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精霊の友として  作者: 北杜
六章 帝国領囚人編
146/275

15 ララーシャルの中の人

ハードが消えた!データが消えた!

消えたデータの取り出しは無理だったようです。

奇跡的に保存していたデータが少し残っていたのでそれを修正しつつ投稿を頑張ります。

更新速度が遅くなりますが許してください。

「誰が幽霊よ!」


あんたが幽霊だよ。三十年前に死んだって自分で言ったじゃないか!


「それは言葉のあやよ。確かに私は死んだけど精霊として生きているわ」


精霊として?あんた精霊なのか?


「私の名前はララーシャルよ。それを聞いてわからない?正確には貴方の知っている小さな精霊と融合したの。ルルーシャルからは聞いていないの?」


何も聞いていない。


「……」


黙り込む皇女様。……黙って考え事をしている。

しかし奇麗な人だな。ララーシャルが育ったらこんな人になるのかな?

ポアラ様やアンジェ様も奇麗だけどこの人はそれ以上だな。

あれ?ララーシャルは精霊だよな?この人と融合してララーシャルとなった?小さい精霊がこの人?

だったら目の前で考え込んでいる人は何者?

頭が混乱しているな。ララーシャル皇女が精霊で小さいララーシャルが皇女様?ララーシャル皇女がマナーを忘れて子供の様にテーブルに座ってお菓子を貪るように食べる姿……。


「また変な事考えてない?」


カンの良い皇女様だな。ハリセンを上段に掲げて振り下ろせばオレの頭を叩く準備をしている。


「私やルルーシャルの事を教えるわ。どうして初代の精霊が私やルルーシャルを呼んだのかもね」


やっぱり何か理由があったのか。それからハリセンは何処にしまった?


「私がルルーシャルと出会ったのは帝国のある領地を訪問した帰り。私は皇女として育てられていて、希少な回復魔法の使い手でもあったわ。そのせいで敵視している貴族がいたみたいで、私は襲われそうになったの。そのときに助けてくれたのがルルーシャルだったわ。私とルルーシャルはあっという間に仲良しになったわ。名前も似ているでしょう?私は彼女を帝都に招待して私の客人として迎え入れたわ」


ララーシャル皇女とルルーシャル婆さんは友人となって……そのときにランドと別れたのか。

後宮に行ったから別れたって言っていたからな。ランドの話ではその後に城下町の案内をさせられて苦労した話を聞いたぞ。


「あの頃はとても楽しかったわ。ルルーシャルが居る事で私はとても幸せだったわ。でもそれから少しした後に私は父から皇帝から秘密裏にある事を聞かされたの。それは王国の王子との婚約」


……あれ?オレが知っている年数が少し違うような。確か五十年以上の前の話だったような気が……。


「そう。一回目は五十年くらい前に和平のために王国の王子と結婚の話があったわ。でも両国の政敵によって両国の皇子や王女が亡くなったわ。それで二回目は秘密裏に和平を結ぶ事になったの。その為に私はルルーシャルと一緒に王国の王子に会いに行ったの。でもその情報が和平を反対する勢力に渡って失敗したわ」


そのときの事を思っているのか暗い声になる。そしてその暗い声はまだ続いた。


「私は両国の懸け橋になれると思って、戦争を終わらせるために王国の王子と会う事にしたわ。でも不安だったからルルーシャルにも同行をお願いして侍女として付いてきてもらったの。護衛の者達や侍女達と一緒に目的地に向かったのだけど……」


王国側から敵襲があって殺されたと。王国にはめられて侍女や護衛の人達も殺されたんだな。


「……貴方って王国側の人間よね。自分が生まれた国を疑っているの?殺されたのはまだ後ね。帝国の反対派が暗殺者を雇って殺しに来たり、賊に変装した者達が殺しに来たり、変質者が襲って来たりしたけど撃退したわ。そして目的の場所の屋敷に着いたときには王国側の人達は来ていたみたいで、屋敷に入った途端に今度は王国側から襲撃されてなんとか撃退したわ。本当にルルーシャルには感謝ね。敵が来るのを前もって知らせてくれるから対処できたわ」


御使いの力なのだろうか?それともジュゲムもしくは風の精霊の能力で遠くを見る能力かな?


