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intermission.
仄暗い。
「ヒミツの第2☆格納庫」、その無人の薄闇の中。不格好な物体はひとり、静かに起動の刻を待つ。
四方を簡素な足場に囲まれ、燻銀の鉄枠に閉じ込められたるその異様。古代遺跡の神殿の、荘厳と建つ石像の神か。はたまた。市場の売り場に並べられた、梱包の中の卵の姿か。
その、卵の殻の中。薄いコックピットの壁の内、「ハルカ」はひとり、眠り続ける。
一瞬の。
星の瞬き、途切れた意識。覚醒の声は天宙の果て、彼女の耳には無音に遠く。少女は小さく膝を抱えて、胎児のように眠り続ける。
僅かな喧騒の時間は過ぎ、ふたたび鎮と訪れる静寂。薄闇の中の、ひとりと、ひとり。未だに出逢いを果たさぬふたり。ふたりになれない、ひとりと、ひとり。
ふたりの出逢いから始まる物語を、ひとりと、ひとりは未だ知らない。ふたりの出逢いが物語を創造めることを、ひとりと、ひとりは未だ知らない。
天宙の。
遥か上空から降り来る光条。無慈悲に落ちる破壊の稲妻。
開幕りを告げる天使の角笛が鳴り響く瞬間の訪れるまで。
仄暗い。
薄闇の中の、ひとりと、ひとり。
少女と不思議な物体は、鎮かに目覚めの刻を待つ。




