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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
身辺整理編

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337/363

こいつら千年後もちゃんと居るかしら

ちょっと中指を縦に切断してしまいまして、キーボードが使えずしばらくお休みしていました。7針縫ったのですが、指先って神経が多いから縫う時超痛かったです(゜ω゜)

 

 ふぅー、危なかった。

 デスちゃんにちゅっちゅしてから朝日に照らされて寝ているセイランを起こし、隣の部屋のローザも起こして朝食を食べた。ライズはウォーエルのところなので放置で良いや。

 セイランは珍しくツインテールなので可愛い……ローザはクレイルになっているのでサエさんがキラキラした目で見ていた。


「てな感じでもしかしたら他の世界の人が遊びに来るかも」

「「へぇー」」


「それと千年前のナイトクラウン公国のお姫様のナナリーちゃんが来るから、ってセイランさん痛いわよ」

「嫉妬に狂うと暴力に走るだけよ。貴女の行動範囲がキモいわ」

「世界間を移動するとかドン引きだよね」


「成り行きってやつね。ルゼル様には定期的に会いたいし、デスちゃんの事も気に入ってくれているし」

『黒金様、可愛いって、言ってくれた』

「ほんと、敵じゃなくて良かったわ。あの威圧でチビったもの」

「ルクナが手も足も出ない相手って凄いよね」


 朝食後に雑談をしていると、ライズが帰って来たのでみんなにバイバイして千年前に戻ってきた。

 ナナリーに帰って来たよと念じると、来て欲しいと連絡を受けたので行ってみた。今後の方針が決まったらしい。


「ライズ、ルゼル様ってずっとデスちゃん抱っこしていたのよ」

「そうなの? 気に入ってるじゃん」


「うん、デスちゃんも嬉しそうでさー。このままあっちで暮らしてくれた方が嬉しいよ……ぅん」

「親心だねー。こっちのデスちゃんにはどこまで教えるの?」


「ん~~……800年分の暇潰しグッズをあげるくらいかなー。未来で会えるとは言うけれど……お互いに秘密を打ち明けるのは未来だね」

「そっかぁ……未来に私は居ないからなぁ……なんか寂しい」


 私も寂しいが、ライズはここに居ないと私が消えてしまうのよ。宿の受付に行くと、メイラさんは来ているみたい。先にそっちへ行こう。


「メイラさーん、来ましたよー」

「こんにちはー」

「おおっ、本当に本体があったんだね。えらい美人じゃないか」


「ふふふーありがとうございます。これからナナリーちゃんの所に行くのですが一緒に行きません?」

「良いよ。私もしばらく来ないと言うつもりだったから」


「よしっ、じゃあ行きましょうか。家から色々持って来たので里で交換会もしましょうね」

「良いね、楽しみだよ。あっ、そうだこの剣研ぎ直したんだ。貰ってくれ」


 訓練用の剣を研ぎ直してくれたみたいでピッカピカだ。すっげぇピッカピカだ。もうこれ新品じゃん。ちょっと他の武器も直して欲しいと言ったら了承してくれた。めっちゃ嬉しいのだが。


「ところで鬼族の寿命って何年なのですか?」

「大体500年くらいで病気で死ぬからそのくらいじゃないか? 爺さんもそのくらいで風邪で死んだぞ」


「えぇ……そのくらいで病気に弱くなるんですかね。じゃあ抵抗力が強かったらハイエルフくらいの寿命になるのかしら……いや私って千年後の未来の女神なのですよ。もしハイエルフ並みに寿命があったら会えたのになぁーって思っただけです」

「千年後ってよくわからないが、流石に私の一族じゃ難しいな。まぁこうして会えるだけ良いさ」


「そうですよねっ。いつでもこの時代には来られるので色々やりましょうっ」

「私は嬉しいが、そっちの時代は良いのか? ルクナほどの実力者なら引くて数多だろうに」


「あっちではまだ学生なので別に大丈夫ですよ。女神なのは隠していますし、今はそんなに忙しくないので」

「そうなんだな。珍しい髪色だけど、ノースギアの出身?」


「出身はヴァン王国ですが母がノースギア出身で、最近ノースギアに引っ越したんですよ。それから色々あってこの時代に来られるようになって、聖女ライザと仲良くなれたので嬉しい限りですねぇー」

