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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
6章 光ってるかい?

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52/72

王伝編集官 43話 

     (サワガシイ) 

     

     (キニイラナイ) 


 ピチャーーーン


 夜露が落ちた先は泉なのか沼だろうか。残響は澄んでいるがそれだけで判断できない暗闇の空間。まどろみの中にいた「それ」は身じろぎして頭を持ち上げた。そしてはるか遠くに光るものを感じた。まだ起きたくなかったのに本能が知らせる。「あれ」は嫌なものだと。壊さなくてはならない。ならば行く。暗い場所から抜け出したがそこもまた暗闇。すべるように進む先には何の気配もない。だから誰も見ていない、はず。今宵は月の光のない夜。だから「それ」の不快は迷いなくそこを目指す。




 日の出を待つように陣は準備されていた。ウィルバート王子の第1部隊は3ヶ所に別れて配置されている。時折控え目に風が通り抜けるが、彼らには特に緊張感はない。この日のために入念な準備がしてある。なのに戦闘に直接関わらない学院生がさらに緩めてどうする。


「眠れたか?」


「いや、全然」


「その割に機嫌いいな」


「ふっ、聞かせてやろう、ロイド君。早朝の鍛錬してたディナリィさんにタオルとドリンク差し入れしちゃったもんよ」


「なんだと!ぬけがけだぞ。会長(非公式ディナリィファンクラブ)に報告案件だ」


「なにを言う、それは学院内だけの協定だろ。『ありがとう、ルース君。(ニコッ)』(妄想)ってさぁ」


 にやけてる。抽選とはいえ第1の補給隊に入れたのだから、将来性のある人材なのだがディーの参加で何かがちがうものを呼び込んでいた。ルクスは年下にも受けがいい友人の様子をなんとなく眺める。

(相変わらずよくわからんな)


 目の前の女性3名のやり取りの感想だそうで。紅いシャツにこげ茶のズボン。黒艶の部分鎧。体つきは14という年にしては出るとこ間違ってるようながっしり体系。顔もかわいいというより凛々しい。そのディーが普段見ない顔つきであわてている。年上のお姉さんに翻弄されてら。見た目年下に見えるが。


「あのっ、もうそのへんで・・おやめください・・」


「あら、こんなにすべすべで気持ち良いのに」


「ふふふ、ペシさん。ディーさん困ってましてよ」


 怖い光景だ。ペシアーティ嬢がディーの剣をかかえて頬ずりしている。ディーより身軽な装備なのに器用な人ですよ。自己紹介時から思ってたけど武器愛がすごいな。聞くところによると一番の好みは曲刀。すらっとしたカーブがいいそうだ。それ以外も槍・斧・鈍器から弓まで見境ない。ただある理由でディーの長剣類は持ち歩いていない。


「だってあれだとベヒちゃん相手にミンに5秒も遅れを取るんだもの。ありえないし!」


 だれかさんより小柄な体格を補う武器を探しているうちにのめり込んだってことらしい。自室には飾っているが手元にあるとくやしいのだ。好きだけど見たくないという乙女心だそうで。なのでディーの武器が災難にあっているのだ。と、そろそろお出ましだ。ウィル王子が主戦力3名より前に出る。静かな声色の中に戦意を鼓舞する強さを込める。


「これから始まるのは新たな時代を切り開くためのもの。誰一人欠けることなく進む道をラディアス王子は示された。『天印』に遅れず続こう!」


 次代のアラスティを担う『王印』、その右手を天にかざし宣言。まもなく森から「混乱」という災害があふれ出す。地響きと砂煙が誰の目にも感じられ、各自準備態勢を取って待ち構えた。フラン殿がくるくると踊るような足取りで両手をかざし歌うような微笑で


「それじゃぁ、雷2本いきますよぉ~」

 体調が悪くとろけそうです。

リノ君の出番がまだまだ先なので忘れないでくださいね。

ちなみにルクス君のかくし称号「朴念仁」、エイドリアン様はちがうのです。

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