第四話 天界から来たオネェ、チカ・ラタロウ
むかーしむかし(以下略)。
山では――
ドゴン!!
キ・ンタロウ「押忍ッ!!」
丸太が真っ二つになった。
キ・ンタロウ。今日も元気に修行中である。
爺「腰が高い」
キ・ンタロウ「はいッ!!」
ドゴン!!
また割れた。
キ・ンタロウ「はぁ……はぁ……」
爺「まだまだじゃ」
キ・ンタロウ「押忍!!」
今日も地味に過酷だった。
◇
一方その頃――海。
ザバァァァ!!
巨大な魚が宙を舞った。
マタロウ「フン……」
それを素手で掴む男。ウラシ・マタロウ。今日も筋肉は裏切らなかった。
マタロウ「逃げるのは魚ではない」
マタロウ「逃げるのは――弱さだ」
魚「ピチピチ」
マタロウ「よし」
筋肉、今日も順調。
◇
さらにその頃――家。
シャー……
包丁を研ぐ音。
婆「……」
可憐な婆様(45)。今日も無言で刃物を研いでいる。モタロウのためである。たぶん。
◇
そして庭。ここが一番うるさい。
モタロウ「祭りじゃああああ!!!」
ドンブラコッコ♪
ドンブラコッコ♪
モタロウ「踊れ踊れぇぇぇ!!」
太鼓を叩きながら踊っていた。
村人A「また始まった」
村人B「朝から元気だなあの桃」
村人C「元気すぎる」
そのとき。
空が暗くなった。
モタロウ「?」
影が落ちる。
ドゴォォォォォン!!
庭に何かが落ちてきた。地面が割れた。煙が舞う。
モタロウ「新しい祭り!?」
煙の中から――足が見えた。
ヒールだった。
モタロウ「……」
ゆっくりと、煙の中から現れる人物。長い髪。派手な衣装。キラキラした扇子。そして――完璧なドヤ顔。
???「やっと見つけたわよぉぉぉぉぉ!!」
モタロウ「誰!?」
その人物は、腰に手を当てて名乗った。
ラタロウ「アタシの名は――」
ラタロウ「チカ・ラタロウ♡」
モタロウ「知らない!!」
ラタロウ「知りなさいよ!!」
そのとき。婆が家から出てきた。
婆「うるさい」
ラタロウ「あら♡」
ラタロウ「綺麗な奥様ねぇ」
婆「誰?」
ラタロウ「天界から来たの」
モタロウ「は?」
ラタロウ「アンタを見張りに来たのよ」
モタロウ「帰れ」
ラタロウ「やだ♡」
モタロウ「なんで!?」
ラタロウ「天界が言ってたわ」
ラタロウ「あの問題児」
ラタロウ「下界でまた騒いだら」
ラタロウ「次は完全封印って」
モタロウ「マジで!?」
ラタロウ「マジよ♡」
モタロウ「やばい」
ラタロウ「だから」
ラタロウ「アタシが監視役」
モタロウ「最悪だ」
ラタロウ「最高よ♡」
そのとき。
ラタロウは太鼓を見た。
目が輝いた。
ラタロウ「……あら」
ラタロウ「これ」
ラタロウ「太鼓?」
モタロウ「祭り用」
ラタロウ「……」
沈黙。
そして。
ニヤリ。
ラタロウ「踊るわよぉぉぉぉぉ!!!」
モタロウ「乗ったァァァ!!!」
ドン!
ドン!
ドン!
『ぱーりないないぱーりない♪』
村が終わった。
村人A「増えた!?」
村人B「増えた!!」
村人C「最悪だ!!」
こうして――地獄のパーリーナイトが、始まったのであった。
【第四話 完】