「なんか凄いねぇ……獄炎の魔王を倒したって噂があるけど、ルクナと一緒に?」

「はい、と言ってもルクナがほとんどやっちゃったんですよ。私とナナは応援していました」


 雑談しながらメイラさんの手を握ってみると、すっげぇ硬い。ハンマーのタコでゴツゴツしていて凄い好きな手だ。


「人間から見たら怖い手だろ? 爺さんはもっと硬かったんだ」

「なんか安心しますね。硬い方が喜ばれるのです?」


「硬い方が良い職人だと言われるだけさ。一族の男でも女らしくないって言われるし、まぁ気にしてないがね」

「努力が見える手って、好きなんですよ。私なんか痛いとすぐ直しちゃうのでぷにぷにですし……手繋いで行きましょうっ」


「ははっ、変わり者だね。子供と手を繋いだのは何十年振りだろう」

「私は利き手が良いからライズはこっちね」

「うん。わぁっ、なんか、お母さん思い出すな……元気かなぁ……」


 前世の家族に会いたいのかな。

 そうだよなぁ……生まれ変わって元気にしているって言えたら、どれだけ安心するか。

 メイラさんが両手で女子2人と手を繋いでいる光景を、道行く人達は驚いて立ち止まって見ていた。それだけ怖い存在なのだろうが、めっちゃ優しいぞ。自慢してやろうっ。

 なんか話し掛けようとしていた探索者はメイラさんの睨みで言葉を発せず、それを見てふんっと笑う姿が格好良いのだが……格好良いお姉さんランキングが変動していくぞ。

 そうこうしている内に城に着き、ナナリーがお出迎えしてくれたのだがメイラさんと手を繋ぐ姿に普通に驚いていた。


「来ていただきありがとうございます。メイラさんも歓迎します……ルナ様ってほんと凄いですよね」

「可愛いからねっ。話終わったらメイラさんの里で過ごすからナナリーちゃんも終わったらおいで」


「はいっ! 温泉宿に泊まるんですねっ! 楽しみですっ!」

「パレス達は? さっさと終わらそ」


「城に居ますよ。では行きましょうかっ。ライズ、羨ましいからそこ代わって」

「やだ。お母さん思い出すからもう少しこうしてたい」


 急にナナリーが泣き出した。ビビるからやめれ。それにライズの前世の母の名を出すな。生い立ちは有名なのだろうが早口過ぎてライズも引いているじゃないか。


「ひぐぅっ、ひぐっ、めいだざん、らいずを、ひっく、よろじぐ、おねがい、じまず……」

「あ、あぁ……ライズ、いつでも甘えて良いから」

「は、はい……こうしているだけで、充分です。ありがとうございます」

「ナナリーちゃん、めっ」


「きゃうんっ! すみません、取り乱してしまいました。ではこちらです」


 城に入り、ナナリーが迷宮核を出した王の間にやって来た。

 前と同じくおっさん達が並び、奥にパレスとブレイクが偉そうに立っていたからなんか腹立つな。

 ナナパパとその家族は女神の横に並んで、その中にエイラも居るので和解したのかしら?

 メイラさんには説明済みで、私の方が偉いとも言ってあるので特に何も言わず立っているだけだった。


『やっと来たわね。遅いわよ』

『待ちくたびれたぜ』

「……あ?」


『すみませんでした来てくれてありがとうございますっ!』

『いやー悪いな来てくれてっ、はっはっはっ!』


 ざわざわするから態度変えんなや。

 メイラさんから手を離し、私が前に出てナナパパに目配せをすると頷いたので、やり取りを見守るで良いのかしら。


「で? どうするの? ここに残る?」

『そのつもりだけれど、人間が近いと困るのよ。あの山を神山にしてくれない? 今の私じゃ力が足りなくて』

『あそこにでっかい像建ててくれよっ』


「ナナパパさん、あの山の頂上に神社でも建ててくれません? 神山にしておくので……あと資金が足りなかったらこれを使って良いので直ぐに取り掛かって欲しいのですよ」

「……良い、のです?」


「いつもの口調で良いですよ、この国にはあまり来ないですから。あと反対派の意見とかどうでも良いので、会議とかせずにそのまま始めてもらえます?」

「あぁ、わかった」


「はいどうも。じゃあ頂上に神気を込めたものを安置しておくので、悪さしないで下さいね。悪さしたら天罰が起こるので。あとメイラさんはしばらく私と行動するのでよろしくお願いします。ナナリーちゃん後でねー」

「はいっ、行ってらっしゃいませっ!」

『待ってっ!』

 ナナパパに宝石の入った小箱を渡してメイラさんの手を引いて出ようとすると、パレスが走ってきて前に来た。


「今から行くけれど、確認しに来る?」

『えぇ、本当にここまでしてくれると思ってなかったから、お礼させて欲しいの』


「いやいいよ、ナナリーちゃんの顔を立てただけだし。私がこれ以上居るとトラブルになるでしょ? 私の方が崇められたりしたら困るだろうし」

『それもそうだけど……私に出来ることがあったら言って欲しいの。もちろんブレイクも』

『まぁ、俺も感謝しないととは思っているぞ』


「そう? まぁとりあえず神山にしてからね。望み通りの神山になるとも限らないでしょ?」

『……わかった。でも必ずお礼はするから。封印解いてくれたんだもん』


 放っておいてくれるのが一番のお礼だと思う。多分私と繋がりを持っていればなんだかんだで良い事をしてくれると思っているはず。パレスの事は知って間もないが、人間達の前だから良い顔をしているだけだ。