「王子達も敵から襲撃を受けていたらしく合流して敵を撃退したわ。そして王子とやっと面会できた。そしてやっと話し合いの場を設ける事が出来ると思ったんだけど敵の罠に嵌っていたみたいなの」


王国や帝国、二つの国から狙われて罠にかけられるってすごくない?味方は何をしているの?国のお偉いさんは?国王や皇帝は?知らないの?


「私達は協力して敵を倒した事によってお互いに信頼関係が結ばれて、私も王国の人達に助けてもらい信頼できると思っていた。でも会談の最中に敵は私達を一時的に敵に手を出せない方法をとったわ。どんな方法か分かる?」


質問かよ?急だな。……敵に手を出せない方法か。人質とか物質か?敵が自分の大事なモノを脅して攻撃の手を止めさせる?


「その通りよ。王国の裏切った護衛が侍女を人質に、帝国も裏切った護衛が侍女やルルーシャルの知り合いを人質にした」


ルルーシャル婆さんの知り合いを人質にしたの?ランドが捕まったのか?


「ランドではないわ。ルルーシャルにはランドと女性の付き人がいたの。ランドは男性だから皇女のいる後宮には入れないけどその女性はルルーシャルと一緒に後宮に招き入れてね。彼女はルルーシャルにとっても私にとっても姉の様な人だったわ。それなのに裏切った護衛は人質にしたの!許せないでしょう!首に刃物を付けられている人質達がいるから私達も動けなかったのだけど……ジュゲムがあっという間に人質を解放して護衛がレローラを助けたの!レローラがルルーシャルの付き人の女性ね」


段々と感情的になってきたな。暗く話されるよりもましだけど……。


「そのレローラを助けた護衛は実は付き合っていてね。この旅が終わったら結婚するってジュゲムが言っていたわ。私達もその事をジュゲムから聞いてどんなサプライズプレゼントを渡すか考えていたの!」


ジュゲムから聞いたって事は盗み聞き?ジュゲムの奴にプライバシーってモノを教えないといけないな。


「でも敵が最後に私に迫って来たの。王子が身を挺して私を守ってくれたのだけど、今度はルルーシャルを標的にして彼女に迫ったからジュゲムが対処したの。だけど敵が持っていた刃物が飛んできて私の顔に傷つけたわ。」


そのとき自分の指で頬をスーとなぞる。そこに刃物が当たって傷がついた所だろう。


「ご丁寧に刃物には毒が塗ってあったみたいで回復魔法で治したのだけど傷が残ったわ。その傷口だけ奇麗に残ったの」


女性の顔に傷がついたのか。今は傷がついていないけど傷口はなくなったのか?


「……王国の王子がね。今回の件は一旦、国に戻って和平派と話し再度交渉する事にしましょう。両国に敵がいるのに和平は難しいでしょう。敵がいなくなったら再度和平の話し合いをしましょうって。王子達と別れた後にジュゲムが聞いた話によれば「顔に傷の付いている傷物女なんて誰が娶るか」ってね。酷いでしょう!」


そうだね、酷い男だね、男の屑だね、屑の世界一だね、世界一のゴミだね、ゴミの中のゴミだね、キングオブゴミクズだね。


「その事を聞いて私は悲しくなって泣いたわ。ルルーシャルやレローラが慰めてくれたのだけど悲しくてね。私に刃物が飛んできたから王子は守ろうと思って行動したけど間に合わなかったわ。そのせいで顔に傷が付いたのに……そして傷物って酷いでしょう。泣いている最中にジュゲムが傷を無くしてくれたのだけど。ジュゲムには空気を読む事を教えた方が良いと思わない?」


そうだね、空気読まない精霊だね、酷い精霊だよね、空気を読めない精霊世界一だよね、キングオブエアだね。


「そして帰路の最中で、また襲われたの。数百人の兵がいて、最初は私達を迎えに来たのかと思ったのだけど誰かが前に出て「ララーシャル皇女を誘拐した犯罪者が!」と言われたわ。何を言っているのか分からなかったから私が前に出て説明をしようとしたの。すると矢を射られて殺されそうになったわ。お腹の所に矢が刺さって二本目・三本目と刺さろうとしたときに風が守ってくれたわ。ジュゲムかと思ったのだけど声が聞こえたの「彼女には指一本触れさせないわ!」って。その声がした途端私を中心に竜巻が襲い周辺をすべて吹き飛ばしたわ。近くにいるのはジュゲムに守られたルルーシャル達だけ。護衛の人達も数人飛ばされたみたいでね。残った人数は六人だったかしら?ルルーシャルとレローラと護衛が二人、侍女が二人。護衛の中にレローラの思い人が居たのは運が良かったわ」


