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精霊の友として  作者: 北杜
五章 伯爵家騎士編
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閑話 子爵家次女アルーネの砦生活③

あれから数日が経ちました。

私は騎士トルクの従者として彼の身の回りの世話をします。

起床の鐘と同時に起きて身支度をする。

急いで朝食を食べて騎士トルクを起こす時間になり部屋に入って声をかけます。寝ぼけながら目をこすり姿は年相応の可愛い子供です。

寝癖を直し着替えを手伝って私は朝食の準備に取りかかります。

朝食後、騎士トルクは部隊の人達と一緒に病院で怪我人を治療します。

毎日、回復魔法で怪我人を癒す騎士トルクに怪我を治してくれた兵隊は感謝しています。従者としても鼻が高いです!

病院の医師たちも負けじと怪我人を治しています。

私も騎士トルクに言われて病院の清掃を手伝う他、患者の話し相手や飲み物を飲ませたりしています。

この病院に勤めていた私を怖い目で見ていた医師はいなくなっていました。

父上に聞いたら「処分した」と言っていたので亡くなったのでしょう。爵位を持つ者に逆らったのですから。

……それを聞いて安心した。病院内で気持ち悪い気分になる事はありません。

その後、昼食を取り騎士トルク達と一緒に訓練場で訓練をします。前に騎士トルクと模擬戦をしたがあっけなく負けました。

後で聞いたら騎士トルクは戦闘力Eランクで私のGランクの二つ上です。魔法を使えて剣も使える。本当に年下なのでしょうか?

私も努力して騎士トルクに勝てるようになりたいです!

騎士トルクは砦の騎士や兵達とも互角に戦っています。何度か騎士トルクが相手を投げるのを見ました。子供が大人を投げるなんて信じられなかったです。

その技を覚えたくて、お願いしたら「部隊のみんなに教えているから良いよ」と言われたので投げ技と関節技、それから魔法の訓練も参加しました。

夜に父上に魔法の訓練の事を教えたら羨ましがられました。

父上も訓練に参加する為に今度、時間を作るらしいです。その時が楽しみになりました。

訓練が終わり私は従者の仕事をします。騎士トルクの部屋の掃除や洗濯、装備品の整理など様々な仕事があります。

夕食の時間になると騎士トルクに夕食の用意をします。今日の夕食は美味しそうです!

従者の夕食は騎士達が食べ終わった後です。私も早く食べたいな。

夕食が終わり、騎士トルクと別れて後は自分の用事をすませます。

夕食を食べて明日の準備をして父上と話して寝る。

あ!騎士トルクに言わないといけない事があった!

今からでも大丈夫かな?

私は着替えて部屋を出て会いに行こうとしますが、途中騎士トルクはどこかに行くようで寝間着から普段着に着替えて外に出るようです。

まさか酒場とかいかがわしい所に行くのかと思ってこっそり後をついて行きました。

あとをついて行った先は捕まっている帝国兵がいる牢獄です。

何をするのか?と思って見ていると門番が交代でいなくなった時を見て牢獄の中に入っていきました。

あとをつける為に私も入ろうと思ったら門番が来て入る機会を失いました。

外で待っているとまた門番が交代の為いなくなる。その隙に入ろうと思ったら騎士トルクが牢獄から出て来ました。

そして宿舎に戻って部屋に戻ったようです。

まさか騎士トルクが帝国兵と密談をしているとは……。

これは父上に伝えて確認をしないといけない!

私は直ぐに父上に相談しました。

父上は私に何度も確認をして考え込んだ後で。


「その事を誰にも言わないように。私は用事があるから先に寝ておきなさい」


と言い部屋から出で行きました。

ベッドに横になるが騎士トルクの行動や父上がどうするのか気になって寝付けませんでした。

次の日も昨日と同じ日課です。

少し眠いけど大丈夫です。

騎士トルクを朝起こしたときは普通でした。

目を擦り、あくびをする年下の可愛い子供。

騎士服を着てマントを羽織ると騎士に見えるから不思議です。

あっという間に一日が過ぎ夜になりました。

騎士トルクは今日も牢獄に行くのでしょうか?私が騎士トルクの後を付けようか考えていたら父上が部屋に入ってきました。

父上の他にもアーノルド様と副隊長のケビンさんも一緒に居ます。


「これから騎士トルクを見張る。昨日はいつ部屋から出た?」

「確かこのくらいの時間帯でした」


部屋の窓を見ると騎士トルクが牢獄の方に向かっています。

それを伝えたらみんな部屋を出て騎士トルクが居る牢獄に行くようです。

私もみんなの後を追ってついて行きました。

アーノルド様が門番と話して牢獄の中に入ります。

牢獄の中はこんな風になっていたのですね。

そして騎士トルクの声が聞こえました。みんな止まって騎士トルクの話を聞きます。


「昨日の質問の答えが聞きたい。どうすれば戦争が無くなるのか?」


感情の無い声で騎士トルクは喋っています。


「……戦争を終わらせる考えは出なかった」


誰かと話している様子です。父上を見ると顔が険しい。


「だが!必ず答えを出す!平和的な考えで血を流さず!誰も不幸にさせない方法で戦争を終わらせる!」


帝国人が戦争を終わらせようと考えています。信じられなかったです。

平和に暮らしていた王国に戦争を仕掛けた悪辣な帝国。

その帝国が平和的な考えで戦争を終わらせると言っているのですから。


「それが良いと思うよ。時間をかけて、みんなと協力をして、少しずつ進み平和を掴む事が一番大切だと思うよ」

「私は答えを出さなかった。何故お前は私を責めない!」

「一日考えたくらいで答えが出るならもう戦争は終わっている。必要なのは戦争を無くす為の意思だ!」


美しい言葉です。戦争を無くす為の意思!心が温かくなる!


