第98話 異なる世界を統べる神
更新を待ってくれている方がいらっしゃれば、
ブックマーク・いいね・評価していただけると嬉しいです!!
―数日前―冥界にて―
アダムがハデスとベルセポネとの訓練を終え、休憩していました。
そこで二羽のカラスを連れた青年に出会いました。
青年:毎日毎日よくやるねぇ。君はなんのために戦っているんだい?
青年はアダムに問いかけました。
アダム:最初はオリンポスの神々に復讐することしか考えていなかったけど、今は少し違ってきているかな。
なぜかアダムはその青年に素直に心境を吐露してしまっていました。
青年:今はどんな理由があるんだい?
アダム:僕は神による統治が間違っていると思うんだ。人間は人間だけの力で生きていくべきなんだ。そのために戦っているんだよ。
青年:そのための方法は見つけたのかい?
アダム:そうだね、神々の記憶碑を破壊して、僕が全人類の記憶碑となって創世する方法を模索しているんだけど、神々を消し去る方法がどうにも難しいんだよね…。とにかくハデスさんの元で少しでも力をつけて戻らないといけないかなと考えているよ。
青年:人間だけの世界か…。面白そうだね。僕も手伝ってあげるよ。
アダム:君は…?
青年:僕はね、君とは違う世界の神なんだ。昔から人間に興味があってね。君の行く先はとても興味深いよ。僕の息子の力を貸してあげるね。
そう言って青年は神殺しの槌をアダムに与えました。
アダム:これは…?
青年:ミョルニルと言ってね。神殺しの槌なんだ。とはいっても信用できないだろうし、少しだけ僕の世界での記憶を見せてあげるよ。ムニン、頼んだよ。
そう言って青年は左肩にいるカラスに語り掛けました。
ムニンがアダムに向かって鳴いた瞬間、アダムに青年の世界での記憶が流れてきました。
そこでは彼の息子であろう雷神が神々を相手にミョルニルを振るって、神々を葬っていました。
これまでの戦いでアダムは神々に対して優勢であり、再起不能にすることができていました。
ですが、根本的に神々を葬るすべはありませんでした。
ですが、ミョルニルによって葬られた神々は存在そのものが消え失せていました。
アダム:これは…僕が求めていた力だ……。
青年:これで君の成そうとしていることは成されるだろう。君が作る世界を楽しみにしているよ。
そう言って青年は去ろうとしました。
青年:あ、君の中の神々にも僕たちの会話は聞こえないようにしてるから安心してね。
アダム:…ありがとう。
アダムはつい本音で話していましたが、それはレアたちにも聞かれるわけにはいかない内容でした。
そんなことすら考えられない、頭をよぎらないほどに青年にはすべてを話してしまいそうでした。
青年:それじゃあ、幸運を。
そう言って青年は去っていきました。
ハデス:ここは私の領域だ。貴様には貴様の領域があろう。
アダムから離れ、立ち去ろうとしていた青年にハデスが声を掛けました。
青年:面白そうな人間がいたものでな。もう戻るさ。邪魔をしてすまなかったな。
そういって青年の姿から威厳のある神々しい姿に戻ったのでした。
ハデス:冥界と言えど違う世界なのだ。曖昧な境界を更に曖昧にしないためにも、もうこちらにはこないで頂きたい。
青年であった威厳に満ちた神は何も言わず自らの領域へと戻っていきました。
ベルセポネ:彼は?
ハデス:我々とは異なる世界の最高神だ。
ベルセポネ:まぁ、それで貴方もうだつが上がらなかったのですね。
楽しそうにベルセポネが笑いました。
ハデス:笑い事ではないんだよほんとに…。
緊張が解けて安堵しながらハデスがこぼしました。
―異なる世界―
青年であった威厳に満ちた神:ムニン、フギン、お前たちはアダムの作る世界を観察して私に報告するのだ。これから楽しくなりそうだ…。
そういって彼は静かに笑みを浮かべていました。




