わかっている。私の気持ちも……



 それから少し経って、謎の奇病が流行った。

 カサンドラでも治せない病気……でもどうしてだろう、ルナードなら治せると思ってお願いしてみた。

 知り合い、か。


「ねえリリ、あの話……本当だと思う? ルナードの」

「……本当とは思えませんね。ルナードが誰かを傷付けるなんて有り得ません。私はルナードの言葉を信じます」


「そうね、私も同じ。セイランちゃん、治ったかしらね……ルナードの知り合いが診るっていうけれど」

「ルナードの知り合いは今まで話に上がっていなかったので、少し気になります」


「……行ってきたら? 気になるんでしょ?」

「少し、ですから」


 予想では先生の誰かだけれど、私も気になってきたな。

 女の子だったらどうしようとか、共通の知り合いとか色々考えてしまう。

 だから無理矢理リリを向かわせて……しばらくしてリリが戻って来た。


「どうだった?」

「セイランさんは無事治っていました」


「はぁ……良かった。あっ知り合いって居た?」

「……はい、去り際だったのでよく見えませんでしたが……銀色の髪の少年でした。歳は、ルナードと同じくらいに見えましたが……」


「銀髪の……あっ」

「心当たりが?」


「この前、図書館で見なかった? セイランちゃんと本を読んでいた人」

「あぁ……お似合いの二人でしたよね。でも……特に話す事もなく、お互いに無表情なので不思議だなとは思いましたが」


 図書館でセイランちゃんを見付けて声を掛けようとしたら、前に綺麗な男の子が座っていた。

 あんなに綺麗な男の子は、初めて見たな……

 綺麗すぎて、研ぎ澄まされた刃のようで……近付く事を躊躇ってしまうほど。

 図書館に居る人は彼が目当てなのだろうなって思ったし……セイランちゃんは彼が好きなのかな、時折視線が彼に向いていたから。


「もしあの時の彼なら、セイランちゃんはもっと好きになってしまいそうねっ」

「そう、ですね。泣きながらずっと、会いたい……と言っていました」


「……なんか、不謹慎だけれど……羨ましいわね。好きな人に病気を治してもらって……なんか、うん、羨ましい……」

「そうですね……本当に羨ましいです」


 本当に羨ましそうだった。

 リリの眼はどんどん視力が落ちている。

 この一年でかなり……きっと、魔眼の使い過ぎだ。

 何度も止めたのに……リリは私に記憶を見せてくれる。

 残りの時間をルナードの為に使っているみたいで、もし……リリが失明したら、魔眼の力が行き場を失い……最悪死に至る。

 それでも、リリはやめない。私の侍女を解雇してでも止めないといけないのに、あの嬉しそうな瞳を見ると……後少しだけ、後少しだけ……って。

 でも、もう限界が来ているのかもしれない。


「ルナードなら、治せるかもしれないよ?」

「私は、セリアではありません。それに魔眼の治療は現在の治癒学では不可能です」


「もしもの話よ。治してくれたら嬉しい?」

「……そうですね。治れば嬉しいですね」


「そうじゃなくてっ……じゃあ、セリアが頼んでみるっていうのは? 友達の病気を治して欲しいって」

「次々とお願いしたら便利屋みたいに思われてしまいます……お願いですから、彼には言わないで下さい」


「本当に悪くなるようなら、ルナードに言うからね」


 ……リリは、強情というか……セリアと自分は別人と思っている。

 あくまでセリアはアルセイアの分身……私になりきっているから、セリアの中にアルセイアは居てリリは居ない。二人でセリアなのに……はぁ、もう、ルナードに全部話してしまいたい。

 そうすれば、三人で一緒に居られるのに……

 もっと、時間が欲しいな……


「駄目です。話したら……ルナードの中にセリアが居なくなってしまいます……それは、駄目です。ルナードは、セリアが好きなんです……」

「リリ……」


 胸が苦しい。

 セリアは私達が作った偽りの人。

 だからルナードの中にリリは居ない……感情を押し殺しきれていないリリを見ていると、切なくなってくる……


「……ぅくっ」

「リリ?」


「いえ、なんでもありません」

「……眼を見せて」


「なんでもありませんから。大丈夫です」

「痛がっていたじゃない……見せて……っ!」


 瞳に……ヒビ?

 嘘……なにか、回復魔法……ルナードから教わった上位魔法アクアヒールを試してみた。

 ……少し、ヒビが戻った気がするけれど、魔法を解くと元のヒビに戻ってしまった。

 どうしようどうしようどうしよう……治療士を……


「アルセイア様、まだ時間はあります。ご心配なく」

「これで時間があるように見えない……リリ、一度精密検査を受けよ? ね?」


「もう受けています。原因不明……結果はいつも同じです」

「そんな……」


 それでも、リリはルナードには言わないで……と、懇願していた。

 私は、どうしたら良いのだろう。

 助けたいのに、拒まれる。

 ……それなら、アルセイアとして……ルナードに接触すれば……


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