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精霊の友として  作者: 北杜
五章 伯爵家騎士編
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閑話 子爵家次女アルーネの砦生活②

私は仕方なく砦の案内をしています。

子供の案内なんて誰でも出来るのにどうして私がしないといけないのでしょうか?

早く終わらせて子供騎士の従者を辞める方法を考えなくては……。

子供騎士の後ろに付いている大人の視線がウザいです。

貴方も子守が大変ねと心の中で思っていると警報の鐘が鳴ります。


「帝国が攻めて来たわ!私達も行くわよ!」


私は急いで父上の所に向かった。後で後ろを向くと誰もついてこない。仕方がないから先に父上の所に行く事にしました。


「父上!帝国兵が攻めて来たのですか?」

「私は待機を命じられている。もしもの時は出る予定だ」


私も父上の準備を手伝わないといけません。父上に付いている従者と一緒に用意をしようとしますが……。


「お前は騎士トルクの従者だろう?なぜここに居る?騎士トルクは何処だ?」


あ!そうだった。あの子供騎士の従者だったのでした!


「私の準備がありましたので少し外れました。許可は取っています」


むずかしい言い訳をしましたが父上は信じたようです。


「そうか……。騎士トルクの従者、頑張れ」


父上に激励してもらったがあまり嬉しくありません。あの子供騎士なんかの為に何故頑張らないといけないのでしょうか!

私は父上と別れて騎士トルクが居る病院に向かいます。

入り口で待っているがまだ来ていない様です。


「おや?アルーネじゃないか?入り口で何をしているんだね?中に入ったらどうだい?」


声をかけて来たのは父上の怪我を見てくれていた病院の偉い医師です。そして私を変な目で見て、執拗に私に話しかけてくる目つきの怖い医師。


「申し訳ありませんが仕事中です。この病院に来る騎士を待っている最中です」

「なら病院の中で待っていればいい。さあ行こう!」


近づいて肩に手をかけて病院の中に連れて行かれます。この医師はどうして私を触りたがるのでしょうか?

そして部屋に案内される。医師は呼ばれたみたいで用事があると言って部屋を出ました。

私は一人部屋で待っていますが誰も来ません。

外では城壁から怒声と悲鳴が聞こえます。

もう戦闘が始まっているようです……。これから病院は忙しくなるでしょう。

あの子供騎士の手伝いをしないといけませんが、あんな子供が回復魔法を使うなんて信じられません!

姉を殴ったあの馬鹿貴族の顔に似ている子供なんか信用できない!

バルム砦にいる子供達なんて男娼候補生だし!あの子も同じような考えの子供です!

考えにふけっていると医師がお菓子を持って部屋に戻ってきました。

私は仕事中だからと言って断り、さりげなく医師も仕事をしろ!を遠回しに言いましたが聞き入れてくれません。

戦闘が始まっているのにどうしてこの医師は私と一緒に居るのでしょうか?

怪我人を治療しろ!と遠回しに言っているのですけど笑うだけです。

でも怪我人が運ばれないのはおかしいと思って医師に言っても「私が治療した前線の騎士が頑張っているのだろう」と笑いながら言います。

偶に私の体を触りながら喋る医師に気持ち悪さを覚えて、用事が有ると言って部屋を出ました。

病院内は静かでした。前は城壁からの怪我人が来て大変だったらしいですけど、今日は怪我人が来ていません。

戦闘が終わったのかと思いましたが、城壁からは戦闘音が聞こえます。

帝国兵が少ないのでしょうか?それにしても怪我人が来ていないのはどうしてでしょう?

変な目で見る医師に隠れながら病院で待機していたら、怒声がやんでいます。戦闘が終わったようです。

結局、トルクって子供騎士は病院に来なかった。きっと戦闘が怖くて逃げだしたに違いありません!

コネを使った子供が最前線の砦に来るのが間違っていたのよ!

私はあの子よりも年上だけど言われた仕事はキチンとするわ!

これなら父上のところに居た方が良かったわ。嫌がらせをする従者がいても父上と一緒なら我慢できるし。

そうだ!父上に報告しないと。あの子供騎士が戦争から逃げ出した臆病者だという事を伝えないと!

父上に会って事の次第を伝えると……父上から怒られた。凄く怒られた。

私を殴ろうとましたが近くにいた人に止められて怒りを抑えています。ここまで怒った父上は初めて見ました……。

どうして怒られたのか分かりません。

その後、砦の責任者のアーノルド様の部屋に行き、戦闘で起こった出来事を聞きました。

子供騎士を侮辱した砦の医師。

従者としてあるまじき行動をとり続けた私。

そして命の危険性がある最前線の城壁で回復魔法を使い怪我人を減らし、戦死者を二名しか出さなかった事。


「私の事は気にしないでください。娘は放逐し、私は次の戦争で戦死します」


父上にも被害が及び私は自分が行った行動がそれほどの事になるとは思いませんでした……。

後日、騎士トルクが目覚めてから改めて話す事になり、私は騎士トルクの下に行って謝って助けてもらおうとしたが。


「お前は部屋で謹慎をしつつ、身の回りを整理しておけ」


と言われて部屋に閉じ込められました。

……何が悪かったのでしょうか。




四日後、騎士トルクがアーノルド様と部屋で話をしています。どんな事を話しているのだろうか?

