017⚫️スカウト
思っていたより、はやく着いたわね。
報酬もまあまあだから、わたしの毒薬をあちらこちらにバラまくのよ。
為政者なんて、みんな自分の富と権力のことしか考えていない。
貧しい人々を搾取し、自分たちだけが贅沢を享受する。
公国もそうに違いない。
革命家のわたしが、公権力の集まるところで、
このモタジトン0614を使ってやるわ!
公権力のイヌどもめ、思い知るがいい!
まず初めは、あのかわいい、じゃなかった、派手な城の中にもぐりこんでやる!
あれっ?子どもたちが遊んでる。
あっちは、うわっ、医者が患者の手当をしてる!
ここは病院ですか?
むこうでは、大人たちが楽しそうに話してる。お祭りについて?
う〜ん、ここは城みたいだけど、城じゃないのかあ。他を探そう。
あった、あった!
この門構え!透かし彫りになってる、大きな鉄の門!
いかにも、って感じの邸宅よね。
きっと、ここに領主がいるに違いない!
でも、なんでこんなに警備が手薄なの?
迎賓館?ああ、他の国の偉い奴らが来た時に泊まるところなのかあ。
でも、なんかオープンな感じよね。
えっ?一般の人の見学、自由なの?
しかも、希望すれば泊まれるの?わたしでも?
混んでいる時は抽選?
無料だけど、使い終わったら自分で掃除や洗濯をして、元に戻すのかあ。
自炊でもいいけど、料金を払えば、賓客と同じものが食べられるの?
しばらく滞在した人たちがいたけど
「広すぎる、落ち着かない」
「家で食べているものがいい」
「お茶漬けがいい」って、長続きしなかったのね。
でも、じゃあ領主はどこに住んでるのよ?
えっ、みんな知ってるの?
きっと大きな要塞みたいな館で、厳重な警備が敷かれているのよね!
何なの、これっ?!え、えっ〜?!
この住宅地の中の、このちっこい家がラベンダー伯の家なの?
信じられない!
あっ、人が出てきた!男の人だ。使用人かな?
ええっ!伯爵本人なの?!
招き入れられちゃった。
お茶でもどうぞって。シンプルな室内・・・。
豪華な装飾品も、贅沢な調度品もない。
あっ、すみません、ありがとうございます・・・。
美味しい!なあに、この紅茶!きっとお高いんでしょうね!
あれっ?あの缶、マーケットで売っていた、お手頃な庶民価格のものよね。
クッキー、伯爵の手作りい?
どうなってんのよお?!
すっかり話し込んでしまった。
伯爵、植物や薬にも詳しいのね。
えっ、わたしをスカウトしたい?
ど、どこに?
公国の薬学研究室に?
研究員として?
えっ、え〜?!




