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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
身辺整理編

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336/363

気のせいか、ここに来る度に寿命が減っている気がする

 

 ……

 ……

 ……寝ましたよ。ふて寝しましたよ。

 ……

 ……

 ……お腹が空いたので起きよう。

 てか遅えな。少し自慢してくるのは良いが、少しが長いんだよ。あぁ駄目だ、お口が悪くなっておりますわ。

 そういえば軟禁中はお菓子しか食べていなかったな。

 だから余計にお腹が空くわね。

 常備食のカップ麺でも食べるか。


 ──コンコン。

 っ……誰だ? メイドか? いやここのメイドはにゅっと出てくるから違う。じゃあお客さん? でも監禁中なので出られない。なので居留守を使おう。


 ──コンコン。

 早く諦めてくれ。私はカップ麺を食べなければいけないから忙しい。

 ……

 ……おっ、行ったみたいだな。よしよし、気兼ねなく食べられるぞ。


 ──ガチャ。

「……ぁっ」

 ふぅふぅ、ずるずる。

 ほえー、あの結界を解除出来るなんて凄いわね。

 ずるずる。

 流石はルゼル様の娘だ。

 ずるずる。とんこつ味も美味いな。

 流石はちきゅうのカップ麺だ。

 ずるずる。

 ……あぁ食べ終わるの待っていてくれるのね。

 ずるずる。

 私に用事かしら。

 ずるずる。汁も美味しいから飲んでおこう。

 よし、床に正座して顔を見よう。


「はぁ……お待たせしました。今日はアレスさんじゃないのですね」

「ぅっ、バレていたのね。ちょっと話したいんだけれど、良い?」


「えぇ、何もお出し出来ないのはお許し下さい」

「いや、畏まらなくて良い、よ?」


「いえ、私はただの平民なので。私に何か御用でしょうか?」

「あぁいや、おかぁさんに会いに来たけれど封印された部屋が気になっただけで……開けたらルクナちゃんが居たから、話したいなーって」


「そうでしたか。構いませんよ」

「ありがとうっ! えっと、普通に座ってくれない?」


 首を横に振ると、娘さんも床に正座して対面した。

 うん、失敗した。これじゃ普通に座る方が楽だ。

 とりあえず見詰めあっているのだが、めちゃくちゃ可愛いな。アルセイアと初めて対面した時みたいに私の女子力を粉々に打ち砕いてくれる可愛さだよ。なんか、萎縮してしまう。


「……そうだ、あの時帰ってしまってすみませんでした。感情に勝てない時が多くて、お恥ずかしい限りです」

「いやいやあれは完全に私達が悪いからっ! 不快な思いをさせてしまって本当にごめんなさい……ヘルちゃんも後悔していて、出来れば会って欲しいんだ」


「……会ったとして、どうするのでしょうか?」

「えっ? 謝罪したいって……」


「謝罪を受けて、解決したら元の生活に戻りましょうという事でしょうか? それなら今後の交流も無いので会う意味は無いかと思います」

「うーん……ルクナちゃんはそう、かも知れないけれど、私たちはルクナちゃんと仲良くしたいんだ。パンパンのみんなも寂しがっていてさ」


「……私の事は忘れて戴けると助かります。ヘルさんにもそうお伝え下さい」

「……ルクナちゃんは、ヘルちゃんの事、嫌い?」


「いえ……ヘルさんは、私には眩し過ぎます」


 娘さんに笑い掛けたところで、ルゼル様とデスちゃんが帰って来た。

 いやぁ良いタイミングだわ。話を区切ることが出来るからねっ。


『ぁっ……来ていたのか。何を話していたんだ?』

「皆さんに私の事は忘れて欲しいと伝えて戴けるようにお願いしました。貴重なお時間を私の為にありがとうございます」

「……」


『まっ、生きる世界が違うから仕方がないな。アスティは、不服そうだな』

「私は、仲良くしたい。ヘルちゃんとも仲直りして欲しい……でも……ルクナちゃんは望まない事がわかった」


『だから言っただろ。深追いしても今回のように避けられるだけだ。そもそも客人を勝手に働かせた事を謝らない限り話にならん』

「……はい」

『ママ、これ見て』

「わぁっ、パンパンの制服作ったの? かっわいーっ! あっ、すみません」


 デスちゃんサイズのパンパンの制服とか着て欲しーいー。私のキラキラした目を向けられたデスちゃんはウインクをして早着替えをしてくれた。

 うぉぉっ、可愛い……癒される。おいでーおいでー……ルゼル様から降りて娘さんと私の間に立って可愛いポーズをしてくれた。

 ふっ、どうよ私の可愛い娘はっ!


