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嘘吐きエリスタの最後の嘘  作者: はぎま
王都学院編

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21/363

女子らしいお洒落ってしてみたいよなぁ……

 

「……」

 私の少し後ろから、徐々に距離を詰められそうになっている。

 これは、競走か?

 早歩きでも私は速いんだぞっ。


「……ねえ、何年生?」

「……二年」


「二年? 何組?」

「……知りたい?」


「えぇ、知りたい。同じ学年なのにあなたを知らないから」

「それはよくある事じゃない?」


「私、二年は全員顔と名前は覚えているから」

 無駄に優秀ですね!

 私は同じ組でさえ一年経ってもみんなの名前知らないぞっ。

 それにルナードの顔知らんだろっ。

 図書館から学院に入って、階段を上がる。上がって上がって三階に来た時に立ち止まって、セイランと目を合わせた。


「君は、四階に用事があるの?」

「無いけれど、何組か教えて欲しい」


「……零組」

「えっ」


 クルルの名前を隠して零組の学生証を見せると、驚いた表情で見ていたので安全地帯の四階に向かおう。

 ……いや、付いて来ないでよ。


「……用事が無ければ四階に上がってはいけないよ」

「あなたは、あるの?」


「あるよ。教室が四階だからね」

「……私も、教室に行ってみたい」


「ルールは守らなければいけないよ」

「……解って、いるけれど」


「君は、ルールを守りたいんでしょ?」

「……」


 はっはっは! ルール大好きセイランさんは付いて来れまいっ。

 何気にこんなに喋ったのは初めてに近いけれど、地味じゃ無ければまともに喋られる事が解った……というプラス思考でいよう。別に喋りたくないよ、嫌われているし。話す話題無いし。


「じゃあね」

「待って…名前を教えて」


 あっ名前かぁ……名前無いんだよね。ルナードなんて言えないし、このなんていうか男モード? の名前は考えていない……女子はクルルだし、本名はルクナだけれど……名前ねぇ……別にクルルで良いか。クルルで誰にも名乗った事無いし。

 その前にセイランなんたらって名乗れし。


「クルル」

「あの……去年の魔法測定、クルルなの?」


「去年? あぁ、そう……」

「──私に魔法を教えて欲しい!」


 うおっ! 急に詰め寄って来たからびっくりしたぁ……なに、私は雷使えないよ。セイランには優秀な家庭教師がいるじゃん。

 それに私は覚えているからな、嫌いって言われたの。

 でもでも話の流れからセイランの弱みを握れそうじゃあないか。

 ふっふっふ、理由を聞いてみよう。


「急に言われてもね。君にはきっと魔法の家庭教師が居るし、適性が違うと思うから難しいね」

「それでも、クルルに教わりたいの」


「理由は?」

「……から」


「何? 聞こえない」

「格好良い、魔法だと思った、から……」


「……意外だね、君がそんな事を言うなんて」

「意外? そう、かもね」


 皮肉げに笑うセイランは、見た事の無い表情で面白いなって思った。

 かと言って魔法を教えるに至る理由にはならない。

 私にメリット無いじゃん。限られた時間の中でやりくりしているのにさ。


「ねぇ、聞くけれど……君は、私に何をしてくれる?」

「望む物ならなんでも用意するわ」


「望む物? 君が家の力を使ったとしても、用意出来るとは思えないし、望む物は自分で手に入れる」

「じゃあ、えっと……」


 黙り込んでしまった。少し観察……一年前より青い髪が伸びて、毎日髪留めを変えている辺りお嬢様だなぁなんて思ったりして。

 私は相変わらずショートカットだから、羨ましく思う。


「意地悪だったかな。次に会った時までの宿題にしてあげる」

「何よ、それ」


「君が悩む姿を想像したら、楽しくて」

「……性格悪いって言われない?」


「言われないよ。いつも一人だからね」

「……」


 さて、そろそろ切り上げて幼女の部屋に逃げ込もう。

 セイランがなにか呟いたけれど、聞き返したら長くなりそうだし。

 階段を上がってさいならー。

 学院長室の隣の扉に入り、私の部屋と化した小部屋の椅子に座って一息……なんか、疲れた。

 セイランに魔法を教えるという事は、二人きりにならないといけない? えー、結構キツいじゃん。

 とりあえずセイランの答えを楽しみにしておこうか。



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