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21話

 

 美坂さんとの溝が埋まってからはあった言う間で気づけば文化祭当日となっていた。俺は支度をして気合を入れる。なんていったって今日は学校でライブをするからだ。


 俺はドアノブに手を掛けてドアを開く。


 「あ………」


 「「おはよう。」」


 俺は妃奈と目が合う。俺は二人で学校に向けて歩き出す。

 

 「今日は早いね、ゆうくん。」


 「まぁね。ちょっと緊張してるのかも。」


 「みんなの前で歌うから?」


 「多分ね……。今思えば俺がアイドルか……。」


 俺が感傷に浸っていると、妃奈は何か思いついたのか少し顔を赤くして俺に話しかけた。


 「じゃ、じゃあさ、ゆうくんの緊張をほぐすためにも、わ、私と文化祭まわらない?」


 「え、でも見つかったら……。」


 「そこは大丈夫!こんなこともあろうかと変装道具持ってきたから!」


 そう言って妃奈は眼鏡とマスクを取り出す。


 正直、こんなので隠せると思うか不安だが……。


 俺が心配そうに見てると妃奈が顔をぷくぅと膨らませた。


 「もう、ゆうくん!何心配そうに見てるの!絶対大丈夫だって!だから、その……一緒にまわろうね」


 妃奈が下から目線で俺にねだってくる。


 それは反則だろ……。可愛すぎるんだよ。


 俺は心を決める。


 「わかった。妃奈俺と一緒に文化祭回ってくれ。もしバレそうになったら俺がなんとかする。」


 「うん!」


 妃奈は満遍の笑みで答える。


 俺と妃奈が約束を交わしてから少しして匠と愛が合流する。


 「よ、お二人さん。」


 「よ、匠。おはよう。」

 

 すると少しもじもじしながら愛が言う。


 「おはよう、優斗くん。」


 俺は朗らかに笑って返事をする。


 「おはよう、愛ちゃん。」


 それを見て匠が俺に声をかける。


 「優斗、愛ちゃんと仲直りできたみたいだな。」


 「まぁね。」


 すると匠がいきなりニヤニヤしだした。何か嫌な予感が……。


 「そうかそうか、『愛ちゃん』ね。もしかして何かあった?」

 

 ややこしくするなよ。


 俺はその言葉は心の中で留めておくとして、多分誤解しているであろう妃奈の誤解を解くために言う。


 「そうだね。まぁ、親友になったんだよ!それ以外は何もないからな!」


 妃奈を見ると少しだけ不機嫌そうだった。


 後できちんと説明するか。ついでに何かお詫びに何かしてあげよう。


 

 そうこうしているうちに俺たちは学校へと着いた。学校はいつもとは違い華やかに装飾が施されていた。


 

 「遅いよ、そこの4人組!早く着替えて!」


 そう言われて俺たちは急いで着替える。


 「よ、優斗。やっぱ、お前似合うな!」


 周りの男子が俺を見て言う。俺はなんだか胸が熱なった。

 

 これが文化祭か……いいなぁ。


 「優斗、お前泣いて──。」


 俺の目から涙が流れていた。俺はにっこりと笑い、泣いてないアピールをする。


 「別に泣いてねーよ。」


 あぁ、俺は憧れていたんだな。普通の高校生活に……。みんなが文化祭という行事に一つになる。転生してよかったな。


 「みんなー!聞いて!」


 愛が少し大きな声を出す。みんなが愛の方を向くと一つ間を開けて言った。


 「みんな、今日は待ちに待った文化祭です!悔いのない1日を過ごしましょう!それじゃあ、そろそろお客様がくるから、割り振られた通りの持ち場についてください!」


 愛の話が終わると俺たちは急いで持ち場についた。運が良く俺と妃奈は朝から昼前までの担当で、接客がメインだった。


 文化祭祭が始まると大勢の客が俺たちのクラスに足を進めていた。目当ては妃奈や愛たちだろう。


 「いらっしゃいませー!こちらにどうぞ。」


 妃奈がにっこりと笑う。すると案の定男性客はデレデレしていた。


 まぁ、しょうがないな。俺でもデレデレしてしまう。


 俺がそんなことを考えていると俺の番が来たようだった。


 俺は精一杯のスマイルで接客をする。


 「いらっしゃいませー!?え、花澤さん?と匠!?なんでここに?てか、なんで一緒なんだ?二人は……。」


 匠は担当が午後だからわかる。でもなんで……。


 俺が驚いていると、花澤さんが俺に接客してとせがんでくる。


 「それでは、案内させていただきます。」


 俺は精一杯の笑顔で案内をした。ちゃんと笑顔を作れていたのかわからないが……。


 先に着くと花澤さんが説明しだした。


 「それじゃあ、簡単に説明すると、匠は私の弟なの。」


 俺は「ええーー!!」という声を押さえ込む。


 「匠が探偵みたいに鋭いのって花澤さんから来てたんですね。」


 俺が冗談で言うと、匠が澄ました顔で言った。


 「優斗。驚いた?」


 俺はこの顔に一発拳を叩き込みたいという気持ちを押さえ込む。俺が匠や花澤さんと少し話していると妃奈も花澤さんに気づいたのかこっちに近づいててきた。


 「おはよう、妃奈。流石に似合うねー。」


 「おはようございます、飛鳥さん。でもなんでここに?」


 「まぁ、優斗くんにも言ったけど彼、匠は私の弟なの。」


 「えーーー!!」


 妃奈の声が教室内に響き、一瞬クラスが静かになりそして再び騒がしくなる。


 「それじゃあ匠くんは私とゆうくんのこと……?」


 妃奈さんが少し小さい声で匠に聞くと匠はもちろんと言った顔で答える。


 「もちろん知ってるよ。てか、前々から気づいてたけどね。」


 「そうなの……。でも匠くんなら大丈夫だよね。」


 妃奈さんは情報を整理する。そして俺たちは4人で少し話しをして仕事に戻る。


 それから、俺たちは一生懸命接客をした。妃奈は可愛いと騒がれるのは当たり前だったが、俺も時々似合ってると言われたりと、とても楽しい仕事だった。そして気づけば昼前になっていた。


 「それじゃあ1班の人たち!そろそろ交代だから上がってー!」


 俺たちはそう言われて、裏の方へ行き制服に着替える。そして俺が教室のドアの前で少し待ってると、変装をした妃奈(不安)が姿を現した。


 「ごめんね、優くん。少し変装に時間かかっちゃった。」


 「いや、俺も今来たところだから、それじゃあとりあえずご飯買いに行こっか。」


 そう言って俺は妃奈に手を差し出す。妃奈は一度俺の顔を見ると少し顔を赤くして俺の手を握った。もちろん恋人繋ぎだ。俺の手と妃奈の手が絡め合う。俺の顔も赤くなっていたのは言わなくてもわかることだろう。


 そんなこんなで俺たちの文化祭お忍びデートが始まった。

 

 


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