9 婚約しました
2/3 サブタイトル修正
執事のダミアンさんと一緒に仕事をしている。ダミアンさんの仕事は男爵家の全てを取り仕切る事だ。仕事の範囲が広くて大変だ。それを一人でするなんて凄いよな。手伝っているオレも仕事量が多くて大変だ。ダミアンさんと一緒に仕事をしているとクララさんから呼ばれた。
「トルク、アンジェ様が呼んでいるから一緒に来て頂戴」
……せっかく窓がいい具合に綺麗になっているのに中断を余儀なくされた。すまない窓よ。後で綺麗にしてやるからな。枠も綺麗にしてやるからな。
「わかりました。用意します」
掃除道具を片付けて身嗜みを整える。汚れている所はないと思う。オレはクララさんと一緒にアンジェ様がいるであろうお茶会をしている部屋に向かった。
「失礼します。トルクです。御用とお聞きしました」
「いらっしゃい、トルク。一緒にお茶でもどう?」
部屋を見るとアンジェ様のほかに母親とポアラ様も居る。
「申し訳ございません。ご婦人方のお茶会に男が参加するのは些か……」
「大丈夫よ。リリアさんからは許可が取れたから」
「……しかしですね」
母親の顔色を見てみるが困った顔で笑っているだけ。母親の表情から感情が読めない。
母親から聞いた話では基本的に男性がお茶会に参加するのは家族か親しい人しか参加できないはずだ。親しい男性というのは基本的に婚約者とか許嫁とかだ。結婚を前提とした男も大丈夫らしい。
「おや、少し遅れたかな」
「今からですよ、二人とも早く席に着いてください」
……クレイン様もお茶会に参加するの?オレはクレイン様に背中を押されて席に着いた。隣には母親で正面はポアラ様だ。ポアラ様の両隣はクレイン様とアンジェ様だ。
「今回のお茶会の目的はポアラとトルクの婚約の為のお茶会だ」
……今何て言った? クレイン様。正気ですか?オレは平民だぞ。ポアラ様は男爵家令嬢で伯爵家の継承権が有るお子様だよ?
周りを見る。
クレイン様→笑顔でオレを見ている。そんなに娘の婚約が嬉しいのか? 相手は平民だぞ。
アンジェ様→ニコニコ笑っている。主犯は貴方でしょう。何を考えているんですか?お茶会のネタにしても笑えないぞ。
ポアラ様→少し驚いている様だ。男爵夫妻を見ている。ポアラ様も知らなかったようだ。
母親→困った顔をしている。貴方は前もってアンジェ様から聞いているでしょう。どうして断らなかったんだ!
クララさん→仕事しないでこちらを見ている。早くお茶の用意をしないと怒られるよ。
その他侍女→仕事しないでこちらを見ている。見てないで仕事しろ! 見世物じゃないぞ。
「ポアラには婚約者がいないからな。王都の学校に行く前に決めていた方が良い。王都に住んでいる貴族達から可愛いポアラを守るためには婚約者がいる事が良いからな」
「そうね。私のときも王都の貴族達はうるさかったわ。辺境の貧乏貴族をオレが娶ってやるからありがたく思えって言われた事あってね」
「なんだと。誰が言ったんだ。私のアンジェにそんな口をきいた奴は」
「誰だったかしら?忘れてしまったわ。同じ様な言葉を何人からも言われたから」
「今度、会ったら絞めてやる」
「何人かは戦で死んでいるわ。それに私の事で怒るよりも、ポアラが言われない様にしないとね」
「そうだな、ポアラを王都の貴族達から守るために婚約者をトルクにしようと思ってな。トルクが矢面に立ってポアラを守ってくれ」
……それはオレに肉壁になって死ねと言っているのか?それとも貴族達がケンカを売って来たら平民のオレでも買っても良いって事かな?
