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Brain-Wars  作者: 大山鳥 鈴
Ability society series
9/20

8月

 時は、8月。

一行は明本の東のAPPO本部に向かった。

 「まさか新幹線で行くことになるとは…」

 「心配しないでください。後、もうちょいで着きます」

 現在6人は新幹線に乗っている。信の隣には紫花。前の席には小早川と青波が居る後ろの席には翼とドラゴが乗っている。


 「そ~言えば、機械戦は?」

 「あぁ~。結果はダメだったな~」

 「そんなこと言うなよ…何だかんだで良かったんだから」


 「これから行く本部には強いのがいっぱいだ‼楽しみにしてろよ‼‼」

大声を張る青波。


 「激波さん。行ったこと、あるんですか?」

 「もちろんだ。去年…いや、いいか」

 「…?」

話の途中で言葉を濁す青波。


 『まもなく、東宮アズマグウ、東宮~』

 「よっしゃ、降りるぜ」


 降りた駅は明本の東の都市、東宮。人口約1,300万あまりを有する、世界的な自治体(大都市)。高層ビルが林立し、日本のものづくり文化を支える町工場地域もある。


 「では、15分間、専用バスで直接基地に向かいます」

小早川の指示で全員専用のバスに乗りAPPO明本東本部に向かった。


―――――――――――


 ガラス張りの会議室、コの字型の机に4人が着席している。現在一つは空席であり、もうじき、そこに座るべき本部長が来る。


 「今年はどんな採用方法すんのさ?」

頭のてっ辺がモヒカン型の赤髪色の中年だるそうに言う。

 「本部長に聞いてくださ~い」

それに答えるのは、髪を二つに縛り、携帯をいじっている中学生くらいの少女。

 「気長に、待ちませんか?」

この声の主は言葉遣いが丁寧で上品な貴婦人。

 「…」

先ほどから沈黙し、愛刀を抱え込むように持っているのは老人。


 ここにいる3人は東明本最強クラスの戦士。だが、この後に来るもう一人は、彼らをも凌駕する。

 「いや~。遅れてしまった。Sorry」

 勢いよくドアを開け入って来た男。全身を白のスーツで固め。青のマントを羽織っている。気安そうだが彼こそが東の最強戦士。


 「すみませんね。では、始めますか…今回の招集は、今回の見学会兼採用試験についてです」

 「んなことは、解ってら。どうやって採用すんのか話せ、本部長」

 「まぁまぁ、そうangryしないでください…今回の採用試験の内容は…こちらです」

その試験の内容が書かれた電子プリントが、4人の前に現れる。

 「…悪かねな」

 「ふ~ん。なるほど~」

 「心得ました」

 「…一ついいか?」

先ほどまで沈黙していた老人が口を開ける

 「構いません。何でしょうか?」

 「この擬似戦だが。未実戦経験者に対してはどうするつもりだ?」

書かれている内容の中で彼が見つけた『能力者犯罪対策仮想擬似戦』。彼はこれを心配している。

 「Do not worry。それについては対応済みです」

 「何か手が打ってあるのか」

 「い~え。まだしてませんがね…考えてありますよ。もちろん」

 「…お前がそう言うなら別に俺は構わん。続けろ」

 

 「では、続けさせてもらいます。基地周辺警護に、花月カゲツ。総事務関係に不林フリム。基地内監視に源治ゲンジさん、でよろしくお願いします」

 「私は~?」

 「そうですね…特に割り振る役がないので浮妖フヨウは、適当にお願いします」

 「は~い」

 外を見る御厨。外には今回の見学者たちが向ってきている。この中には、未来の本部長やら隊長やらがいるのだろう、と考えながら会議を終了させた。


―――――――――――

到着したメンバー。

 「いや~都会はいいな」

う~ん、と伸びをする信。

 「そんじゃ入るか…」


青波の指示で中に入る一行。中にいる人はやはり腕にブレインを付けている。

 「…そんなに強くなさげだが」

 「ドラゴさすがにそれ言うなや」

 「翼、目利きがないな。強い奴は強いやつ独特のオーラを放つ」

 「…マジで?」

入り口付近のラウンジでいろいろ話していると、

 

