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黒レンジャー

僕は大学を卒業してから、地方の出版社に就職した。するとそこには沢山の人々が働いていた。田丸という先輩が居たのだけども、いつもストレスを溜めていて「おぃ、リー!パチンコ行くぞ!!」とか言って誘ってきた。田丸はビールを片手に僕の脇でパチンコを打ち続けていたが、僕のことにはお構いなしに玉がよく出る台はどれだとかなんとか言って、僕をパチンコに引きづり込んだ。僕はそんな彼と付き合うのが嫌で、社内で地道に仕事をして彼から距離を置くと、今度は増岡という先輩が僕にからみついてくる様になった。

「リー君。待っていたのよ。」

いや、休憩時間にコーヒー飲みにここに来ただけだよと思った。増岡は何かにつけてヒステリックだったが、僕の前では黒ピンク色の空気を漂わせながら、ボーっと見つめてきた。どーしよ、どーしよ、食われちゃうのかな…。いつも思っていた。

ある日、緒方に電話した。すると、緒方は新しい彼氏が出来たらしく僕は振られた様だったのでとても凹んだ。凹みっぱなしのまま会社に行くと、増岡がやっぱり僕を狩るかのように見つめていた。危うくパチンコに引きづり込まれる、間違った、危うくチンコを引きずり込まれるかと思って恐怖におののいていた。

入社してしばらくすると、パチンコに引きづり込まれるかチンコを引きずり込まれるかの戦地に僕は居るのだということに初めて気がついて、僕は家に帰ってから世を憂いお祈りをささげていた。

12月の半ばに、ケンちゃんから電話がかかってきた。

「おぉリー、いま何しとん?」

「自分の部屋で本読んでるよ。」

「そやない、近況や。」

「あぁ、出版社に居るよ。もう疲れたよ。ケンちゃんは順調なん?」

「…。」

ケンちゃんは自分のことを一切話さなかった。僕はそれが彼の思いやりなのだということをよく知っていた。

年を越して、再び緒方に電話してみた。一向に繋がらなかった。会社に行くと、増岡が僕のデスクの前に座っていた。

「リー君は若いからね。」

「何言ってるんですか~!w」

僕は愛想笑いをしていた。それから三日ほど立って、僕のパソコンに増岡からメールが届く様になった。僕は丁重に返信を綴った。…そんな増岡からのメールが3年も続くとは思いもよらずに。

僕はすっかり老人のようになった。増岡に付きまとわれて、僕は生気を失いぐったりとしていた。もうケンちゃんの顔も、緒方の顔も浮かんでこない…。僕は木偶の坊みたいになって、増岡の呪いに掛かっていた。そして僕は黒レンジャーになってしまった。増岡は社長の奥さんだったから、尚更拒むことは難しかった。僕はその戦地でついに死を遂げた。

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