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精霊の友として  作者: 北杜
六章 帝国領囚人編
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21 質問タイム

 ルルーシャル婆さんの父親が皇帝の弟。マジかよ!皇族の血を引いていたのか!

 みんなで屋敷に戻ってお茶を飲みながら話を聞いている。屋敷は……ウィール男爵家より寂れている。屋敷は大きいが掃除が行き届いていない。元使用人としては汚れが気になる。


「それからジュゲム様に直接、帝都に行ってもらってドライセンがルルーシャルの父親だと確認出来た。ルルーシャルから父親は初代と聞いていたから会話が出来るだろうと聞いたのでな」

「私はラッシーやレローラ達を連れて帝都に行って父親の所に行ったわ。そして今までの事を話したの。ララーシャルの事、内密の会談の事、ラスカル領の事など全部ね。皇帝の病はジュゲムに治してもらって私達の言っている事が真実だと証明できたわ」


 パトラッシュさんとルルーシャル婆さんが説明する。


「皇族であるドライセン様を騙そうとした貴族達は捕まり爵位剥奪から領地没収などの罰を受けた。そしてラスカル家は無罪であったが父の皇族批判が酷すぎて伯爵から男爵に落とされた。父上は牢屋の中でも喚き散らし、無罪になって解放しようと牢屋を開けた途端にその者達を殴り飛ばしてドライセン様を殺害する為に何十人もの騎士達を殴り飛ばしながらドライセン様達の所に向かった」

「そのとき私達は皇帝と父親と一緒に会談中だったの。その現場にラスカル家の当主が血まみれになりながら「ドライセンぶっ殺す!」と言いながら向かってきたわ」

「その時の戦いはなかなかのモノだった。血沸き肉躍る戦いとはこのようなモノだったのだろう。ルルーシャルを守る為に苦難を乗り越えたラスカル家当主とルルーシャルを守る為に立ちふさがった父親。良い闘いだった」


 パトラッシュさんとルルーシャル婆さんとジュゲムが思い出に浸りながら言う。

 ……話について行けない。少し整理しよう。

 ルルーシャル婆さんの父親は皇帝の弟で皇族。死んでいたと聞いていたが生きていた。

 皇帝の意識が回復してラスカル家は無罪になったが皇帝批判の罪で伯爵から男爵に爵位が落ちた。

 ランドや関係者はどうなった?解放されたのか?

 ルルーシャルの父親であるドライセンは死んだと言われたのになんで生きている?

 ドライセンはどうして王国で殺されそうになった?

 ララーシャル皇女を襲った兵達は誰の指示だ?

 ドライセンはどうしてラスカル家を責めたんだ?

 どうして皇帝は会談を周りの人間に知らせなかった?

 確かルルーシャルの旦那と子供は死んだのだろう?その事はまだ聞いていないぞ?

 ……一つ一つ確認していこう。


質問……ランドや関係者たちの冤罪はどうなったの?

答え……冤罪を受けた者達は死んでいる者達・死んだと思われていた者達以外は救えた。


「ランドは死んだと思っていた。探しても見つからなかったからな。見つからなかった原因は鉱山に魔鉄があったからだろう。魔鉄の影響でランドが見つからなかった。魔鉄は精霊の力を弱くする鉱物だ。テストに出るから覚えるように」

「ジュゲム!ランドの苦労を考えなさい!貴方が気合を入れて探したら見つかっていたかもしれないのよ!」

「しかしランドが鉱山に居たからトルクと出会えた。これも運命だろう」


 サラッと流すな!ランドの事をマジで考えろよ!


質問……ドライセンはどうして殺されそうになった?

答え……わからない。


「ドライセン様が言うにはいきなり知らない人間から精霊の事を聞かれて襲われたそうだ。その者達は実戦経験のある者や魔法が使える者だったそうだ」

「私の母が言っていたけど王国の手の者の可能性が高いと思うわ。でも母がジュゲムや他の精霊達を使っても分からない御使いの敵対者。気を付けた方が良いわよ」

「……婆さん。それってオレが襲われる可能性があるって事?」

「その通りだ。トルクなら精霊に好かれているから大丈夫だろう。助けを頼んだら我先にとフュー〇ョンをして周りに被害を与えるだろう。ちなみにドライセンが襲われたとき精霊に助けを頼んだのだが「わかった!」「応援するぞ」「頑張れ!」と励ましたそうだ。私達はその精霊達からドライセンが殺されたと聞いた」

「大丈夫よ!私はトルクを助けてあげるから」

「私が居るから周りの精霊なんかにフュー〇ョンなんてさせないわよ」


 ……ララーシャルやサクラの言葉を信じていいのだろうか?


質問……ルルーシャルの父親であるドライセンは死んだと言われたのになんで生きている?

