よし、武器の拠点が出来た
「いらっしゃいませー……あっメイちゃんどうしたの?」
「客を連れて来たんだ。部屋空いてるかい?」
メイラさんのおすすめの宿にやって来た。近寄ってみたらなんかサイズ感おかしくないか? 色々な種族が来るからサイズが大きいとの事だが、私とライズから見たら巨人の旅館だ。
中に入ってみるとライズが和風と言っていたので、ちきゅうの転移者が広めた形態なのかしらね。
「んまぁ可愛いお客さんねー。メイちゃんが人間の子供と一緒なんて珍しい」
「まぁね。前金で払うから3ヶ月くらい良い?」
「良いわよ。あら、お嬢ちゃんが払うの? 大丈夫?」
「はい。あっ、私こういう者です」
「あら……あらあらあらあら、あらぁー……聖女ライザが来るだなんてどうしましょう。もうメイちゃんそんなおもてなし急にさせるだなんてドSねっ!」
「はいはい。あぁ彼女は幼馴染のフレイ。こう見えて私の訓練相手だからそこそこ強いよ」
着物を着たメガネのお姉さんで、胸元を強調する着物を着ているフレイさんはなんかエロい。左手に指輪をしているので結婚しているのかな。
「メイちゃん馬鹿力だから困るわぁー。あっ温泉はメイちゃんのところで入る? ここってアレだから」
「そうですね。部屋にシャワー室とかあります?」
「全室にあるわよ。一番良い部屋にする? 聖女ライザに半端なおもてなしって出来ないし」
「ではそこでお願いします。居ない時も多いので、ご飯が欲しい時は早めに言いますね。あとナナリーちゃんが来るので3人分でお願いします」
「あら姫騎士様とお友達なんて流石は聖女ライザねー。メイちゃんと雰囲気が似ていたから友達居ないんだなーって思って……ごほんっ、お代を計算するわねー」
「おいフレイ馬鹿にすんな。友達くらい居る」
「はいはい私が居たわね。2人ともありがとね、メイちゃんって面倒見は良いのにドSだから友達少なくて」
「ドSは余計だよ。今日晩飯よろしく」
「はいはい。お代はこちらねっ。いらっしゃいませーっ、ランちゃーんあちらのお客さんおねがーい」
「はーい、いらっしゃいませー。ご予約はされていますかー?」
お代を払って鍵を受け取り、館内案内に従って中央の大きな階段を登り、最上階の良い部屋にたどり着いた。
「わぁー、きれいだねー」
「うわっ、めっちゃ高級旅館じゃん……和室もあるし、露天風呂もあるし……バーカウンターとかこっちで初めて見たし……」
「かぁー凄いねぇー、老舗の高級旅館は違うわぁー……フレイはここの女将だからなんでも言って良いからね」
「綺麗な方でしたねー。ここは有名な宿なのです?」
「そうだね。国内外から金持ちが来るくらい有名さ。うわー、見晴らし最高」
「わぁー桜なんてあるの? 最高過ぎる……あっ、遠くに見えるのってあの山かな? なんか光ってない?」
「えっ、遠いから聖山マリウスは見えない筈だけど……本当だ。なんで?」
「おそらく神山になったので存在感が増したんですかね。因みに神山ルクナになったので私の山です」
「ふふっ神山ルクナってまんまだね。ゴミとか落ちてたらナナがキレそう」
めっちゃ景色良いやん。もうずっとこの部屋を取っておきたいくらいだし。とりあえずゲートを出して、この時代のデスちゃんを呼ぼう。
デスちゃーん。
『ママ、どしたの? 新しい、きょてん?』
「そうそう。こちらは鬼族のメイラさん。この子は私の可愛い娘ですっ。ねぇねぇお外見てー」
『わぁ……』
「あの山は私の神山なのだよっ」
『ママ、ありがと。メイラ、ママ、お世話に、なってます』
「……えっ? あぁいや、こちらこそ……人形族なんて、不思議な種族もいるのな」
『デス、ママが、作った。ママ、名工』
「えぇっ、そうなの? この子がルクナの作品? えぇっ、凄いなっ! 他にはどんな作品が?」
「えっへん。時間はあるので色々見ます? そこの和室に並べますね」
そういえばあまり自分で作品を並べるなんてしないから、不思議と緊張する。アクセサリーを並べて、謎の置物を並べて、腕時計やからくり時計を並べて、景観にうんこ型の精霊石も並べて、魔導具を並べているとメイラさんから待ったがかかった。
「あの、全部ルクナの作品?」
「はい、あっこのうんこは友達の作品ですよ。そうだ氷神回復結界装置を購入予定でしたね。えーっと、これこれ。魔石を入れてスイッチを入れたら起動するので、後でお試し下さい」
「……ルクナ、これ全部エグいね」
「……これ全部、迷宮産じゃないのか……世界は、広いねぇ……」
『ママ、天才。自慢の、ママ』
「もぅっ、デスちゃんったらっ。デスちゃんも自慢の娘よっ! まぁ何かを作っていたら嫌な事なんて忘れるので、気が付いたらこうなっていました。あっ、この腕輪はメイラさんの必殺技に身体が耐えられると思いますよ。五万ゴルドですが今ならこの可愛いさ上昇のネックレスも付けます」
メイラさんは黙って五万ゴルドを出した。まいどあり。
腕輪を着けてサービスで神気も通したので効果は倍増で、ネックレスも可愛いを倍増したので格好可愛いお姉さんに見える。
ふむ、可愛いわね。うん、良いわね。
「……どう?」
「めっちゃ似合いますっ。えー可愛い。ライズ、めっちゃ可愛くない?」
