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じゅう

 朝日が森を照らして葉は光る。虫の声は少ないが、代わりに鳥がうるさい。

 霞んでいく空に雲は見えなくて、太陽が独り寂しそうに浮かんでいた。

 遠くに見えていた巨木は、いつの間にかその大きさが望めない程近づいていた。

 巨木はたくさん葉をしげらせ、枝を重たそうに揺らし、独りぽっちの太陽を見つめているようだった。

 太陽こそ、巨木を憐れんでいるとも知らずに。


 青年はいつもの場所につくなりため息をついた。どうしたものかと腕を組み視線を送る。その先には草を枕にし、土を下に眠る少女の姿があった。

 起こそうか、起こすまいか。決めかねる青年の気持ちを汲み取ったのか、少女のすぐ側にあった木から小鳥が舞い降り、少女の上で鳴いた。

 ゆっくりと白い目は開かれ、眠たそうな表情で少女は背を起こした。

 青年はやれやれと手を差し出す。緩やかに白い手が伸び、ひとりぽっち同士にかけ橋ができようとしていた。

 太陽は、この二人が嫌いだったのかも知れないくらいに、これでもかと照りつけた。

 巨木は、この二人のうちの『独りぽっち』の方が嫌いだった。

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