4、河童
そこにいたのは、五歳くらいの少女だった。
六花「あぇ、えっと…」
すでに察している人もいるかもしれないが、妖怪には“性別”という概念が存在しない。
そのため、「女」や「男」、「姉」「兄」「弟」「妹」「お姉さん」「お兄さん」や「ちゃん」「くん」などといった言葉は妖魔界(六花たちの世界)には存在しないのである。
六花「(おねぇさん…?おね、いや聞いたことないな…)」
⁇「!!わかった!“かっぱ”さんにきゅうりとどけにきたんでしょ!」
六花/蒼穹/烏夜「「「(かっぱ…?/?/…!?)」」」
烏夜「ここ…祀っているのは九尾の狐じゃ…」
そう烏夜が呟いた瞬間。
ジャリ…ヒタ…ジャ…ヒタ…
背後から、濡れた足で砂利の上を歩く音がした。
振り向くとそこには…
緑色の皮膚、背中には甲羅、指の間には水かき。
黄色い嘴、頭には淡い水色の窪み__“お皿”と中に水。それを囲むようにして生えた毛。
そう、河童であった。
河童「…きゅっ、九尾…!?」
⁇「わぁ!かっぱさんだぁ!」
河童「あっ!ゆいかちゃん!」
“ゆいかちゃん”__そう呼ばれた少女は、河童に駆け寄った。
河童はそれを慣れた様子で抱き上げた。
烏夜「…なんで、河童がここにいるんですか」
河童「元々ここらは俺らの縄張りだよ、1000年前くらいからずっと」
六花「…えっ?そんなはずは…」
じゃあなんでここの神社は九尾を祀ってるんだ…?
蒼穹「…うそだろ」
そう言ったソウが指差した先__九尾の狐があるはずの銅像のところには、河童の銅像があった。
六花「そもそも、僕たち妖魔界出身の妖怪が人間と仲良くしていいはずない__
…まさか」
六花の脳内に一つの答えが浮かんだ。
六花「過去が、変わっている…?」