「本当に戦争が無くなるのか……。部下達が傷つく事は無いのか?人を傷つける事は無いのか?」


泣きながら話す言葉を聞いて私も泣きたくなります。なんて優しい考えを持つ人なのでしょう!


「人間が始めた事だ。終わらせる事も出来るはずだよ」

「手伝ってくれるのか?戦争を無くす為に!」

「無理だ」


……感動していた心が一気に冷めていく。なんだか騎士トルクを怒りたくなってきた。

アーノルド様や父上は呆れているし、副隊長のケビンさんの頭を抱えている。

周りの牢屋も静かでやけに外の事が五月蠅いくらいに聞こえる。


「ならば私が手伝ってやろうか?」


側にいたアーノルド様がいきなり喋り出します。それから歩き出して騎士トルクの側に座りました。


「初めまして、私はアーノルド ルウ バウムだ。この砦の責任者でバルム領主の弟であり、トルクの上司だ」

「お初にお目にかかる。私の名はクリスハルト。ロックマイヤー公爵家の者です」


公爵!王族の親戚?そんな人がどうして捕虜に?戦争に参加しているの?父上も驚いている!


「お主が言った戦争を無くす……。出来ると思うか?」

「出来る!戦争を終わらせる!これ以上、血を流さない為にも!」

「……どうやって戦争を終わらせる?」

「トルクにも言ったが終わらせる考えは出なかった。だが!必ずやり遂げて見せる!私だけでは無理かもしれないが他の者達の力を借りてやり遂げて見せる!」


戦争を終わらせる?そんな事を帝国の人が考えているの?何の為に?まさか!罠?

アーノルド様と帝国人の話は続く。私は頭が混乱して聞くだけでした。


「そしてトルクは私達にも回復魔法を使い怪我を癒してくれた。帝国兵に癒しを使う優しき者もいる。その者達が少しでもいるなら戦争を終わらせる事が出来るはずだ!」


騎士トルクは捕虜の人達にも怪我の治療をしていたのですか?なんて素晴らしいのか!まさしく貴族の鑑です!


「お主の考えは分かった。だが言うは簡単だ」

「命が続く限り私は戦争を止めてみせる!」

「私も平和に考えてみよう。しかし此処ではなく会議室で話す内容だな。ヴィッツよ、牢を開けよ」

「感謝する!アーノルド殿」


父上が牢屋から捕虜を出し、最後の一人が出ると私の方に走ってきて腕を取り、後ろに回った。

何か起きたか分からなかったが男の言葉で理解した。


「動くな!動くとこの子供を殺す!」

こ、殺す!どうして?私は何をされているの?私が持っている武器を取って首筋に当てます。

刃物の冷たさを感じる。私は何をされているの?


「ローランド!何をする!」

「クリスハルト様、王国の兵を騙して牢を開ける作戦、お見事です!この子供を人質にして牢屋の兵を開放し、この砦を占拠しましょう!」

「ローランド!何を考えている!私はそんな事考えておらん!すぐに子供を放せ!」


私は人質にされている?そんなどうして?捕虜の人が泣きながら言っていた事は嘘なの?私達は騙されたの?

何をされるか分からない。どうするべきか考えているとケビンさんが喋っている。だが混乱している私の耳には聞こえなかったです。

そのとき高速の何かが当たる音がしました。

剣を落とす音がするとケビンさんが後ろの男を殴りつけた。

父上が来て抱きしめられた。今頃怖くなり涙が出て来た。父上を抱きしめる。

その後、父上に言われて部屋に戻り休んだ。休みながら今日の出来事を思い出していた。

騎士トルクが取った行動、帝国人の平和への叫び、アーノルド様の振る舞い。

頭がごちゃごちゃしています。

王都にいた時はこんな事を考える事なかったのに。

学校で勉強をして姉や友人と会話して将来の夢に向かって努力する。

敵の事など考えた事なかったし、戦争の苦労も軽く思っていました。

いろいろ考えていると警報の鐘が聞こえる。

敵襲だ!起き上がり着替えて騎士トルクの下に向かいます。

騎士トルクの部屋には誰もいないが、騎士服を用意していると部屋に騎士トルクが入ってきました。


「準備は出来ています。騎士トルク!」


お礼を言われて私は着替えを手伝い、用意が済むと騎士トルクと一緒に部屋を出る。

部隊の人達がいつの間にか部屋の外で待機しており三人で病院に向いました。


誤字脱字、文面におかしな所があればアドバイスをお願いします。

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