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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
5章 水に流してね
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王伝編集官 33話

 ---幕間--- ポールとエンデ スパイ大作戦

 きらきら派手な丸まった紙をしばらく会わなかったキセ兄が見せてくれた。むずかしい言葉だらけで「なに?」って聞くと「要は白い髪と耳の男の子と仲良くしてあげてってことだよ」「ふーん」

 

 アラステイで夏の定番初等科低学年のキャンプはスーナ湖の畔にて開催中。参加者は夕飯の準備をしている。なごやかに、多分一人を除いて。


「てめえらまとめてかかってこいー」


 楽しそうに皮をむいた芋・人参・玉ねぎをぶっそうなセリフとともに切り刻んでいる。エンデは向かいで芋の皮をむきつつ眺める。ミレーナっていってたっけ。午前中に行った冒険者ギルドでの現役の冒険譚を聞いてこうなったと。くじ引きでおなじ班になった白耳王子はなんだかビクビクしている。なんかあったのかな。ただ原因がこのにこにこと野菜をぶったぎってる子なのか、それとも王子の後ろにたっている人物なのかが不明だ。そっちは表情ひとつ変えない。だってごえいだから。俺たちでもしってるちょー有名人。よその王子のごえいだもんな。


「ふー、またつまらぬものをきってしまった」


 王子の野菜の皮むきはうまくてはやいが耳がいちいち反応してるからわかりやすいよな。切った野菜を入れたかごをかかえると、後ろのごえいさんが女の子ごとかかえて鍋まで運んだ。ねーちゃんの友達が言うには「ぶっちょーずら」とか。わかってないなぁ、それをいうなら「くーる」だろー。


「おとといきやがれー」


 鍋に野菜をほうりこむ。こぼれないように高さをちょうせつするきくばりだぜ。きしさまだけどおしろでなくこくないけいびがおしごとなんだって。今日はりんじっていってた。エイドリアンさまっていって王さまのおとうとのむすこなんだぜ。またお王子の後ろにもどり女の子は「きしさま ありがとー」って手をふった。


 国いちばんのきしさまはごえいじゃなくかんしって聞いたのは帰ってからで、ちからをおさえるうでわのテストしてたんだって。おとなあいてはえんりょなかったけど自分より小さい子だからきんちょーしてたんだって。


「はい どーぞ あっちでレイ君たちとたべよー」


 女の子はえんりょなく王子のてをつかんでひきずっていく。そのあとにでっかいきしさまもつづく。俺たちもついていきながら兄ちゃんに「明日のよてーなんだっけ」ときいた。




 スーナ湖は周囲に4つの周辺監視用の砦がある。そのうち王都に一番近く新人の訓練も兼ねた西砦は、前日より緊張感が半端なかった。内海に続くハルネ河はルシネイラ国との行き来に定期船があり、上流の船着き場と西砦は隣接している。普段は2国間を移動する商人や旅人の通過管理が主な任務だが、騎士としても危険が少ない任地では訓練がメインとなる。なので日常はちょっとゆるい。


「なんでエイドリアン様が来るんだー、朝がくるのがこえー」


「初等科キャンプに他所の王子様方が来るんだと、それの護衛だそうだが」


「朝の訓練も見学するんだろー、3割増しって隊長と言ってるの聞いたぞ」


「え、なにそれ隊長丸投げする気だな」


 広い砦の敷地内では、楽しいキャンプのテントですやすや眠る子供たちと、食堂で嘆く若者たちのぐちが混ざることはない。そして王弟で宰相の子息、エイドリアン・カルツの任務のひとつは、エウルピケ王子の能力制御の腕輪の査定。ラディアス王子の説明では1%単位で調節可能とのこと。


「朝の訓練にエウルピケ王子が参加する可能性がある。そのときは私が出よう。」


「レイアール王子は?いいとこを見せようとするかもとラディアス王子がおっしゃっていましたが」


「確率は半々だが対応可能だ」


 静かな言い方だが自信ある眼だ。深い青に黒灰の髪、22才の若さで騎士の頂点に立つのは開国より前例がない。有事には将軍職につく辞令もあり、ただ一人黒衣の装束を賜っている。その風貌も相まってもてそうなのだが、残念ながら評価は男女で真っ二つだった。曰く「愛想もへったくれもないのよねぇ」が母君のお言葉で、男性、とくにお子様にはもてもてである。明日はそれが加速する予想は実に正しい。その彼の追加の任務はレイアール王子とエウルピケ王子の対戦回避と、できれば、できればとの前置きでミレーナの口調変更だろう。ぜひ、かっこいいセリフを期待しつつ。


 ミレーナ語録順調に更新中。これが一番楽しいという・・

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