ウィンディさん大ピンチ!
うう、私はなんであんな恥ずかしいことをしたんだろ? というか、邪神さまに抱きつく必要があったのかな?
『ぬひょひょひょ! さあどんどんいくぞのぉ!』
ああ、邪神さまの顔がもう形を留めてないよ。どれだけ楽しんでいるんだろ?
『次は誰かの? 今度はハードなものだのぉ』
そんな言葉を聞いたシィちゃん、ミィちゃん、ウィンディさんはどこか引きつった顔をしていた。
えっと、確か順番的にはミィちゃんだったような気がするけど。
「な、何をすればいいんだよ? 言っとくけど身体は触るなよ?」
『なぁに、わしは触らんさ。主がわしに触るんだの』
「は?」
疑問符を浮かべるミィちゃん。すると邪神さまはこんな試練を口にしたんだ。
『その大きなおっぱいをわしの後頭部に押しつけるのだのぉ!』
へ、変態だぁー! というかそれ、試練なんですか!?
「ちょっと待て! それなんだよ!? 完全なるセクハラじゃないか!」
『セクハラじゃないのぉ。だって、わしから触らないもーん』
「そういうことじゃねーだろ、このエロ邪神!」
ミィちゃんがあーだこーだ騒いでいると、邪神さまの目が鋭くなる。そして不気味にタコ足を動かしながら言葉を口にした。
『ならば失敗ということで片づけても構わんかの? 今なら大サービスでいろんなところをマッサージしてやってもよいがのぉ』
「うっ……」
『どうするかの? 後頭部におっぱいを押しつけるか、裸にされてマッサージを受けるか。どちらを選ぶんかの?』
究極の選択だ。私なら間違いなく最初のほうを選ぶ!
胸、そんなに大きくないけど!
「わーったよ! アンタの言う通りにするからさぁ!」
ミィちゃんは観念した様子だった。
怪しく笑う邪神さま。そんな邪神さまの後ろにミィちゃんは立って、そしてゆっくりと手を回した。
『おおっ、至福っ』
ミィちゃんがとても嫌な顔をして邪神さまに抱きついている間、邪神さまはとーっても幸せそうな顔をしていた。
私はここにきて、神様ゲームの恐ろしさを理解し始めてきていた。従っても地獄、従わなくても地獄。まさに、私達にとっていいことがないゲームだ。
『ぬひょひょひょ! さあ次はメガネ、主の番だのぉ!』
「ひっ」
シィちゃんが小さく悲鳴を上げる。そのどこか怯えた目は、まさに小動物が鷹に狙われて逃げているようなものだった。
『そうだの。主にはわしとポポロキーキスをしてもらおうかの』
「え? それってもしかして――」
『キスするくらいまで食べてもいいのぉ。まあ、長さ次第では水着を剥ぎ取るがの』
ポポロキーキス?
えっと、どういうものなのかな?
「そ、そんな。私、まだ殿方にキスなんてしたことも――」
『そうかそうか。ならば俄然やろうではないかのぉ!』
邪神さまはそういって細長い棒状のお菓子を取り出した。それを口っぽいところに咥えたんだ。もーエロ親父全開で「うひょひょひょ!」って笑ってシィちゃんを待っているのが、とても怖かった。
「あ、あの、この試練はパスさせていただけませんか!? わ、私ぃ――」
『ならば剥ぎ取ろうかの。ついでに癖になるマッサージもしてやろう』
「やります! やらせていただきます!」
シィちゃんは泣きながらポポロキーを咥えた。そして「うひょひょひょ!」って笑っている邪神さまに迫っていったんだ。
その光景は、とんでもない惨劇だった。シィちゃんは逃げるのを我慢して、必死に勇気を振り絞って邪神さまが咥えたポポロキーを食べきった。
『ファーストキス、ありがとぉー!』
ああ、シィちゃん。そんなに悔しそうに泣かないで。今度、リフィルさんに頼んで給料を上げておくから。
『では、メインディッシュと行こうではないかの』
邪神さまの目付きがとんでもなく鋭くなる。その視線の先にいたのは、ウィンディさんだ。
「あ、あははは。オクトーパン様、ちょっと怖いんですけど……」
『主にはいろいろと協力してもらった。だからこそこの高ぶった感情をぶつけたいと思うのだのぉ』
邪神さまがいつもの邪神さまじゃない! あれ? 私達、邪神さまがこうなることを望んでいたんだっけ?
「そ、それは試練なのですか?」
『試練だの。わしの愛情を全面的に受け止めるという試練だのぉ!』
荒々しく息を吐き出す邪神さま。さすがのウィンディさんもそんな邪神さまに気圧されている様子だった。
「ちょ、ちょっとこれはまずいかなぁ……」
ウィンディさんが逃げようとした瞬間だった。突然ウィンディさんの手足に魔法陣が現れたんだ。直後にウィンディさんは動けなくなってしまった。
「あら? あらあら!?」
「何逃げようとしているのですかー? 色欲の魔女様ー?」
にっこりと笑うニィちゃん。その笑顔はとんでもなく恐ろしくて、笑っているように見えなかった。
「あなたが神様ゲームなんかやらなければ、こんなことにはならなかったのですよー?」
怒ってる。笑いながら怒っているよ。
こわっ! ニィちゃん怒るとこんなに怖いんだ!
「そうですね。全て魔女様が悪いのですね」
「考えてみりゃそうだ。こんな目にあったのは魔女のせいだ」
ニィちゃんに同調してシィちゃんとミィちゃんも怒り始めた。
でも思えばウィンディさんがあんな宣言をしなきゃこんなことにならなかったのも事実だ。
「ちょ、ちょっと。私はただ盛り上げようとして――」
「なら、今盛大に盛り上げてくださいー」
「芸術は、一瞬の輝きとも聞いたことがありますし」
「全身全霊で邪神さまのありがたい試練を受けるのもいいんじゃねーか?」
みんながみんな殺気を放ちながらウィンディさんを見放す。だからなのかウィンディさんは若干涙を目に浮かべていた。
「マ、マオちゃーん。た、助けてー」
そんなウィンディさんは私に助けを求めてきた。でも、考えれば全てウィンディさんが悪い訳だし、それにこんな恥ずかしい思いをする必要もなかったはずだ。
だから私は、見捨てることにした。
「邪神さま、ウィンディさんを好きにしてもいいよ」
「マオちゃーん!」
邪神さまはとーっても喜んだように「うひょひょひょ」と歓喜して笑っていた。そしてウィンディさんの身体にタコ墨をぶっかけたのだった。
ウィンディさんが真っ黒に!
そんなこんなで暴走する邪神さまを誰が止めるのか!?
次回は明日午前7時頃に更新予定です。