「クレイン様、アンジェ様。トルクは平民です。男爵家の令嬢との結婚は出来ません」
そうだよ。男爵夫婦。母親の言う通りオレは平民だよ。母親は……平民?
「クレイン様、確かに母さんは水の乙女っていうあだ名が付いている元有名人だけど私は平民ですよ」
「水の乙女じゃなくて、水の聖女だ。元有名人ではなくて今も有名だぞ。それにお前は王都に行く前に騎士爵を与える予定だから問題ない」
母親のあだ名は乙女じゃなくて聖女だったか。
「王都にある義父の別宅からエイルドとポアラは学校に通う予定で、トルクには二人の護衛を任せる事にした。そしてその次の年にはお前も学校に通う事になるだろう。リリア殿の娘を保護したらリリア殿は義父の養女となり、お前と妹は義父の孫になる。お前にも伯爵家の継承権が発生するからポアラの婚約者としても問題無い」
なんかすごい事になっているんだけど。母親がバルム伯爵の養女になってオレと妹が義理の孫になる?前にアンジェ様が母親に姉妹になりましょうって言っていた事が本当になるとは。
「リリアさんと本当に姉妹になる事が出来るし、ポアラにも婚約者が出来てトルクが義理の息子になるし、私はとても嬉しいわ」
いや、だから勝手に決めないでほしいんだけど。これが貴族社会の常識なのか?平民には自由意志は全くないのか?
「リリアさん。私の一生のお願いです。トルクをください。必ずポアラが幸せにしますから」
……そのセリフって親が言うセリフなのか?これがこの世界の常識なのか?
「ね、ポアラ。今日からトルクが貴方の婚約者よ。これから二人で幸せになってね」
アンジェ様がポアラ様に言うがポアラ様はいつも通りの表情で言った。
「ごめんなさい。トルクと結婚は無理です」
……これは振られた事になるのかな。この世界に来て初めて女性に振られて、少しショックを受ける。やはり平民は範囲外なのだろう。
「どうして、トルクが嫌いなの?トルクは頭も良いし剣の腕も良いし、魔法も使えるわ。性格も悪くないと思うし、顔は少し女顔だけど数年たてばカッコイイわよ。最終的な爵位も伯爵令息よ。何が不満なの? 性格? 顔? 身長?」
「そうだぞ。トルクは有能な人材だ。ポアラの婚約者としては申し分ない。何が不満なんだ?」
男爵夫婦がそろってポアラ様に言っている。振られるのは少し寂しいけど貴族と婚約するよりはマシかな?マシだよね。
「トルクは苦労人だから、これからも苦労すると思う」
なにそれ? オレって苦労人? これからも苦労するから結婚は嫌なの? それってどういう意味?
……確かにエイルド様やポアラ様やドイル様達からは色々と子守で苦労しています。その他にもレオナルド様の事務仕事も大変だけど頑張っている。デカルさんやモータルさん達と一緒に料理を作っているのは楽しいから苦労のうちには入っていない。料理の配膳は少し面倒くさいけど。男爵家の雑務はそこまで大変じゃないし、掃除はエリーさんやマリーもいるから人手が増えて楽になっている。
「トルクって仕事が多いし、エイルド兄様やドイルからいろいろ頼まれて苦労しているし、レオナルドからは普通じゃ出来ないような仕事をしているし、家では料理や掃除や雑務をしている。冬は魔法で温かい水を出したり石を温めて保温したりすごく大変な事をいつも頑張っている。トルクは一体いつ休んでるの?って思うくらいに仕事している。そんな人と結婚なんて無理と思う。私までトルクの苦労がうつりそう」
