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100 謁見

 いよいよ王様との謁見の為、いざ王城へ。


 道すがらタイミングの悪い問題が勃発した事に気付き、リヴァイアさんにひっそり相談してみる。


 (リヴァイアさん、今探知したら勇者を発見しました。お城を挟んだ反対側にいるのですが… 真っ直ぐこちらに向かってきてますね)


 (つまり向こうもこちらに気付いてる可能性があると?)


 (かも知れません。たまたまかも知れませんが)


 (気付かれてても、まさか城内まで追ってはこれないでしょう。とりあえずこのまま様子を見ましょう。ムサシ様は探知を怠らぬように)


 (そうですね、了解です)


 確かにお城の中に居る限りは安全だよな。客人にもしもがあったら王様の恥だもんな、全力で守って貰おう。


 そして昨日は渡る事の出来なかった跳ね橋の前に到着した。ヨルムさんが衛兵に何やら手紙を見せると、衛兵の合図と共に跳ね橋は重々しい音をたてて降りた。


 「なんか緊張するな」


 「何で兄上が緊張するのだ。ただの付き添いではないか」


 「そうなんだけどさ、よくよく考えたら俺宮廷作法なんか知らないし」


 「ワシもよくわからんな。まぁ平身低頭にしとけば間違いなかろ」


 ふんふんなるほど。つまりいつも通りだな。楽勝じゃねぇか。


 そして城内から現れた、衛兵よりも豪華な鎧に身を包む騎士に謁見の間へと先導される。


 「すげぇな、高そうな物ばっかだな」


 「リン、その辺の物勝手に触って壊さないで下さいよ」


 「なぜ自分に言うのだ。その場合子供のテンに言うべきだろう」


 不服そうに訴えるリンちゃん。ごめん、俺も真っ先に君を注意しようと思っちゃった。ヨルムさんもユッコちゃんもテンちゃんも微妙な顔をしているあたり、同じ事を考えてたんだろうな。


 ぞろぞろ歩く中、すぐに謁見の間には到着した。部屋はかなりの広さがあり、正面奥にはゴージャスな玉座が高い位置にある。まだ王様はいないけどね。


 その代わりと言うわけでも無かろうが、部屋の中央辺りに騎士にしてはモッサリした格好というか、剣や槍を持った人達が数十人並んでこちらを見ている。


 俺達もその人達の横に並ぶ様に指示され、お行儀よく並んで王様を待つ事にした。


 並んでる人達の佇まいから察するに、中々の使い手達も混ざっていると思われる。何者なんだろ? 俺は小声でヨルムさんに訪ねる。


 (ヨルムさん、こちらの方々って?)


 (ん。各地の剣術道場の者や冒険者らしいの。呼ばれたのはワシ等だけじゃないんじゃよ)


 なるほど、有り体に言えばライバルって感じだろうな。ユッコちゃん頑張れ! 


 「ん? あら?」


 「いきなりすっとんきょうな声上げてどうしたんじゃ?」


 「あ、ああ、いえちょっと」


 (リヴァイアさん不味い、件の勇者が城内に入ってきたみたい)


 (お城に忍び込むとは大胆な…)


 (いや、たぶん正面から堂々とだと……ってか、もう扉の前まで来る)


 そしていくらもしないうちに、謁見の間の大扉が開かれると。




 レズリー バウズフィールド


 [剣術6] 剣による攻撃の技量が上がる


 [盾術5] 盾を扱う技量が上がる


 [魔法力5] 魔法力が上がる

 

 [剛撃3] 物理攻撃力が上がる


 [神眼1] 目にした相手が勇者かどうかわかる


 [早食い1] 早飯早糞芸のうち


 炎魔法 雷魔法 毒魔法 回復魔法 魔法剣




 複数の男の中に、やはり勇者が混ざっている。かなりつよいギフト持ちだ。シルヴェーヌさんと修行してなきゃちょっと焦るレベルはある。


 ただ俺以上に焦っているのは相手勇者のレズリーだ。扉を開けたら俺がこんにちはしたんだからしょうがないか。[神眼]は視界に入らない限り勇者の存在はわからないからな。そしてなまじ[神眼]があるせいで、俺との実力差が理解出来てしまう。明らかに狼狽して冷や汗を足らしている。


 一緒にいるお仲間が急に何かに怯えた様になったレズリーを心配している。レズリーにしてみれば一目散に逃げたかろうよ。


 (ムサシ様。相手の強さは?)


 (強いです。でも危険視するほどでもありませんね。厄介そうなギフトもありませんし)


 (では引き続き様子見に徹しましょう。城内で面倒は起こしたくありませんので)


 レズリーのあの様子なら、向こうから仕掛けてくる事も無いだろうし、それが賢明だな。


 そしてレズリー達も同じく並んで暫く待っていると、奥から見るからに貴族様って格好の人が現れた。


 「皆様お待たせいたしましたね。私は宰相のシモンズと申します。以後お見知りおきを。これより王様がいらっしゃられます。くれぐれも無礼の無い様にお願いいたします」


 丁寧な口調だ。特に庶民を見下すとかそんな風もないな。貴族ってもっと偉そうにふんぞり返ってるもんじゃないのか? 知らんけど。


 ややもすると、王様……アーノルド国王がゆったりと現れた。四十半ばぐらいでしょうか? がっしりとした体格で浅黒く、目力が凄い。


 ザッ!


 集められた皆が一斉に片膝を着き、頭を下げる。やっば! 出遅れた!


 「へ、へへぇ~」


 不敬罪とか言われちゃたまらん! 伝家の宝刀五体投地だ!


 な、なんかもの凄く視線を感じるな。いやいや、平身低頭だ。デコが擦りきれるまで地面に擦り付けろ。

 

 「兄上! 恥ずかしい真似はやめてくれ!」


 「バッカ、何言ってんだよ! 王様だぞ! 偉いんだぞ! 偉い人にはひれ伏せってミズモトカツヨシも言ってたぞ!」


 「何!? ミズモト殿がか! ならば自分も!」


 俺とリンちゃんは並んで五体投地を始める。


 「ハッハッハッ! 何やら愉快な奴も混ざってるようだな。よいよい、そう畏まらないで面を上げてくれ」


 どうやら王様の機嫌を損ねずに済んだようだ。

 

 「ムサシの強心臓には驚かされるの」


 「ムサシ様のこれはただの天然ですよ…」


 起き上がって見渡せば、周りの人達はなぜだか俺達に引いていた。

 

読んでいただいてありがとうございます!

ついに100話到達です! これも読んで下さってる皆様のおかげです。ありがとうございます。

リヴァイアさん達の緊張感の無いダラダラ旅はまだまだ続くので、これからもよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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