プロローグ
瑠衣はぼーっと窓の外を眺めていた。
外では他学年が体育の授業を受けている。
リレーの応援の声が聞こえてくる。
対して、こちら側、教室の中ではカツカツとノートを取る音が聞こえてくる。
隣の席でも、後ろの席でも、前の席でも、みんなノートを取っていた。
「暇だ。」
授業中に出てくる言葉としては不適切だが、仕方のないことだ。
今の授業は国語、その中でも特に苦手な単元、古文だ。
吐き気がする。
視界がぐるぐると回る。
古文の現代語訳なんて知るわけ無いじゃないか。俺は今を生きているんだ。昔のことなんて知るか。
心のなかでグチグチと文句を言う。
「嫌だな。」
机に突っ伏して目を瞑る。
居眠りだ。
悪い事という自覚はあるが、暇すぎて死ぬよりはマシだ。
突如、静かになった。
さっきまでの体育の音も、ノートを取る音も、すべて、
代わりに聞こえてくるのは鳥の囀り。
それに、体に感覚がなかった。無感覚、座っているという感覚もなく、さっきまで握っていたはずの遊園地のおみやげのシャーペンの感覚もなくなっていた。
目を開けると、俺はベッドに寝転んでいた。
それはもう豪華な、こういったベッドをキングベッドというのだっけか、
ゆっくりと起き上がり、周りを見渡す。
中世風の寝室だ。だがところどころ少し変わった装飾が施されている。
宝石のようなきれいな何かが明かりとして置かれている。
俺は即座に理解した。
これは異世界転移だ。
「さてさて♪今の体は〜〜〜♪」
異世界ものといえば、フツメンの男子がイケメンになるという謎現象も存在する。
少し楽しみだ。
今の姿を見ようと、鏡を見ようとしたところで、
意識が途絶えた。




