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王伝編集官   作者: 卵星店長(代理)
3章 秘密は土の下
19/72

王伝編集官 15話

 どんな性格のお子様たちだろうと、そこではみな同じ。成長期で食いしん坊の彼・彼女たちが今日もにぎやかに過ごす場所。そこではお姉さんと呼んだら大盛りにしてくれる人たちがいて、笑顔がいっぱいの職場環境にとても満足している。その笑顔の中の、とある3人組。女の子2人と男の子1人。幼馴染な彼らの話題も「おでかけ」で


「それ、いらないなら食べよっか?」


「まさか、大好物だよ。(ぱくっ)(にんまり)(はぁ・・)」


人気ナンバーワンデザート「ケラケラ鶏のなめらか濃厚プリン」でも口の中から消えたとたん表情が曇る。余韻を楽しめない。アクアリアはストレートの薄茶の髪、菫色の目は気の強そうな印象だが今はしょんぼりしている。


「おねーさんに会いたくない?」


「そういうわけではないけど・・・」


「やさしくてきれーだろ。なんの不満があるんだ?」


心配そうに聞いたのはテラ。肩までのショートの黒髪に深い青の目にはいつも気づかいがあり大事な親友だ。お姉さんと呼ばないと口も聞いてくれない従姉をやさしいとか言うのはサンド。毛先にくせがある空色の髪でちょっとたれ目、ナッツみたいな目の色はいつものん気だ。この2人といるからアクアも友達がたくさんできた。1人だと同年代の子には男女問わず怖がられていたから。


「私にはエナナ姉みたいに情熱もてるものがないから・・」


うらやましいという言葉はかろうじて飲み込んだ。だから会うのを躊躇する。テラはしょうがないなぁとアクアのほっぺたをふにふにつまんだ。見た目はテラよりお姉さんぽいのにね。エナナニさんという人はある生き物が好きなだけのふつーの人なんだし。うんうん、もとどおりの笑顔になったね。




 ---幕間--- 邂逅 セテリオン

 食事を終えて一呼吸するとまた気になってくる。視線を感じるから。周囲にはきらきらした瞳の子たちが大勢こちらを見ているというのに。

(でも不快ではない。むしろとても落ち着く。あの子みたいに。)

しばらくすると気配が消えた。午後は調理実習があると言っていたし、こちらも受ける実習はない。今日は静かに本を読もうと図書室に向かう。さっきの気配はあそこと似ていると思えたから。本を取って席に着くとまた感じる。

(やっぱりそうね。同じ学年だけど実習がちがうから話したことないわ。)


 入学した頃から時折あったが中等部になってからは少し様子が変わった。じーっと見られるというより数秒ちらちら見るといった感じか。理由はアラスティの留学生が来たことだろう。うわさがタイミングよく流れていたし。あの人たちの思惑がどうであれ、ジェノス王子達とお昼を食べる事を迷惑だとはっきり言うわけにもいかない。それで最近一人になりたい時は図書室に逃げるのだった。居心地よかったから気づけば下校時刻になっていた。校門までの通り道にある温室をふと見れば人影が。好奇心もあってそっと覗くと図書室にいた人物がいる。ノーリェ・フォレスライ、彼の妹さんはうちのリノリスと同じクラスだ。

(実習で見ない割に筋肉の質はいいわ。なぜ出ないのかしら。もったいない)


 セテリオンは完璧に気配を消しつつ、誰かが見たならメルヘンなのに乙女らしからぬ感想をもつ。でも彼をよく見ればわかる。温室の植物を愛情深く手入れしているから。植物のお世話は時間がかかるものだ。こういう景色も年頃の娘さんなら「優しいのね、ステキ」でまとめる所を

(あら、わたくしとリノみたいですわ)

かなり強引な見方だし。王家の外戚にあたるアスコーディ家、長子のセテリオンには「王印」、次子のリノリスには「観察」。彼女にとって最優先はリノリスなので今はまだ他の誰かに心が向くことはない。




 *ケラケラ鶏 とても美味な卵を産む。野生種は10羽程で群れていて、縄張り意識が強く、また卵を守るため人に出くわすと執念深くつついてくる。死ぬことはないが蹴りもくるので逃げないとぼこられる。人によってはケラケラと鳴く声が笑いのツボにはまり、逃げるどころでなくなり笑い転げながらつつかれるという。




 人に害を与えるものの中で魔力を持つものが魔物・魔獣。

なのでこれはただの鶏さんです。

大きさは中型わんこ、8キロくらいでしょうか。

それ10羽にぼこられ・・・笑い上戸の方ご注意です。

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