……休みか。男爵家に来たときは下人と思っていたから休み無しが当たり前だと思っていたからな。伯爵家に行って下人じゃなく使用人だと知らされて伯爵家で初めて休暇を貰ったもんな。しかし休暇は賊に追われて牢屋に入れられるデンジャラスな休暇になったんだよね。
あれ?男爵領に戻ってきてから休みって貰ったかな?今度休みの申請しよう。
でもポアラ様の主張の苦労がうつるってなに?病気や風邪じゃないんだから苦労はうつらないよ。
「この前もエイルド兄様と一緒に森に遊びに行ったし。ドイルと農園に行って新しい料理を食べたし」
エイルド様と一緒に森に行ったけど魔獣やクマと戦い死を覚悟した大変な森遊びだった。ドイル様と行った農園は、……特に何もなかった。平和だった。
「私はマリーと一緒に勉強やお茶会や礼儀作法をして大変なのに、どうして私はトルクと一緒に勉強出来ないの?私もトルクと一緒に遊びたいのに皆がトルクを使うから私と一緒に勉強できないし遊べない」
……確かにポアラ様と会う頻度が減ったよな。エイルド様やドイル様とは訓練で会うけど、ポアラ様とは勉強以外では会ってない。礼儀作法の勉強が増えたし、お茶会は女性しか参加しないからな。ポアラ様と一緒の勉強が終わっても母親から呼ばれてマリーと女性だけで魔法や礼儀作法の勉強をしたり、アンジェ様に呼ばれて女性だけでお茶会をしたりと、男性が参加できない授業が増えたからな。
「魔法の勉強が少なくなったし、私はトルクを的として魔法が当てれなくなった。皆がトルクを使うから私がトルクと魔法の勉強が出来ない」
……オレは的じゃないよ。いい加減に動く的に当てると魔法が上手くなるっていう都市伝説は忘れてくれ。
「話を戻すけど、苦労人のトルクと一緒にいると絶対に私も苦労する。変なことに巻き込まれて私も巻き込まれそう」
でもオレと一緒に魔法の勉強や遊ぶことはその苦労人と一緒に居ることになるよ。変なことに巻き込まれる可能性があるけど矛盾してない?
「ポアラ様、少しよろしいでしょうか。トルクと一緒に魔法の勉強や礼儀作法がしたいからトルクと一緒に居たい。でもトルクとは一緒に居たら変なことに巻き込まれるから婚約は嫌という事ですね」
母親がポアラ様の矛盾を突く。母親はこの婚約に反対だからポアラ様に味方のはず。ポアラ様の理由を聞いて男爵夫婦を説得する為に動くはずだ。
「……あれ?」
……あれ?ってなに?まさか自分で言って矛盾に気付かなかったの? 少し考えるポアラ様に母親は言う。
「ポアラ様はトルクが苦労人だから結婚はしたくない。でも勉強を一緒にしてほしいし一緒に遊んでほしい。でも変な事に巻き込まれる可能性があるから婚約したくない。魔法の勉強も一緒にしたい。見事に矛盾していますね」
「するとポアラはトルクが苦労人じゃなければ婚約しても良いってことね」
パンと手を叩いてアンジェ様が面倒くさい事を言ってきた。オレは別に苦労人のつもりじゃないんだけど。
「トルク、今から苦労人を止めなさい」
「……どうやってですか? アンジェ様」
皆が考える。クララさんやほかの侍女さんも一緒に考えているよ。考えるよりも仕事しろよ。
「……苦労人を止める方法は後で考える事にして、ポアラはトルクの婚約者になる事は反対なのか?」
クレイン様が問いにポアラ様は頷く。そしてテーブルにあるカップをジッと見る。ポアラ様は一体何を考えているんだ?
