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092⚫️首輪とロープなんて

イヨを誘拐した連中から引き出した情報が入ってくる。

テロリスト、と簡単に一括りにはできない。

政治的・宗教的・思想的な目的を達成するために、

暴力や脅迫を用いて社会を脅かす組織もあれば、

単に誰かの指示で違法行為を行う利益追求型の集団もある。


イヨを誘拐した連中は、半ば素人だった。

報酬につられて、指示された少女をひっさらう。

カネが動機である連中の指示系統は追いにくい。

思想・信条で繋がっていれば、

ある程度、後ろに誰がいるのか推測しやすいんだがな。


俺は唸りながら、ジンとココアと分析、捜査を続ける。

国家安全保障局も親善野球の参加者以上の人員を割り振る。

誰が糸を引いている?

局長は科学情報局の’女神’とやり取りをする。

海外の組織・集団もリストアップされる。

その中には国内の公の機関も含まれる。

あの’ハリボテ戦車’事件の時のようだ。


ジンはさらに局長に迫り、詳細な事実を聞き取る。

俺を雇い入れたこと、大神島に調査に行かせたこと、

イヨの救出に向かわせたこと、すべては線で繋がる。

局長、半信半疑でも、ずっと継続的な調査を続けていたということだな。


「だけど、今、イヨさんとアキラさんが同時に’国内’にいる、というのは、救いですね。」

「よせよ、俺は月の巫女じゃない。」

「その血統を引いている、最後の1人です。」

「例えそうだとしても、日の巫女と月の巫女がいれば、’国内’、領域が平和になるというものでもないだろう。古文書や歴史書の記述はそれとして、あくまで周りのニンゲンから見てのことだ。癒やしの能力や人狼の存在が、過剰な期待をもって描かれているんじゃないか。」

「それはあり得ることですね。それでも、イヨさんがアキラさんに会いに来た、ということは因縁を感じさせます。」

「俺は自由人だ。一生、誰かの盾になるなんてのはごめんだね。」

「そうですね。狼に首輪とロープをつけるのは、むずかしいですね。」

「・・・ジンさん、エイミーさんの病院から連絡があります。」


コールがなる。

ココア、いつもながら事前にわかるんだよな。

病院からだ。・・・えっ、もう、退院って、いいのか?


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