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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
8章 闇鍋とドロボー
69/72

王伝編集官 59話

 開拓隊を見送った後、少しの世間話をしてスティークさんと別れて帰宅します。といってもテラたちの乗った馬車は街の外周から北門へ向かったのに対し、僕らは南門から徒歩。速度が出る馬車も街中ではそれが活かせないからね。


 一月ぶりの祖国をゆっくり見たいじゃない。おおげさだと先輩は言ったけどね。なので認識レベルは下げに下げましたよ。門をくぐるとなだらかな下り坂からくる潮風は湿度が増して体感温度も上がる。暑いと感じるほどではないけど日差しの下ではちょっと。主に生の毛皮が頭上で熱をもってるせいだとか言わないよ。


 さて、港に用事があるので近道っと。白を基調とした街並みは馬車が片道2台通れるメイン通り、間に街路樹があって木陰のおかげでほんのり爽やか。店舗が並ぶ通りを横切れば住宅区に入り港方面へ向かえる。つまり弧を描く造りの街をまっすぐ行くので徒歩がいいのです。どんどん行きますよー


 でもよく考えなくても曲がり角をじぐざぐに進むのって近道になってない。ま、いいや。民家の並んだ道を抜け馬車が横切る通りを曲がり、くねくね進むよー。




 自分でも割と浮かれてたと思う。




「あら、リノリスさんお帰りなさい。王子様方は明日でしたわよね。あちらの滞在はいかがでした?そうそう門のところでうちの末の子が出立式してましたでしょう。少しは進展あるのかしら。エナナニさんがテウルカ村に行かれたときはそれはもう落ち込んでいましたのよ。でも元気になってよかったわ。あの子もお嫁さんを迎える年頃になったのねぇ。上の子たちと少し年が離れているでしょ?まだまだ子供だと思ってたのね。そう、ちょうどあなたくらいの頃は・・・・」


 なんでー


 ばっちり見つかってるシー


 しかも婦人会では一番の話好きなネーレさんだー 


 《《《 説明しよう 》》》


 婦人会とは結婚した女性達が街のカフェをサロン化し、子育てや夫婦のあれやこれやを相談にのる等の活動する非公式ながら絶大な信頼と実績をもつ団体である。ちなみに今の会長は僕の母だったり


 ってか、意識がどこかへ飛んでたー これってどこで会話に混ざればいいのー? だれかヘルプー

 


 天の助けが届いたのか、ネーレ・エンドリー婦人の背後からひょこっと3才くらいの男の子が顔をだした。


「おばあちゃま、えほんよんで」

 

 にこにこと自らの祖母におねだりだ。するとネーレさんの会話も止まり「あらあらお昼寝はすんだのね」と男の子の頭をなでた。ふ~、そういえばこの人『看破』持ちだったか。油断油断。失せ物、迷子探しの名人だもんね。 



「リノリスさん、それじゃまたゆっくりお話しましょうね」


 とりあえず僕は営業スマイルで見送ることにした。あのスピードでゆっくりお話なのか・・・・


 お孫さんはネーレさんの袖をつんつん引きつつ去ってゆく。と思ったら、こちらをふり返りにっこり笑い手を振った。




 えーー、幼児に気を使ってもらってる僕って・・・・




 かなーり動揺した僕、その後の景色はあまり堪能できなかった。港に着くと多くの人が働く時間帯で荷車が多く行きかう。巨大な倉庫が立ち並ぶ中の一つ、アルテイル商会の看板のついた建物に入る。赤茶のレンガでできた倉庫の扉は常に開いたままで木箱や樽が数多く並んでいる。そして臭う。匂うじゃない。潮のにおいをはるかに超える魚臭。


 ここは魚介類の加工場なので臭うのは仕方ない。右側が運び出しなので邪魔にならないよう左側に避けて通る。普段なら入り口でだれかに声をかけて入るけど、今は必要ない。かまわず進む。目的は人に会うため。アルテイル商会番頭カールスディ・フルオード。ここで認識を元に戻した。


 ほとんどの人が作業用白衣でお仕事してる中、板にのせた書類に書き込みながら指示を出す人物が一人いた。周囲から見れば細身で背は高いので目立つ彼は、30台だけどおじさんぽくはない。色白でまぁ港にいなさそうな風貌です。


 ふと目をさ迷わせた後、こちらを見て声をかけてくる。


「おや、坊ちゃん。おかえりなさい。お待ちしてましたよ」


 はい、おまたせしましたー 


 


 

 


 『看破』持ちはほぼいません。というか見つかったのは経験の差です。

リノ君、精進しましょうね。先輩曰く


≪あいつは昔から変わらんな≫

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