答え……精霊の力を借りたから。


「ドライセンの友となった精霊は闇の精霊なのだ。闇の精霊は洗脳や呪い、そして騙す事を得意としている。その精霊に頼んでドライセンは自分が死んだと周りに広めた。私も騙されてドライセンが死んだと信じてしまった」

「その後、母が居る家に帰ったけど家の中は荒らされて母もジュゲムも居ない。闇の精霊に聞いても「分からない」と言われたそうよ。父も怪我をしていたし、精霊に魔力を与えたから疲れ切っていたわ。体の回復を図りながら母を探したけど見つからなかった。その後に精霊から自分を襲ってきた人間の仲間に殺されたと言われたらしいわ」

「ルルーシャル様の母君が殺されたと知ってドライセン様は王国では命の危険がある為に帝国に戻ったそうです。帝国に戻ってルルーシャル様の母君を殺した張本人を探そうとしたのですが、当時の記憶があやふやで敵の顔も思い出せない状態だったとか。なんでも闇の精霊の力を使った結果、自分にも影響が出だそうです」

「初代によくある精霊の力を制御できないって状況だな。闇の精霊の騙す力が本人にも降りかかって、その結果、記憶があやふやになったのだろう。闇の精霊の嫉妬という事もあり得るがな」


 ……精霊の嫉妬?


「精霊は気に入った人に印を与えるけど理由は様々よ。友愛・情愛・恋愛・同情と理由があるわ。闇の精霊はドライセンを好きで私の母に嫉妬していたの。ちなみに私がトルクに向けるのは友愛よ。ララーシャルはなにかしらね?」

「勿論友愛ですよ。でも将来は他の感情が芽生えるかもしれないわ。トルクって可愛いし、私の中のララーシャルは好いているわ」

「あらあら、良かったわね、トルクさん。好かれているわよ」


 精霊二人はオレで遊ぶな!ルルーシャル婆さんも乗るな!話を戻すぞ!どうして闇の精霊は記憶をあやふやにしたり騙しだんだ?


「少し長くなるから後で説明する」

「……わかった、後で説明してくれ」


質問……ララーシャル皇女を襲った兵達は誰の指示だ?

答え……指示した黒幕は分からないが和平を反対している貴族だと思う。


「ララーシャルを殺しに来た兵達は全滅して誰の命令がわからない。精霊の命を懸けて作った竜巻で生き残っている者などいない。私も防ぐのに手一杯だったぞ」

「だがララーシャル皇女の動向を知っている者。帝国の上位貴族か皇帝の側近の誰かが戦争派に伝えたのだと思う」

「……つまり誰が指示したのか分からないんだな」

「だがドライセンが何人かの貴族を処罰していたからその中の者だと思う。詳しい事は後で説明する」

 また後で説明かよ!


質問……ドライセンはどうしてラスカル家を攻めたんだ?

答え……側近達から言われて攻めた。


「伯爵の地位にあったが特に何もない伯爵家だ。派閥も中立を保っており、皇帝から直接頼まれ信頼されている。それ故ラスカル家を敵視する者達は多い。当時のドライセン様は戦争派で王国との戦争を一番支持していた。その戦争派の貴族がラスカル家を潰そうとして冤罪をかけた。ルルーシャル様が後宮にいたときにラスカル家の親族だと知って罪を着せようとしたそうだ」

「父は信頼している貴族に言われて信じたそうよ。ラスカル家がララーシャルを王国に売ったと信じてラスカル家を攻めようとした。当時のラスカル家当主は頑張って冤罪と訴えたけど最終的には牢屋に入れられた」

「二年近く反論していたんだよね。凄くない?」

「ラスカル家を擁護する他の皇族が居たのだ。先代皇帝の弟だ。流石にドライセン様や戦争派の貴族達も無視できなかった。しかしその擁護者が寿命を迎えてラスカル家当主は捕り牢屋に入った」


 ……本当に寿命か?殺されたんじゃないの?


「寿命だと思うぞ。その擁護者の皇族は毎日酒を飲み、美味い食事を食べる美食家でな。ある時倒れてコロッと死んだ」


 ……不健康な生活で死んだのか。


質問……どうして皇帝は会談を周りの人間に知らせなかった?

答え……後で教えるつもりだったけど、倒れてしまって知らせる事が出来なかった。


「……間抜けだな」

「その通りだ。間抜けな皇帝だ。世界一間抜けな皇帝だ。略して……初代は良くわからない言葉を使っていた。わかるか?世界でダブリューと言う言葉だが他の略し方がわからない」


 多分、WMEかな?ワールド マヌケ エンペラーかな?そんな事はどうでもいい!


「ララーシャル皇女が出発した後に側近達に話すつもりだったのだがその前に体調を崩して伝える事が出来なかったそうだ。寝たきりの皇帝の公務を弟のドライセン様が代理で勤めていたときにララーシャル様が王国の者達に殺されたと戦争派の貴族に言われた。犯人はラスカル伯爵家だと言われてな」

「誰にも伝えなかったのか?間抜けな皇帝は?」

「……ララーシャル様とその護衛や侍女は出発するときに伝えたそうだ。その護衛の中に裏切り者がいたらしいけど」

「護衛の一人が戦争派の貴族の子弟だったのよね。そのせいで戦争派に王国の者と会って和平を築く事が知られたわ。それを知った貴族は私達を殺して王国とラスカル伯爵家に罪を被せる予定だったの」

「……皇帝が誰かに伝えていたらララーシャル達は死ぬことがなかったと思うのはオレだけ?」

「皇帝の周りには戦争派が多いみたいで、和平派が少なかったらしいわ。それで秘密裏に実行したけど、体調を崩して周りに伝えられなくて……」


 周りに信頼できる者がいない皇帝って……それで良いのか。


質問……確かルルーシャルの旦那と子供は死んだのだろう?その事はまだ聞いていないぞ?

答え……今から話す。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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