「トルクが婚約者になったらお茶会に参加できるし、礼儀作法やダンスの相手もトルクになる」
あ、ポアラ様が顔を上げて聞いている。アンジェ様もここぞと言ってきた。
「トルクと一緒の時間が増えるし、魔法の勉強も出来るかもね。王都の学校で婚約者がいるって言えば他の男達の風除けになるし。厄介事は全部婚約者に任せる事が出来るわよ」
ポアラ様が考え込んでいる。色々と天秤に掛けているようだ。
「それにトルクならあなたを領主にしてくれるかもしれないわよ。爵位はトルクで領主がポアラ」
なにそれ?どういう意味? 確か王国の法では爵位や領主は男性しか貰えないはずだ。女性は領主にはなれないはず。女性が領主になる方法はあるのか? 男性領主が譲る事なのか? そんな簡単では無いだろう。
領主の地位を他の人間に譲るなんて馬鹿な事をする人はいないだろう。それに王国の法に触れるかもしれない。
男性の後継者がいなければ女性が代理で領主になるのか?これは知らないな?今度レオナルド様に聞いてみよう。
女性が爵位や領主を出来ないのであれば法を変える?プライドが高い男の貴族がそんな事をする事はない。
法の抜け穴を潜り女性が領主になる方法を探る?貴族院を敵に回す行為だな。
「どうしても嫌でポアラに好きな人が出来たら婚約を撤回すれば良い。この婚約は王都でポアラを守る為の婚約だ。王都で起こるトラブルは婚約者のトルクが守ってくれるだろう。その為に婚約者は居た方が良い」
「わかりました。トルクと婚約します。厄介事は全部トルクに任せるし、領主の地位も貰います」
「そうか、婚約を承諾したか。いやめでたい」
「おめでとうポアラ、トルク。二人とも婚約者として仲よくね」
……どこがめでたい?オレの厄介事が増えただけだよね。クララさんも他の侍女達も若き婚約者達を祝福している。母親を見ると作り笑いをしている。この顔は諦めている顔だ。平民は貴族には逆らえないからな。オレを見て済まなそうにする。「大丈夫だよ母さん」小声で言った。母親は作り笑いをしながらオレの頭を撫ぜた。
「では二人でゆっくり話をする為に我々は部屋を出るか」
「二人とも今後の事を相談しなさい」
皆が部屋を出た。部屋に居るのはオレとポアラ様だけ。……何を話せばいいんだよ。そうだ。
「質問を良いですか?」
「なに?」
「どうして領主になりたいのですか?」
「私が領主になりたい理由は領民が怪我や病気を治せる為の施設を創りたいから」
病院の事かな?
「トルクが男爵家に来る前だけど。私には友人がいたの。その子も魔法が使えて私達は仲良しだった。でもその子も両親も流行り病で亡くなった」
……そんな事があったんだ。オレが来る前っていうと一年か二年くらい前かな? ポアラ様は友人を亡くしていたなんて全く知らなかった。
「男爵家には回復魔法の使い手はいないし、町にも病気に詳しい人はいなかった」
回復魔法の使い手は少ないらしいし、病気も治せる人はいないだろう。前世でも特効薬が無い病気もあったんだ。こっちの世界に特効薬なんて無いだろう。
「だから私はこの領地に病気や怪我を治せる施設を造りたい。でも施設を作るには地位を得ないといけない。だから私は領主になりたい」
それがポアラ様の望んでいた夢なのか。領地に病院を作りたいが地位を得ないと造れない夢か。でも男爵様に相談したら作ってくれるような気がするが。
「女性が領主や爵位を得られないのは判っている。でも施設を造るにはどうしても必要なの」
……施設を造りたいことは分かったけど、領主じゃなくても造れるんじゃないかな?例えばギルドとかなら出来るんじゃないのかな。
「ポアラ様の夢はとても良い夢だと思います」
「夢じゃない。私は造る」
「失礼しました。ですが領主じゃなくても造れるのではないのですか。例えばギルドとか?」
「え、ギルド?」
「はい、傭兵ギルドや魔法ギルドが有るのですから医療ギルドとか創ってみればどうですか? ギルドなら平民でも創れますし、領主の許可だけですよね。後は人材と設備を集めればいいと思います」
「それは考えた事なかった。その手があったなんて」
ギルドの作り方は分からないがレオナルド様やクレイン様に聞けば分かるだろう。
「トルク!婚約は無かった事にして。私はギルドを作る。領主の許可があれば出来るから大丈夫」
……婚約解消されました。婚約も早かったが婚約解消も早かったな。
「トルク、ありがとう」
と言ってポアラ様は部屋を出た。オレはテーブルの上のお茶を飲み、後片付けをして部屋を出た。
後日、母親からポアラ様との婚約が成ったと聞いた。解消されたと思っていたが再度婚約した。母親から。
「嫌なら断りなさい。私が責任をもってクレイン様とアンジェ様に言います」
……とりあえず保留にしました。さすがに男から婚約解消を申し出るのは情けない様な気がするし。
クレイン様からは「嫌なら婚約解消を許す。いつでも言って良いぞ」って言うし、アンジェ様も「ポアラを再教育するから任せて。絶対にトルクと結婚させて幸せにするから」と言っている。
ポアラ様は男爵夫妻に何を言ったんだ。二人ともメッチャクチャな事を言っているよ。あれから何を言ったんだ?