それは良いとしてアンタは矢を射られて重傷。

ジュゲムではない他の精霊が竜巻を起こして数百人の帝国兵が死亡。

ジュゲムに竜巻から守られた六人以外が全滅で合っているか?

兵と周囲の環境を破壊した精霊は誰だよ?ジュゲムの他に精霊がいたのか?


「……えーと私なのよね。正確には私と融合した精霊なの。ララっていう名前の精霊で私に懐いていたってルルーシャルが言っていたわ。矢に当たって死にそうだった私を助ける為にその子が私と融合をしたの。ただね、御使いではない人間がいきなり奥義のフュー〇ョンよりも上位の融合をするのはとても危険でね。精霊も私も死ぬところだったわ」


……皇女様は何かのショック?で死ぬ寸前だったけど精霊の声が聞こえ、精霊は好きな皇女様の命を救うべく融合を使った。そして融合して死にそうだったけどオレと話をしているという事は生き延びたということなんだな。


「私は融合した精霊のララーシャルの中で生きていたわ。私も精霊の子も死にそうだったけど初代の精霊が助けてくれたの。融合を使った後。ルルーシャルとジュゲムは空を飛んで初代の精霊の元へ向かったわ。そして精霊の子と同化する事でギリギリ助かったの。私の意識は精霊のララーシャルの中で眠りながら記憶を融合させ、精霊の力を蓄えて私の意識が表に出る事が出来るように。ルルーシャルも私の為に寿命を削って魔力を使い続けたわ」


……魔力を使い続けると寿命が減るの?そんな事聞いてないよ。


「それは後で説明するとしてようやく私は目覚める事が出来たわ。記憶も融合させて力も蓄えた。貴方のお陰でね!」


それはララーシャルが勝手に奥義を使ってオレの魔力を使い、寿命を減らしたからか?


「寿命はそこまで減ってないはずよ。ララーシャルが貴方に奥義を使って魔力の使い方を覚える前に大変な状態になったの。最悪の事態を想定して初代の精霊の元に行って確認をしてもらっているわ。ルルーシャルもランドも一緒よ」


……ララーシャルがオレの体を勝手に使っているのか?そしていろいろと飛ばして初代の精霊の元にいる?どうしてそんな事態になったんだよ!


「終わり良ければ全て良し!確か初代の言葉よね。後は喉元過ぎれば熱さを忘れる?だったかしら?良い言葉よね」


やかましい!無責任な事を言うな!


「そろそろ目が覚めると思うわ。私も精霊として貴方に会えるわね」


今のララーシャルは?小さい精霊は?


「あの子も私よ。あの子が成長したら私になるの。次にララーシャルと会うときは小さいララーシャルが成長して私の心を持ったララーシャルになるわ。そしてこれからもよろしくね。私の御使いのトルク」


ウインクしながら微笑むなんてなんて高等技術を持っているんだ!これも帝国で受けた教育か?


「初代の精霊が教えてくれたの。これをすれば男なんてイチコロよって!」


……なんかどうでも良くなった。早く目を覚ますか。


「じゃあね!生まれ変わった私を見て惚れないようにね!」


最初と比べてずいぶん軽い性格になってる気がする。猫かぶっていたのか?


「好奇心旺盛な精霊と同化して少し性格が明るくなったみたいなの。昔みたいに怪我している子に更に怪我させることはしないし、他の精霊を呼んで玩具にする事もしないわ」


……どういう意味だ?怪我させた?玩具にした?詳しく聞いてみたいな?


「……そろそろ覚醒するわね。覚醒させるわよ!」


ちょっと待て!ハリセンを構えるな!それで叩いたら夢から覚めるとかお約束だろう!そんなお約束なんて止めるんだ!


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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