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成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十三章 跋扈の章

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新たな世界樹(???)

誤字報告ありがとうございました。

 生い茂る草をかき分け、草地を横断する一団がいた。草の背丈は大きいものでは人間の背丈ほどあり、普通に進むのは困難だろう。また草は視界を遮り、いま自分がどこに向かって進んでいるのかわからなくなるはずだ。


 しかしその一団はそれをものともしなかった。巨大なダンゴムシのような見た目のダンゴウムシはほとんど音を立てることもなくその草を踏みながら爆走する。途中に沼地などもあったが、長い身体とたくさんの足を持つダンゴウムシはどんな悪路でも影響を受けることはなかった。


 ジェントアウルのセバスチャンやコカトリスたちが交代で空を飛び、方向の指示や偵察をしている。案内役のはずの蛮族たちは、アデルたちの後を付いてくる形となっていた。


「それにしても……暑い」


 ダンゴウムシの背中に乗ったアデルが呟いた。その額からは汗が流れている。周囲の空気は湿度が高く、気温も高かった。


「あつあつなのー」


 ひょーちゃんこと氷竜王は汗をかきながらぐったりしていた。北の寒冷地に住んでいた氷竜王にとってこの暑さは厳しいようだ。


「……」


 それを見たしーちゃんこと海竜王は隣にいるマーメイド長のルピスに視線をやった。


「かしこまりました」


 ルピスは恭しく頭を下げると、胸元で両手を合わせる。


 するとその中で何かが渦巻き始めた。


「……水?」


 アデルは驚きながら呟く。ルピスの手の間で渦巻いているものは水だったのだ。


 その水は水量を増し、すぐにサッカーボールほどの大きさの水の球となった。


「ありがとうなの!」


 ひょーちゃんがその水の球に手を伸ばす。水の球は一瞬で凍り付き、氷の球となった。ひょーちゃんはそれを手に取ると、嬉しそうに抱きかかえた。


(マーメイドさんたちは水を生み出せるのか……そりゃしーちゃんとは相性抜群だな)


 アデルは心の中で頷く。いままでマーメイドの能力を把握できていなかったが、今の能力を見て納得がいったのだ。


 その後もしばらく進んでいると、空を飛んでいるコカトリスが興奮気味に翼をバタつかせた。


「アデルのおじき! 人間の町が見えやすぜ!」


 コカトリスがアデルに向かって叫ぶ。


「本当ですか!?」


 アデルはダンゴウムシの背で立ち上がった。ダンゴウムシの背は揺れは少ないが、それでもその上で立つのは相当なバランス感覚が必要だ。しかしアデルはまったくふらつくこともなく、普通に地面で立っているかのようだった。


(海!? それに……)


 アデルはその光景に目を見開いた。まず視界に飛び込んできたのは海だ。いつのまにか大陸の南端まで来ていたようだ。青い海が視界を縁取る様に広がっていた。


 次にアデルの気を引いたのは左前方に見える濃密な緑色だった。絡み合うようにねじ曲がった巨木が連なっている。いわゆるジャングルのようだ。


 その海とジャングルの間に確かに町が見えた。木を組み合わせただけの簡素な家々が並んでいるようだ。


「あの森、世界樹があるみたい」


 アデルの隣でピョコピョコとジャンプをしながらポチが言う。


「世界樹? あの森に?」


 アデルは意外そうに言った。


(世界樹って言うとどうしてもファンタジーなイメージなんだよな……)


 アデルは世界樹といえば西洋風のまっすぐな木が立ち並ぶ森を想像してしまっていた。そのため熱帯のジャングルのような森に世界樹のある想像がいまいち難しかった。


 ただ言われてみれば確かに、森の中央に向かうに従って木は大きくなっている。世界樹があると聞かなければ、そこに山があると思い込んでいただろう。


「危険な魔物とかいないのかな……」


 アデルは少し不安げに呟く。


「あの森の動物は毒を持っている奴が多いからのう。不味いからあまり食いに来たことはないな」


 腕を組んだピーコが言う。


(毒があっても食べるんだ……) 


 ピーコの言葉にアデルは少しひっかかった。


「その辺の魔物程度は自力で追い払えるのだろう。それくらいやってもらわなければ、はるばる話し合いに来た意味がない」


 イルアーナが厳しい表情で言う。


 そしてアデルたちがそんなことを話していると、ヒトコブダチョウを走らせてサラディオが近付いてきた。


「おい! 止まれ!」


 サラディオは険しい顔でアデルに叫ぶ。


「え? まだ町までだいぶ距離がありますよ?」


 アデルはその言葉にきょとんとした。


「いいからそいつらを止めろ! この辺りは奴らの領域だ!」


「奴ら?」


 アデルは首をかしげながらもジェントアウルのセバスチャンのほうを見る。


「かしこまりました! ホッホゥ!」


 アデルは特に何も言わなかったが、話を聞いていたセバスチャンはひとつ頷くと翼をはためかせて空を飛び始めた。そしてダンゴウムシたちの間を飛び回る。ダンゴウムシたちの速度が次第にゆっくりとなっていった。


「それで、奴らって……」


 アデルがサラディオに尋ねようとする。


「……!」


 しかしその言葉の途中、自分たちを囲むように草むらに存在する気配に気づいた。


「みんな気を付けて!」


 アデルが大声で警告する。


 その瞬間、草むらから何かが飛び出した。

お読みいただきありがとうございました。

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