『あ~、はいはい。皆さん、聞こえてっか~?』

スピーカーから若い男の声が入る。

 『聞こえているとして、話すぞ!全員今すぐ作戦ホールに来い‼集合時間は3分‼ほい、スタート』

そのまま放送が切れる、そして…ブレインに3:00のマークが浮かび、2:59、2:58と減っていく。

 「おい、まさか…」

 「始まってるのか?」

会場中のメンバーがざわついている時

 「「「「ブレイン起動‼」」」」

ブレインを起動する信、翼、ドラゴ、青波。その他数名

 「私、どうしよう…」

彼らの中でブレインを持っていない紫花シカ

 「う~ん…う~ん…」

 「「「先行くぞ、銃バカ‼」」」

 「があぁ~~~この‼」

 「えっ?」

紫花を急に担ぐ信。

 「これの方が早い!」

 「ッ~‼」

そのまま走り出す信。

 

 『いや~、気付いてくれてよかった。よかった』

小早川の声が入る。

 「先生、何処に行けばいいんすか?」

 『ナビゲーターは不肖このわたくし、小早川が…』

 「早くしてくれ‼」

 『わかりました…そのまま、直進150m。そのままゴールです』

 「マジか‼」

 『ギリギリセーフですかね』

 「こんの~‼」

そのまま全力で走り続ける信。


(あえてこのタイムにしましたね…ひどい後輩だ)

 そんなことを考えながら他の3人にもナビゲートをする小早川。

去年、来た青波や何年もここに居た彼さえも予想しなかったことが始まる。


――――

 モニター越しに第一試験の様子を見ている隊員。

 「相変わらず雑ですね…だから僕は、ライバルとしては好きですが人としてはそんなに好きじゃないです」

 メガネをかけた少年がそう言う。

 「うっせ~な~。気にすんなよ、これで半数の受験者は首切りだ。これで、万事OKだ」

 声の主は、椅子にだらけながら座っている男。先ほどの無茶な試験の声の主である。

彼らは剣士のライバルである。


 「入るぞ」

入ってきたのは小柄な少年。彼もまた、モニターを見て

 「…雑だな、赤千川アカチカワ

と言う。

 「さっき言われたよ…」

 「もう少しまともな方法がなかったのか?」

 「あると思うか?」

 「…お前に一次を任せた本部長の考えは何なのだか。二次つぎは頼むぞ、斬哲ザンテツ

 「了解です。碧角ミドリカドさん」

3分経ったので終了の合図を出しそのメガネ少年は行くべき場へと向かっていった。


――――

 「いや~、何とか間に合ったな」

青波は彼の後輩たちに笑いながら言う。

 「何とか、ですね」

 「…しかし、これは何なんだか」

ドラゴがつぶやいた言葉に反応した青波、

 「あぁ~これか。これは振るい落としだな」

 「何のための?」

少し息切れしている信の質問に答える青波。

 「ん~。隊員採用試験のための」

 「はぁ?」「え!?」「…やっぱか」

 「あれ?言ってなかったか」

 言われてない自信をもって言える、言われてない。3人の頭の中に、この意味の言葉がそれぞれ脳裏をよぎる。その時、またもスピーカーから、声が入る。

 

 『一次試験合格の受験者の皆さん、次は戦闘テストです。これより皆さんのブレインにデータを送信しますので、暫し御待ちを…』

 その後すぐにブレインにメールが届く。そこには場所と対戦相手が明記されている。

 『二次のルールは簡単。戦闘で負けた者を失格とします』

会場中が騒めく。

 『では、向かってください。詳しいことはまた後ほど』

そのまま音声が切れる。

 

 「勝ちゃ、良いんなら楽勝だろ?」

 「もちろん」「はい」「…愚問ですね」

 (少なからず1回は、現場に行ったことがある連中だ。負けはしない…そんな事より、今のが斬哲ザンテツなら次に仕掛けるのは…)

 厄介なことになりそうだと考え苦笑しながらも彼は彼の戦闘場へと足を運んで行った。

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