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第四話 天界から来たオネェ、チカ・ラタロウ

  むかーしむかし(以下略)。


 山では――


 ドゴン!!


キ・ンタロウ「押忍ッ!!」


 丸太が真っ二つになった。


 キ・ンタロウ。今日も元気に修行中である。


爺「腰が高い」


キ・ンタロウ「はいッ!!」


 ドゴン!!


 また割れた。


キ・ンタロウ「はぁ……はぁ……」


爺「まだまだじゃ」


キ・ンタロウ「押忍!!」


 今日も地味に過酷だった。



 一方その頃――海。


 ザバァァァ!!


 巨大な魚が宙を舞った。


マタロウ「フン……」


 それを素手で掴む男。ウラシ・マタロウ。今日も筋肉は裏切らなかった。


マタロウ「逃げるのは魚ではない」

マタロウ「逃げるのは――弱さだ」


魚「ピチピチ」


マタロウ「よし」


 筋肉、今日も順調。



 さらにその頃――家。


 シャー……


 包丁を研ぐ音。


婆「……」


 可憐な婆様(45)。今日も無言で刃物を研いでいる。モタロウのためである。たぶん。



 そして庭。ここが一番うるさい。


モタロウ「祭りじゃああああ!!!」


 ドンブラコッコ♪

 ドンブラコッコ♪


モタロウ「踊れ踊れぇぇぇ!!」


 太鼓を叩きながら踊っていた。


村人A「また始まった」

村人B「朝から元気だなあの桃」

村人C「元気すぎる」


 そのとき。


 空が暗くなった。


モタロウ「?」


 影が落ちる。


 ドゴォォォォォン!!


 庭に何かが落ちてきた。地面が割れた。煙が舞う。


モタロウ「新しい祭り!?」


 煙の中から――足が見えた。


 ヒールだった。


モタロウ「……」


 ゆっくりと、煙の中から現れる人物。長い髪。派手な衣装。キラキラした扇子。そして――完璧なドヤ顔。


???「やっと見つけたわよぉぉぉぉぉ!!」


モタロウ「誰!?」


 その人物は、腰に手を当てて名乗った。


ラタロウ「アタシの名は――」


ラタロウ「チカ・ラタロウ♡」


モタロウ「知らない!!」


ラタロウ「知りなさいよ!!」


 そのとき。婆が家から出てきた。


婆「うるさい」


ラタロウ「あら♡」

ラタロウ「綺麗な奥様ねぇ」


婆「誰?」


ラタロウ「天界から来たの」


モタロウ「は?」


ラタロウ「アンタを見張りに来たのよ」


モタロウ「帰れ」


ラタロウ「やだ♡」


モタロウ「なんで!?」


ラタロウ「天界が言ってたわ」

ラタロウ「あの問題児」

ラタロウ「下界でまた騒いだら」

ラタロウ「次は完全封印って」


モタロウ「マジで!?」


ラタロウ「マジよ♡」


モタロウ「やばい」


ラタロウ「だから」

ラタロウ「アタシが監視役」


モタロウ「最悪だ」


ラタロウ「最高よ♡」


 そのとき。


 ラタロウは太鼓を見た。


 目が輝いた。


ラタロウ「……あら」

ラタロウ「これ」

ラタロウ「太鼓?」


モタロウ「祭り用」


ラタロウ「……」


 沈黙。


 そして。


 ニヤリ。


ラタロウ「踊るわよぉぉぉぉぉ!!!」


モタロウ「乗ったァァァ!!!」


 ドン!

 ドン!

 ドン!


『ぱーりないないぱーりない♪』


 村が終わった。


村人A「増えた!?」

村人B「増えた!!」

村人C「最悪だ!!」


 こうして――地獄のパーリーナイトが、始まったのであった。


【第四話 完】

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