父上は何も喋らず目を瞑っています。

この四日間は父上とも会えず話せず、閉じ込められた部屋で身の回りの整理をしていました。

そして今まで騎士トルクに行った行動を顧みる。

私が騎士ならその場で殺していますね……。

そんな事が分からないなんて私はどうかしていたのでしょう……。

やはり死をもって償うべきなのですね……。

母や姉を守る事が出来ず、不名誉なまま死ぬ事になり、泣きたい気持ちになります。

……どうしてこうなったのでしょうか。

アーノルド様の従者に呼ばれて父上と一緒に部屋に入ります。


「騎士トルク、娘のアルーネは職務を放棄し、騎士であり私の恩人でもある貴方を侮辱しのだ。子供だから酌量の余地があるとしても放逐で良いだろう。万が一の事を考えてアルーネには自決用の毒物も用意する」


自決用の毒物を貰えるのか……。母や姉の為に騎士になれそうにないみたいです。最後に二人に会いたいが無理かな。


「私も親として責任を取る。娘の教育を間違い騎士トルクに恩を仇で返した罪は死罪が良いだろう。しかし私は騎士として名誉ある戦死を希望する。騎士トルクよ!私の願いを聞いてくれ!」

「聞けるか!放逐とか戦死とか罪が重すぎる!」


騎士トルクが反対している。どうしてあれだけ馬鹿にされた人を庇うのでしょうか?


「しかし!」

「しかしじゃねー!せっかく回復したのに勝手に死ぬな!罪を犯したなら生きて償え!それに子供を放逐なんてするな!ガキなんだからケツ叩いて説教して終わりだ!」

「アルーネは従者としてあるまじき行動とったのだ。父親として……」

「だったらあるまじき行動をとった訳を聞いたのか?聞いてからケツ叩いて説教して終わり!」


父上からどうして騎士トルクにあのような態度を取ったのか理由を聞かれました。

私はみんなにすべて告白をします。

姉を傷つけようとした王都学校の馬鹿貴族に似ているから。砦の従者達の嫌がらせで子供が嫌いになった。

砦の医師が気持ち悪かったとか、前の従者のときに騎士に襲われて怖くなった事を話しました。

そしてコネで騎爵位を持った事に怒っていたと全部話しました。


「その怖い目で見られた医師は誰だ?」

「父上の怪我を見ていた医師です」


あの医師も気持ちが悪い。どうして私だけこんな目に合うのでしょうか。

その後の話は騎士トルクの行動についてだった。

私と別れた後、アーノルド様の所に行って指示を仰ぎ、病院に来たらしいが医師とのやり取りでキレた騎士トルクは前線で怪我人の治療をおこなったそうです。

その話を聞いたときは呆れてしまった。平民から物事を言われて言う事を聞く騎士がいるとは思わなかったです。

その行為にアーノルド様は怒って騎士トルクに説教をします。

なぜか私にも飛び火して私も説教を受ける事になりました。

長く説教を受け、昼過ぎに部屋に入ったのに暗くなっている。何度も何度も同じ事を言われ、立っているのが辛く苦しかったです。

ようやく終わったと思ったら、また同じような事を言われて意識が遠くなりそうです……。


「…………という訳だ。二人とも貴族としての心構えを忘れないように」

「ハイ!」


騎士トルクと二人で返事をする。騎士トルクは平気そうに立っている。私よりも年下の子供なのにどうして平気なのでしょう?やはり騎士として体を鍛えているのでしょうか?


「おや?もう夜か。少し話しすぎたな」


説教が終わり騎士トルクとその部下のケビンさん、父上と私で建物を出ると騎士トルクの体が魔力で光っている。回復魔法を使って体を癒しているようです。


「騎士トルク、私にも回復魔法を頼んでも良いか?」

「隊長!出来れば私もお願いします」

「騎士トルク、従者の身分ではありますが私にも治療をお願いできればと存じます」


私達の言葉に騎士トルクはみんなに回復魔法を使って体を癒してくれました。


体が軽い。本当に回復魔法の使い手なのですね。

今まですいませんでした。騎士トルクに謝ろうとしたけど……。


「騎士トルク、アルーネの事だが……」


父上が先に話しかける。ビクッとした。私の事?やはり罰でしょうか?放逐は重いと言っていましたから鞭打ちとかでしょうか?それとも十日間の絶食でしょうか?


「ご恩情により放逐は止め、後で説教をする。その前の事をお願いしたいのだが、アルの尻を叩くことだ。罰としては私よりも騎士トルクがした方がより反省すると思うのだか頼んでも良いだろうか?」


私の尻を叩く?そう言えば「ガキなんだからケツ叩いて説教して終わりだ!」って言ってましたね。

……私のお尻を叩くのですか!

そんな!父上にも見せた事ないのに!子供とは言え騎士にお尻を見せて叩かれるなんて!そんな破廉恥な!


「それは父親である貴方の仕事でしょう」

「いやいや従者を躾けるのは主である騎士トルクの役目だ!」

「いやいや……」

「いやいや……」

「いやいや……」


私が犯した罪なので罰は受けます。ですが人前は恥ずかしいので出来れば部屋で……。


「いやいや……」

「いやいや……」

「いやいや……」

「いやいや……」


父上でも騎士トルクでも打たれる覚悟はします。


「では二人で叩いたらどうでしょうか?」

「では代表でケビンさんに叩いてもらうのはどうでしょうか?」

「なるほど!では私達は正しく打てるかどうかを見定めよう!」


何故か騎士トルクの部下のケビンさんが打つみたいになっています。出来れば騎士トルクか父親にしてほしいです。

肉親や子供に見せるのは恥ずかしいですが我慢できます。でも他の大人には見せたくありません。

最終的に私が希望する人に打ってもらう事になり、私は父を選びました。

その後部屋で服を脱ごうとしたら止められた。


「どうして服を脱ぐんだ!」

「お尻を叩くのに服を脱ぐのでは?」

「服は着てよい!」


服を着たまま叩いて良かったのか。私は少し恥ずかしくなり父親に背を向けた。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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