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99 革命

 「姉上、ついに自分の前に膝を屈する日がきたようだな。降参した方が身のためだぞ」


 「リン。貴女の浅知恵をいくら振り絞ったところで私に勝てる道理はありません」


 緊迫した表情でリンちゃんとリヴァイアさんが睨み合っている。勝負は既に佳境を迎えている。するとリンちゃんが渾身の秘策を持って攻勢に打って出た!


 「これで自分の勝利は確定だ! くらえ革命!」


 「ごめんねリンお姉ちゃん。革命返しっと♪」


 「なぁっ!?」


 今日一日さんざん遊び捲った俺達は宿屋に戻ってきた。風呂食事を済ませた後、覗いた雑貨屋で購入したトランプで遊んでいる。使い魔三人とユッコちゃんが絶賛大貧民の最中なのだが……


 「リン。貴女が革命を狙っているのはバレバレなのですよ。一上がり」


 「思いっきり顔に出てたよ? 二上がり♪」


 「姉様ごめんなさい、三上がりです」


 「革命の為に全勢力を投じたから五より上がもう無かったのだぁ……」


 どうやら革命に失敗したリンちゃんの惨敗に終わった様だな。革命なんか狙わずに普通にやっとりゃ勝てただろうに。


 「ムサシ、そんなよそ見しとって大丈夫かの? ほれ、王手じゃ」


 「なぁっ!? ちょ、ヨルムさん待った待った!」


 「待った無しじゃよ~」


 くそぅ、じいさん将棋の腕上がってやがる。俺とヨルムさんは将棋を指している。この旅にしっかり一式持ってきていたのだ。将棋ジャンキーめ。


 「ぐぬぬ…… ダメだ、参りました」


 「ムサシは歯ごたえがないのぅ」


 「ヨルムさんが強いんですよ。ちくしょう俺が教えたのに……」


 「おじいちゃんね、ルセルクの将棋大会で準優勝だったんだよ」


 「今思い出しても悔やまれるのじゃ! なぜワシはあの時三七飛を打てなかったのじゃ! あれさえ間違えとらんかったら、魚屋のガンドに勝てたはずなんじゃ!」


 準優勝でも立派だと思うけどね、惜敗したみたいだね。


 「な、なあ兄上! 自分も勝ちたいのだ! なんか自分にも勝てる遊びはないのか!」


 この娘はこの娘で勝ちに飢えてるな。

 

 トランプは買ってみたものの、遊び方はほとんど普及していないらしい。存在は知ってたが何なのかよくわかって無かったんだと。多分召喚勇者の誰かが売り出したんだろうな。

 

 「リンちゃんが勝てそうな遊び? あるよ?」


 「早く早く教えてくれ! ほら兄上!」


 「わかったから落ち着きなさいな。いいかい、これはスピードと言うゲームでね……」


 スピードを教えてみれば案の定リンちゃんの独壇場だった。神速を冠する神獣の面目躍如ってところだよな。


 「ふふーん、どうだ姉上」


 「これは参りましたね。リン、素晴らしいスピードですよ」


 ふっふーんと、全力でドヤ顔のリンちゃん。リヴァイアさんにも誉められて鼻高々だ。


 「兄上やったぞ、勝てたのだ!」


 「はいはい、そりゃ良ござんしたね」


 満面の笑みで俺のうでに引っ付いてくるリンちゃん。リヴァイアさんと比べるとあれだが、この娘もナイスバディなんよね。ポヨポヨ当たって心地ええ♪


 「でも同じ宿なんて思っても見ませんでしたよ」


 「まったくじゃわい。まさかあてがわれた宿屋がこんな高級宿とはの」


 「国王たっての招致ですからね、安宿だと体裁悪いのかも知れませんね」


 追々、国王はシブちんだとか流布されたりしたら恥かくもんな。なんであれ、こうして一緒の宿に泊まれたのはラッキーだったな。


 「それじゃ明日はいよいよ謁見じゃからの、寝不足で粗相しても不味かろ、そろそろ寝ようかの」


 「はーい」


 「って、なんでユッコちゃんが俺の部屋にくるのかね?」


 「えー、テン君と一緒がいい~」


 「しゃあないのぅ、それじゃ俺がヨルムさんの部屋で寝るか」


 せっかくの旅の思い出だ、極力我が儘は聞いてあげよう。


 「すまんのムサシ」


 「なんのなんの」


 「自分はまた姉上と一緒の部屋なのだな」


 「嫌なら私がヨルムさんの部屋で寝ましょう。ただそうなるとムサシ様と寝て貰いますが……」


 「いや、姉上と一緒でお願いしたい。ムッツリスケベとは嫌なのだ」

 

 ハッキリ言いやがる。もそっとオブラートにくるまんかい。傷付くだろ。

 

 そんなこんなで俺達は明日に備え、早めに就寝するのだった。


 

 「おっはよー!」


 ペチン!


 「ああ兄上、おはよう」


 朝の挨拶、リンちゃんの尻叩きも最早朝の恒例行事だ。リヴァイアさん、テンちゃんも普通に叩いている。リンちゃん自身も微動だにしていない。


 「わ、わたしも叩いた方が良いのかな?」

 

 あまりにも不可解な出来事に、どうして良いかわからないユッコちゃんがたまらず聞いてきた。


 「ああ、勿論だ。朝の挨拶は大切だぞ。そうだろう? 兄上」


 う! そうだ、リンちゃんて本気で朝の挨拶と思ってんだよな…… 


 「あ…ああ、そうだね、ペチンしとこうか…」


 ユッコちゃんが歪んだ大人にならない事を祈ろう。


 「おはよー」


 ペチペチ


 恐る恐る尻をペチペチするユッコちゃん。そのすぐ後に、


 「おはようじゃの」


 パッチーンッ!!


 「痛ぁーっ!!」


 いやヨルムさん、あんた加減て知らんのか。多分尻に紅葉跡出来てるぞ。


 朝の挨拶も無事? に終え、食事や身支度を済ませると、いよいよ王城へと向かう。ユッコちゃんの剣術が王様の御眼鏡に適えば、王国お抱えの剣術指南役とかあるかもな。これは一つ気合い入れて行かないとだな!


読んでいただいてありがとうございます!


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