055⚫️パイとケーキ
’ジュピター’は恐竜艦隊に向かって、微速前進する。
ーでは、みなさんとわたしとを部分同期します。少し驚くかもしれません。あらかじめ、ご承知ください。
「驚くって、なんなの?操縦系は、もうわかってるけど。」
ー本船の各システムについての概要です。何が可能か、一時的な知識としてお持ちください。では、送りますね。
ぐわっ!来たあ・・・。
一瞬、船内が静まりかえる。
誰もが、見えすぎた世界に息を呑む。
ルドルフ、口開けて固まっとるやん。大丈夫か?
「あっ、すみません。いやあ、シールド機能がすごくて、ちょっとのめり込んで見てしまいました。」
「攻撃って、ブラスターや貫通弾、ってだけじゃないんですねえ。これは・・・なんという多様性・・・うめきますな。」
ほんでも、概要、一般的な知識だけで、これだけのもんがあるんか?
もし、隅々まで全部のデータを同期したら、脳みそ、爆発してまうわ。
けど、いろいろわかったで。
「ルドルフ、シールド全開や!あ、あかん、全開するまでもあれへんな。」
「艦長、まかしておいてください!やれます!最適解で対応できます!」
ルドルフ、頼りになるわあ。
「ルナ、むこうの射程内までどれくらいや?」
「この微速度のままなら、船内体感時間であと、30秒です。あれっ?なんかよくわかりすぎてる、わたし・・・。」
’ジュピター’と同期してるって、便利なもんやなあ。
「’ジュピター’の全回線で、通信開始!戦意がないことを伝達!」
「全回線、光学表示、並びに恐竜艦中枢コンピュータのようなもの、にアクセス。こちらの意向を発信します。」
「相手の受信、確認しました。」
「あっ、艦長、恐竜艦隊の各口が開きます。巨大砲塔が見えますぞ!」
「クドー、いちばんええコースは?」
「11時方向から、相手の砲撃を一旦受けてから、一気に距離を詰めてはどうでしょう?本船の防御能力を見せれが、向こうも不利を悟るかもしれません。」
「マリカさん、いけるか?」
「もちろん!Easy as pie!」
「恐竜各艦、エネルギー集積終了しつつあります。間もなく、高エネルギー収束波が来ます。5秒前、4,3,2・・・」
「ルドルフ、頼んだで!」
「Piece of cake!」
48体からの収束波が来る!
圧倒的な光が、わしらを包む!・・・けど、何も起こらん。
「シールド、全エネルギー収束波を分散、反射、吸収しました。本船に異常はありません。」
ルナ、ほんま、ようできる子やねえ。
「急速接近します!ルドルフ、シールド調整をお願いネ!」
「了解です、マリカさん!」
近距離に接近する。
恐竜艦からの攻撃はやまない。
しかし、その攻撃はわたしたちには、届かない。
「なかなか、あきらめてくれませんな。次の段階、ですかな?」
「亜空間転移で攻撃を回避しながら、恐竜艦の中枢コンピュータらしきものをハッキングするで。向こうの攻撃システムと推進機関だけ、黙らせる。ルドルフ、ええか?」
「了解!48体、同時に侵入できます!」
「恐竜艦から収束波が来ます。徹底交戦ですな。が、向こうは、照準がついてこられない模様です。」
「収束波、本船の転移前の宙域を通過!」
「ハッキング、開始!」




