第三十話 将来について(第一部完)
待望の王城の図書館に入れる日がやってきた。
レオランドに着いてきてもらうことで許可が下りたのだ。
お目当ての本を借りることができて、ルナセーラはホクホクとしている。
「……やはり、将来は魔道具を作る仕事に就くのか」
将来はどうなりたいのかとレオランドに聞かれたルナセーラ。
魔法学院を卒業した生徒の進路は多岐に渡る。魔法省の官僚になる、魔法騎士団に属す、魔法治療の病院勤務等、魔法に関わる仕事は幅広くある。
「そうですね。魔道具がもっと身近になるような研究がしたいかな。実家の地域では魔法が使えない人が多くて、生活が不便だったのだけど、安価で魔法が使えない人でも扱いやすい魔道具の開発がしたいんだ」
レオランドはルナセーラの決意の固さに驚きを隠せない。
「ルナセーラらしいな」
「だから、すぐには結婚とかは無理かもしれないけれど……」
「いいよ。ルナセーラを応援したい」
レオランドはルナセーラの手をギュッと握る。
「ルナセーラは魔鳥と意思疎通できる能力があるが……これは隠さないといけない。魔鳥は大きな力を持っているからだ。国にバレると、魔法騎士団に入れられてルナセーラの夢が敵わなくなる」
魔鳥と会話できるのは異質な能力だった。セドリフから受け継いだ能力とはいえ、国家に利用される恐れがあった。
「大丈夫だ。俺が守る」
「レオランド……」
真っ直ぐに見つめられて、ルナセーラは思わずレオランドの背中に手を回した。
心強かった。
「ありがとう」
ルナセーラは強力な味方を得て、どんな困難でも乗り越えていけそうな気がした。
《第一部 完》
最後までお読みくださりありがとうございました。
これで第一部が完結になります。
続きは、気力が続く限り書いていきたい……と思っていますが、今のところはわかりません。
私の希望としては彼らの物語を書いていきたいと思います。
また彼らと会える日をお楽しみに……!