「……デスさんは、ルクナちゃんが作ったって、本当?」

「はい、私の自慢の娘です。ちゃんと意思があるのでレディとして接して下さいね」

『ママ、凄いの』


「うん……凄いね……おかぁさんがいつも抱いているから良いなぁって思っていたんだ。デスさんの他に娘は居るの?」

「いえ、私の娘はデスちゃんだけです。リボン着けてあげるねー」

『ふふふ、ありがと。可愛い』


 ピンクの制服にピンクのリボン……あー店頭に立って欲しいわぁー。デスちゃんが店頭に居たらほいほい入っちゃうよ。可愛いわぁー……因みにデスちゃんから私の顔に似せて欲しいと言われて、旧式のお嬢様な感じから私よりの美少女人形には変わっている。元々の顔から大きく変わった訳ではないので、ライズでもデスちゃんを認識出来る程度の変わり具合だが……笑顔が自然過ぎて引いていたっけ。

 確かに私が作ったと言ったら驚かれるだろうね。ルゼル様からこんなハイスペックな人形居ないぞと言われるくらいだし。

 でもこの屋敷のメイドって魔導人形よね? 結構ハイスペックだと思うのだが……ボンっきゅっボンだし。


「ルゼル様、ここのメイドさんを作られた方ってどんな方ですか?」

『有名な企業の魔導研究チームだ。見学しようにもデスを見る限り参考にはならんぞ。むしろ研究させてくれって言われるのがオチだ』


「そうですか……それなら尚更ルゼル様の所に居た方が安全ですね。月も安全とは言い難いし……」

『ママ、知ってたの?』


「ん? 何を? 月って転移者に狙われているじゃん。可愛いデスちゃんをお持ち帰りされたら私が世界を壊すよ」

『ねぇママ聞いて……マリン、ママの事殺そうとしてた』


 ……えっ?

 殺そうとしていたって? いつ? ルゼル様に視線を向けると頷いたので、私が迷宮で気を失った後に何かあったのか?


「あの、詳しく教えて? あれからマリンさんに会っていないのよ」

『あの迷宮は竜神が作ったものだ。悪魔百体を生贄にした召喚陣なんて、我が行かなかったらどうなっていたか』


「あーそうでしたかぁ…あの迷宮作れるとか凄いですねぇ~……あの時は申し訳ありません、いきなり攻撃しちゃって……」

『気にするな。我を傷付けられる人間なんて貴重だから素直に尊敬したよ』

「えっ!? おかぁさんに傷を? 凄いよっ!」


『しかも星の力を使わずに我の傷を治せたんだ。我が客人だと言う理由がわかっただろ?』

「えっ、凄い……ルクナちゃん、おかぁさんを治せる人なんて本当に凄いよっ!」

「は、はい……ありがとうございます」


『アスティ、急に距離を詰めるな。怖がるだろ』


 急にガシッと手を握られて内心ビクビクしてしまった。

 うぁっ、超良い匂い……色々なお花の匂いで身体中から花咲いてんじゃねえかってくらい癒される。匂いでも女子力を粉砕してくるとかドン引きだよ……私なんかいつも草の匂いだぞ。

 デスちゃんが娘さんの手をペシペシ叩いているが、負けじとにぎにぎしてもう離さない強い意志を感じた。

 なんか捕まった感があるので、素直に受け入れようかしら。


「……おかぁさんってルクナちゃんの事よく知っているよね」

『記憶を見させてもらったからな。嫌われたくなかったら手、離した方が良いぞ』


「……やだ。離したくない。仲良くしたいもん。おかぁさんばっかりずるい」

『そうは言ってもな……娘がすまんな』

「いえ……こうして直接言って下さる方なんてほとんどいませんので、凄く嬉しいです」


「えへへ、嬉しいっ。ルクナちゃんの手、すっごいスベスベだねー。わっ、すっごい良い匂いっ! ねぇおかぁさんっ! めっちゃ良い匂いっ!」

『……良かったな』


 隣にピッタリ座られて、距離の詰め方が上手いというか、手慣れている感があるわね。さぞ友達が沢山居るのだろうね。女子にモテモテだったし、みんなに愛されるような雰囲気だし、可愛いし、良い匂いだし、悪いところが無い人って居るのね。逆にそれが怖いよ。