男爵夫妻には「お手柔らかに」と言ってポアラ様の事は任せた。
オレはポアラ様と婚約したメリット・デメリットを考えた。
メリットはクレイン様の後ろ盾と地位だな。その他は男爵家と親族になる。
デメリットはポアラ様の我儘を聞かないといけない。その他は男爵家と親族になりエイルド様やドイル様の我儘も聞かないといけない。
……マジで考えるな。この件は保留にしよう。まだ結婚を考える歳じゃないし問題ないだろう。
オレは婚約の件を母親と男爵夫妻に全部任せた。ポアラ様とお茶会する仕事が増えるだけで特に問題ないしな。
婚約のお茶会の後、ポアラ様の近くで異変?があったらしい。
なんでもポアラ様の周辺で不幸?な事が立て続けに起こっている。ポアラ様の身近な物が無くなったり、寝室で寝ていると物が倒れたり、廊下を歩くとガラスが悲鳴をあげたり、階段で落ちそうになったり、食事中にポアラ様のスプーンが無くなったり奇怪な現象が起こっている。ポアラ様と侍女達は怖がっている。
マリーからその事を聞いたオレは心当たりがあるので犯人を捜した。
「そこにいるだろう。其の一、其の二、其の三」
オレは庭に出て精霊達に声をかける。
「やあ」
「久しぶり」
「どうして俺達がいる事がバレた?」
「勘だ!」
ホントに居たよ、精霊三人衆め。短く答えてオレは目的を話す。
「最近、ポアラ様の周辺で起こっている異常現象はお前達の仕業だろう」
こんな事をするのはお前達しかいない。
「そうだよ」
「やっぱりバレたか」
「それも勘か?」
「どうしてそんな事をする。ポアラ様や他の皆が迷惑しているから止めろや」
「トルクの為にと思ってやったんだぞ」
オレの為? どういう事だ?
「どうして俺の為なんだ?」
「知っているか?不安や恐怖を感じるときに男女が出会うとその人を好きになりやすい事を」
吊り橋効果の事か?
「トルクとポアラって子を引っ付ける為にオレ達が力を貸してやる」
「……一つ質問をする。不安や恐怖を感じる男女だよな。どうして女性にしか不安や恐怖を与えないんだ?」
「それはトルクにしても驚かないじゃないか」
「寝ている時に物音をたてても平然と寝てるし」
「廊下で音を出しても無視する」
「お前の私物はほとんどないし」
「……女性だけに不安や恐怖を与えても関係がないだろう」
「そうだった」
「片方だけじゃダメだった」
「トルクと一緒のときにしないとダメなんだ」
「分かったな。だからもう止めろ。無理に男女をくっつけてもろくな事にはならんし長続きしない」
「よし次の案だ。今度の案は気に入ると思うぞ。題して「トルクが金目の物で女性を捕まえる」だ。これならどうだ?」
「だから止めろと言っているだろう。それにオレは金無いぞ」
「甲斐性なし」
「やかましいわ」