「めっちゃ可愛いですよ。ねぇルクナ、私も欲しい」
「ほいほい。魔力が強いと効果も強いから気を付けてね。私みたいに出会い頭にプロポーズとかされたら私が嫉妬に狂うから」
「それ言葉を返すよ。メイラさんも魔力強いけど良いの?」
「私は元々がモテないから大丈夫だよ」
「大丈夫じゃない? この腕輪でもっと強くなっちゃったから誰も勝てないでしょ」
「他も見て良い? 他人の作品って気になっちゃって」
作品展示会をしていると、部屋にノックが響いてフレイさんがやって来た。
出迎えたメイラさんに首を傾げて、次第に目が開いていった。
「メイちゃんどうしたのっ! すっごい可愛いじゃないっ!」
「あぁこれ、魔導具の効果で……」
「お洒落に気を使えるだなんて……うぅ……これでやっと春が来るのねっ! これなら良いわっ、合コンよっ!」
「は?」
「貴女達もどう? 良い男紹介するわよっ!」
「いえ、恋人居るので」「同じく」
「ちょっ、落ち着けっ! 合コンとか馬鹿じゃないかっ?」
「今を逃したらまた婚期を逃すわっ! 失恋して10年ウジウジされたこっちの身にもなって欲しいくらいっ!」
「ぅぐっ、まだ、傷が癒えてないんだから……」
「うざっ、そんなんだからいつまで経っても独身なのよっ! 妹なんて子供5人居るってのにメイちゃん武器ばっかり産んで財産築いて老後安泰にしやがってっ! だから君は1人でも生きていけるなんて言われるのよっ!」
「おいそれ言うなっ! 私なんて結婚しても浮気されるのがオチだよっ! 君は武器の方が好きなんだとか言われてみ? 泣くぞ?」
なんか言い合いになったので黙って見てみよう。
……あっ、備え付けのお茶を発見したのでライズとデスちゃんと景色を眺めながらお茶を飲んだ。
ふぅ……落ち着く。非日常を楽しむ感じが素敵ね。
『ママ、これ見て』
「ん? 黒い宝石……知らない宝石だ。なんて名前?」
『カオスダイヤモンド。今のママなら、もてるから、あげる』
「良いの? ありがとっ! にしても凄い力だね……気持ちがざわざわする」
「ルクナ、私にはそれキツいかも」
『ライズごめん。ママ、それ、妖精の、店でかったの』
「えぇ……こんなの売っているの?」
透明な瓶に入った禍々しい宝石は心を壊してしまいそうな美しさだった。小指の爪くらいの大きさだから、何かネックレスにでもするかなぁ……でもこれ装備したら誰も近付けないよね。
うーん……不良在庫をもらった感が凄いが、1人で戦う時に使えるものにしようか。何か良い使い道……あぁ、野蛮な方法を思い付いた。これは保留だな。
メイラさんが戻ってきたが、心ここに在らずという感じなので合コンに行く事になったのだろう。
「……すまない、見苦しい所を見せてしまった」
「あぁ気にしないで下さい。良いお友達ですね。合コンに行くんです?」
「いや……他の里の鬼族に会うだけ……前々から紹介して欲しいって言われていたみたいで……会うだけならって……はぁ……気が重い」
「ふふっ、会うだけなら良いのでは?」
「まぁ、ね。そろそろ家に来るかい? こことは見劣りするけど、庭に桜を植えてあるからそれなりだよ」
「是非っ! よしっ、行こうっ!」
一階に向かい、ご機嫌なフレイさんに鍵を渡して居住区に向かった。奥の観光地を越えて、お土産屋さんを越えると集合住宅が並び、その奥に一軒家が並ぶエリアに来た。その更に奥へ行き、広い土地の一軒家のエリアの端に案内された。
大きな家に広い庭……良い家やん。
「ここが私の家。爺さんの家を改装したから広いけど、ほとんど資材置き場だから寝る場所くらいしか無いんだよねぇ……」
「それでも成功者の家って感じですよ。あそこが工房ですか?」
「そうそう。結界はここの庭に置いて欲しいんだ」
「おまかせあれー」
『メイラ、これ、やる』
「えっ? これ魔鋼鉄じゃないかっ! こんなに沢山っ!」
『特売で、かった。こんなに、いらん』
「デスちゃんって買い物上手なんですよ。多分それで10万もしなかったと思いますよ」
「10万以下……こんなの1000万以上するじゃないか……」
『ママ、流石。メイラお代、武器、作れ』
メイラさんから武器作りを学ぼうだなんてデスちゃんは私に似て勉強熱心ね。妖精国って資源は豊富だから毎日通っても新しい素材に出会える。衝動買いも私に似ているのか収納指輪から素材が沢山出てくるし。
「あっそうだ……ルクナ、拠点も決まったしそろそろ大教会行ってくるね」
「ほいほい。気を付けてねー。ミナとリアちゃんによろしくー」
「うん。あっ、リアちゃんが会いたがっていたから本体で会ってあげたら?」
「えー私リアちゃんの子孫と付き合っているからリアちゃんの事ガチで襲っちゃうよ?」
「うん、今の忘れて。いや、行かないでよ? 相手は王女だからね?」
「うん、恋人も王女だから大丈夫」
「何が大丈夫さ。絶対襲うでしょ」
「友達として生身で会いたいでしょ。生で、ね?」
ふむ、会いたがっていただなんて嬉しいわね。ライズをにこやかな笑顔で送り出し、デスちゃんと共にメイラさんとの武器制作が始まった。
もちろんリアちゃんは夜に襲いました。