 話が脱線したのでマリンさんについて聞いてみよう。

 デスちゃんとルゼル様の見解は、私を利用して異界の天使を操るか月の力を使うかどちらかだろうと言われた。

 んー……でもマリンさんは悪い雰囲気は無いと思うのだが……私の知らない顔を持っていても不思議ではない、か。

 でも私はマリンさんの事が好きなんだよなぁ……ウォーエルもベッタリだし。

 うむぅ……そう言われてもなぁ……頼まれたらなんかしちゃうぞ。


「うーーーーーん…………困りましたねぇ…………結構お世話になっているので……いや、そうでもないか……一応私は竜神の長を月に返した恩人なのですがねぇ……そうですかぁ……殺そうとしていたのですかぁ……何か引っ掛かると思っていたんですよねぇ……次に会ったらどうなりますかねぇ……」

『黒金様居るから、マリンはママに手出し出来ない。別の方法、待ってると思う』


「別の方法かぁ……命を狙われるのは変わらないよね……はぁー……もう何人に狙われているかわからないよ……」

『ふふふ、ママ、モテモテ』


「まっ、なんとか上手くやるよ。デスちゃんも一緒に頑張ろうねっ」

『うん。頑張ろ』


 頑張ろうとは言ったが、どうするかね。

 ふむぅ……とりあえず帰りたいから離してくれません? やだ?

 あっ、もしかしてヘルさんに会わせたいの?

 えー……最初に言った通りだし。


「私だけ仲良くなるのって罪悪感が凄いの」

「言わなければ良いかと」


「ヘルちゃんって私の心読めるのよ」

「あぁそっちの魔眼ですか。あの眼で見られるの凄く嫌でした」


「それも謝りたいって言っているの。普段やらないのにどうしても気になっちゃったみたいでさ……でも視えなくて意地になっていたみたい」

「あそこには私を知る人なんて居ないので聞けば答えましたがね。でも視えなくて良かったと思いますよ。私の過去って知ると気まずいですし」


 だから離して。

 頑張って立ち上がると、一緒に立ち上がって離さないから歩きにくい。

 ルゼル様に引き渡そうと近寄ってみたが……何? って顔で見られただけだった。

 いや、娘を引き取ってくれよ。おっ、娘さんが離れてルゼル様のアクセサリーをまじまじ見詰め始めたっ。チャンスっ!


「……ねぇおかぁさん、ずっと気になっていたんだけれど……そのアクセサリーめっちゃ似合っているね。腕時計とか普段しないのに……どこで買ったの?」

『ん? 職人にオーダーしたんだ。我が着けても壊れないから嬉しくてな』


「へぇー……良いなぁ……紹介して欲しいなぁ……」

「……」


 ルゼル様、言わないで欲しい。家に帰りたいので言わないで欲しい。考えを整理したいのでデスちゃんと元の世界に帰りたいです。

『あぁ……聞いてみるよ』

 ありがとうございますっ!


「あっ、そろそろ家に帰らないとっ。この度はありがとうございましたっ! デスちゃんっ、帰ろっ」

『うん、ママの時計気に入ってもらえて良かったね』

「えっ?」


「うぉいデスちゃんそれは家に帰ってから言うセリフだよぉーでは失礼しますっ! また来ますっ!」


 娘さんが振り返った時には帰還転移陣は完成していた。

 ほらデスちゃんおいでっ!


「えっ、これ作ったの? えっ、あっ……行っちゃった……」

『くくっ、振られたな。よし、じゃあ出掛けて来る』


「待って、私に隠し事したよね? そんな可愛い物作れる職人さんって知っていたら絶対離さなかったのにっ!」

『だから我の客人だと言っているだろ。そう怒るな。また来たら連絡するから』


「絶対だよ? 連絡しなかったらルクナちゃんのところに遊びに行ってやるからっ」

『普通に迷惑だからやめなさい』


「ふーんだ。あっちにパンパンあるの知っているもんっ。うん、面白そうだから潜入してくる」

『……嫌われても知らんぞ』



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