 おっさん達も同行を願い出ていたが、ナナパパだけにしておいた。そして山道に差し掛かった時に本心を聞いてみよう。


「……で? パレス達はどうする気なの? ずっとは居ないでしょ? 別に本当の事を言って良いよ、神山にはしてあげるから」

『ふふっ、そうね。拠点が出来たらこっちのもんよ』

『ここで力を蓄えて旅行に行って美味いもんたらふく食べるつもりだぜっ』


「素直でよろしい。ルゼル様には私の好きにして良いって言われているし、消えない程度に自由にして良いけれど必ず決まった日には帰る事。これは守って」

『なんで?』


「年に一度のお祭りにさえ出ればそれから一年崇めてもらえる。ナナパパさんはなんでも良いからパレスとブレイクを崇める祭りをしてあげて。そうすれば恩恵が出るように出来る。詳しい話は頂上までに説明しますね」


 デスちゃんから、年に一度のお祭りさえやれば良いよと言われたのでそれに従って色々教えておいた。そこでライズも案を出してくれてある程度の形にはなったかなー。出店とか縁日とか楽しそう。お祭りは浴衣で参加と強調しておいた。

 ふっふっふ、これも全て千年後のナイトクラウンでアルセイアとお祭りデートをする為。

 浴衣デートに憧れていたのだっ!


「ルクナ、悪い顔してるね」

「失礼な。みんなの為にがんばっているのよ。じゃあ神力を解放するねー」


「浴衣デートしたいだけでしょ」

「心読まないで」


「私も着たーい」

「デスちゃんに頼んだらグニアと一緒に作ってくれるって。ちゃんとみんなのもありますー」


「やった。大好きっ」

「らびゅー。やっぱ一緒にやろ。聖女ライザの威光をナイトクラウンにも広めないと。メイラさん、ナナパパさん、この結界から出ないで下さいねー」


 結界を踏み締めてジャンプッ! ほいっほいっと上空にやって来てエーテルバスターを構えた。

 キィィィィン! と甲高い音が響き、ライズの顔が引き攣った。


「えっ、それ山消えない?」

「調整すれば神気を放つだけで済むのよ。神山にするには山の内部まで浸透させないといけないからこれが手っ取り早いし。ライズもこれに魔力込めてねーそうそう……こんなもんかなっルクナ・バスター!」


「おー……パレスちゃんが頑張って神気浴びしてるね。あっブレイクが脱ぎ出した」

「神気を浴びれば力が増すからね。今の所私の方が格上だから願ってもないチャンスよね。はい終わり」


 頂上に降り立って、土魔法で台座を作って神魔石を設置して持ち出せないように封印で雁字搦めにしておいた。

 これで神気を放つ台座の出来上がりだ。

 ここに神社でも建てれば良いし、とりあえず山を神眼で解析……神山ルクナになっていたのはスルーしよう。


『はぁ〜他神の神気は最高ねっ!』

『はぁ、はぁ、身体が暑いぜ……お前凄えなっ!』

「服着ろ。じゃあ元気でねー。メイラさんお待たせしました」

「なんか、凄いね」


「一応女神ですからね。ナナパパさん、この件の諸々は聖女ライザの手柄にして下さいね。パレス達の信仰が薄れるので」

「わかった。何から何まで……ありがとう」


「優秀な娘を貰うのですからこれでも足りないと思っていますよ。また何か送るので受け取って下さい。ライズ」

「はーい。では失礼します。転移」


 手を振りながらバシュンと転移し、鬼族の里へ……おぉ……思っていたよりも都会というか、でかい旅館が結構あるわね。


「転移って便利だねぇ……一瞬で来れるなんて……」

「ライズは転移魔法の使い手ですから。私もライズに習いましたもん」

「ルクナっ、どこ泊まる? メイラさんおすすめありますか?」


「あー……実はここは観光用だから温泉の効果が薄いんだ。私の家の温泉の方が効果は高いが、泊まるだけなら……右端の宿の飯は美味い」

「へぇー家に温泉が湧いているのです?」

「えー羨ましい」


「鬼族は土地を持てるから、自分好みの温泉にするんだ。家に鍛冶場もあるからそこで武器を作っている」

「ほえー1人で住んでいるのですか?」


「あぁ、そうだね。男衆より強くなっちゃったから嫁の貰い手が無いんだ。ははっ、まぁ興味無いから気にしてないがなっ!」

「「……」」


 少し渇いた笑いは、ユウコやアズサと共通している気がした。

 まぁ、うん、モテないのね。こればっかりは女神の私でもどうする事も出来ないので、あまり触れないでおこう。

 とりあえず宿でも取るかぁ……


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